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#71 地下迷宮13階層 藤の花と蜂と付与スキル



地下迷宮8日目の早朝、13階層の入口洞窟にキャンプしていたアベルたちは朝食の後4台の長テーブルを囲んで8人が長椅子に座り話し合いをしていた。

食後ということでアベルは温かいハーブティーを飲んでいた。


「やはり温かい飲み物はいいね」

「そうね、でも黄熊蜂ってなに、ギルドの図鑑でしか見たことがない」

「普通の熊蜂と異なり、ここの黄熊蜂は23㎝程あるそうだ」


「そんな巨大化してる黄色い奴が多数いてブ~ンと襲ってきたら怖いなの」

「いや黄熊蜂って雀蜂と違い温厚な性格らしいよ、針を持つのは女王蜂だけで藤の花を好んで訪花するみたいだよ」


「じゃ、藤の花を餌にすれば好きな場所に釣れるにゃ」

「蜂さんを殺す前に藤の花にも十分に花粉媒介させてあげて欲しいなの」


「それはいいけど、私が藤の花なんて見たことないよ」

「実は俺が収納コンテナハウスの藤棚で栽培しているので後で出すよ」

「すると藤棚で花粉集めの黄熊蜂を下から狙って槍で突けばいいのか」


「この黄熊蜂を倒せば身体強化スキルが10人限定で付与されるという話だ」

「誰が身体強化スキルを付与するのだろうか」

「ここのダンジョン主じゃないの、挑戦者を強化するなんて不思議な話ね」


「付与スキルが10人限定なら、1人1匹限定で倒すのか?」

「いや、多数の黄熊蜂の中から10人限定で付与スキルが発生するそうだから、むしろ倒す数量限定は無意味だよ」


「その意味で9人パーティー編成なのか、全員が付与スキル持ちになるために」

「あのハウス内藤棚の高さならこの量産した手槍で充分に届くよ」

アベルは収納庫からローレンス城で見本を貰い20本程量産した160㎝の手槍9本を取り出した。


柄は128㎝の赤樫の木で27㎝四角錐の槍頭と5㎝石突は鋼鉄製だ。

手頃な長さで、屋内や洞窟内の乱戦でも操作し易い手槍だった。


夜刀姫も含めてここにいる9人全員に1人1本杖替わりに贈呈した。

夜刀姫でも付与スキルをラーニングする可能性はあるかもしれない。

機会は全員に平等に与えるべきだ。


「次の岩石熊はどんなドロップがあるのだろうか」

「B13の岩石熊を倒すとチタン鉱石の塊を残すそうだ」


「B13からB22までの魔獣が残すのはゴーレム召喚に必要な素材だそうだ」

「数が多いから戦後に収納して均等割で分ければいいか」


「どの階層でもスキル付与する魔獣と素材だけの魔獣が出るのかしら?」

「そう聞くよ、10人スキル付与の魔獣と居るだけの素材魔獣の2種類でね」


「どうしても少人数限定のスキル獲得イベントなのかな?」

「餌は少ない方が魚の喰いつきは良さそうよ、より多くの冒険者を集める餌かも」


「具体的に付与スキルの全容は判明しているの?」

「いや、出現スキルは一定期間で入れ替わるみたいだ」


「だよね、でないと特定階層の特定魔獣ばかりが狙われることになる」

「それにダンジョンギルアだけの付与スキル話なんて不思議な話なの」


「結論、分からないことは考えない、単純がベストにゃ」

「うん」


「現実問題でドロップアイテムの配分についてはゴーレム召喚素材なら端数調整するし、ポーション関連ならば全員に均等配分するよ」

「アベルなら公平に均等配分するって信じているにゃ」


「俺の時空間収納庫にドロップ素材は一時保管するので、地上に戻れば配分表に基づいて返すのでその後はギルドに預けるとか換金するとか考えて欲しい」

「よくできましたアベル、賢いにゃ」


「B23からB25までは付与スキルはないのでスキップするよ」

「ちなみにB23からB25まではどんな素材をドロップするの?」

「B23アダマンタイト、B24ヒヒイロカネ、B25オリハルコンなどを少量落とす」


「B18の潜水クエストとB26の宝探しクエストの取り扱いはどうするの」

「B18地底湖潜水とB26の妖精島探しは謎解きだから先着順かな」

「謎解きなら正解者の先着順しか無いにゃ」


「あ~そうだ、この入口洞窟を出て最初の森の入り口に移転罠があるので、俺が地上に跳んで屋台の食材を買ってから戻って来るよ」

「アベルが地上に跳ぶ前に藤棚コンテナハウスを出して貰わないと、こちらは夜刀姫さんにハウス内部を案内して貰うよ」


8日朝の長い話し合いが終わり、午前中の作戦行動が開始された。



◇◆◇



アベルは入口洞窟を出て直ぐの広場にコンテナハウスを取り出して地下貯水槽を設置してから夜刀姫に引き継いで、アベル自身は近くに見える森の入口の罠に駆け込んで移転陣が輝くと姿は消えていた。


アベルは移転罠で地上広場に出て、毎日の食事に変化をつける為に寸胴鍋を複数出して広場の屋台群の中で美味しそうな野菜や果物とスープ・焼き肉炒め物や地元パンなどを買った。


目ぼしい美味しそうな屋台料理を買って収納庫にしまってからアベルは広場に店舗を構える武器屋に入った。

アベルは付与スキルクエストが本格化する前に用意したい物があった。


「何か欲しい物があるかい」

「この四角形の大盾と頬当て付き金属兜と鎖帷子あとは手甲と脛当てが欲しい」

「盾役に使うんだね」


「中古でも品はいいよ、全部で50金貨ね」

「盾と鎖帷子のここに爪傷も残っているし所々解れて修理跡もあるし15金貨だよ」

「それはないよ、勉強しても40金貨ね」


「ではサービスでこの大盾の肩掛け皮ベルトと厚革剣帯と革ベルトも付けてよ」

「上手いねそれだと赤字なんだがいいか一式40金貨で売るよ」

「同じものを6人分用意できるなら買うよ、まとめて全部でいくら」


「6人分なら裏の倉庫にあるよ、代金は大金貨2枚と金貨40枚ね」

「勉強してくれてありがとう、即金で払うよ」

「う~ん業者泣かせだったね、品物は自分で運びなよ」


アベルは大金貨2枚金貨40枚を払い、店の裏手にある倉庫から積まれた中古の盾役防具6セットを店員立ち合いの元に空間収納した。


武器屋を出て2軒隣の大きな古着店で品種別に区分された木の棚から雨衣コートとチュニックと半袖下着と半パンツあとはキュロット・スカーフ・革製サンダルを6人分選んで代金18金貨を払い購入した。


新調で衣服や防具を注文するのは領主や熟練者だけで、多くの冒険者は中古の衣料・武具を購入してダンジョンに入り素材を得てギルドで売り酒場で消費する生活をしている。


武器は既に大盾とハルバート、片手剣と手斧は人数分用意できた。

遠距離攻撃の鉛弾は夜刀姫用に量産した備蓄分が大量にある。

B14階層からは付与スキルの餌もあるが、強力魔獣も出てくるので見通しの良い林などでは上空の浮遊板からの鉛弾攻撃は有効だ。

冒険仲間は絶体守ってやる。


アベルは島執事カインの固定イメージで男性ゴーレム6体は1時間で製作できる。

夜刀姫の予備で知識転写済みの彩魔晶石1個があるので、今夜にも夜刀姫を連れてB18の地底湖に潜り七彩魔晶石を獲得するつもりだ。


彩魔晶石7個を獲得したら6個に夜刀姫の知識転写をして、残り1個には魔水の中で魔力充填をしてアベルのグラビティ用魔晶石とする。


彩魔晶石が揃えば、今夜中にゴーレム6人の躯体は製作召喚するつもりだ。

9日朝からはアベルパーティー7人、ゴーンパーティー2人、ゴーレム6人の15人編成でB14階層攻略に向かう。


ゴーレム6人は前衛4人後衛2人に分かれて、中衛に人間の魔法職や弓手を入れて、定員20人の浮遊板にも問題なく全員乗れて移動できる。


アベルは大急ぎでダンジョン1階層に戻り地下13階層の入口洞窟に”迷宮の指輪”で再移転した。



◇◆◇



アベルが収納庫から展開したコンテナユニットは4つのモジュールで構成されていた。


4つのモジュールの外観は高さ5mの窓無し薄鋼板の外壁が延々と続き、入り口は見えないが実は玄関部分と裏口部分の地面には鉄板の踏み台が出ている。


外部からは巨大な鉄の箱にみえるコンテナユニットだが、上空は解放されていた。


ミーナ達8人は夜刀姫の案内でコンテナハウスのリフト板入り口から内部に入り、中心にある庭園の藤棚に驚き円形テーブルの椅子に座り、手槍を構えて黄熊蜂の訪花を待った。


すると13階層における藤の花の香は珍しいのか、ハウス展開してから1時間程したら超重低音の蜂の飛翔音が多数聞こえてきた。


コンテナハウスはオープントップの構造なので屋上のテトラポットの花や満開の藤棚からの匂いで花粉集めの黄熊蜂の大群が直接跳んできたのだ。


いや~訪花の黄熊蜂は大きくて紫色の藤棚上空がすごい騒ぎになった。


花粉や蜜採取が一段落すると、藤の花にも十分に花粉媒介されたらしく騒ぎも収まり時々雄の黄熊蜂が低空でテーブルの下の人影を監視していた。


コンテナ自体は薄鋼板で覆っているし、黄熊蜂を討つ気のミーナ達は手槍を構えて8棟のコンテナハウスの囲まれた空間にいる。


手槍を構えた8人の冒険者達は視線を交わしてうなずき藤棚に近づいて未だ残って飛び回っている黄熊蜂を下から突き始めた。


黄熊蜂が止まった所を狙い20㎝台の大きさなので外し様もなく次々と串刺しになり退治されていった。


あっという間に7人の冒険者達にはスキル付与のウィンドが開き”身体強化”初級取得したとのメッセージが表示されていた。

ただ夜刀姫のみは”身体強化”ではなく”魔力強化”スキル取得をしていた。


8人の冒険者達のスキル付与の騒ぎが終わって暫らくしてから入口洞窟前に移転したアベルは、コンテナユニットの玄関部の入口の鋼板ドアを開けてさらに庭側の引き戸から庭園内に入り藤棚の場所にやって来た。


「アベル、もう1陣目の黄熊蜂は巣に帰ったけれど、2陣目の黄熊蜂が時々飛んでくるからそれを狙うしかないにゃ」

「遅れてごめん、俺はそれでいいよ」


遅れて飛来した不幸な黄熊蜂を藤の花に止まった瞬間に手槍で刺すと倒せて直ぐにステータスウインドウが開き、アベルにも付与スキル”身体強化”が記されていた。


”身体強化”に”加速”を重ね掛けすれば用途が広がるとアベルは感じた。


騒ぎも収まり時間は正午を過ぎており上空水晶石群から照度の上がった光が、藤花や庭園の床に浮かぶ白い円形テーブルを照らし出していた。


そこは幻想的な空間を浮かび上らせており、非日常的な映画のロケセットみたいだった。


必要なら浴槽とかトイレとかも使用できるので、左右の2台のボイラー機器は地上に展開している間は作動を続けている。


そろそろ昼食時で夜刀姫は簡単に庭園中央の円形白テーブル上にセットを開始した。


アベルが空間収納庫から出した料理店の深胴鍋に入れていたポタージュスープと未だ温かい地元パンや果物と肉野菜炒めを夜刀姫が他の皆さんの座るテーブル上に配り、皿やフィンガーボールそして冷水入りコップそしてホークやナイフを8人に配っていた。


「全員に付与スキルはついたみたいにゃ」

「そうね、でも次の岩石熊ってどうするの」


「竹林などでは手の届かない上空の浮遊板からの鉛弾攻撃は有効だと思うよ、それに矢や石弾も併せて攻撃すればいいかな」


食事中の30分間は壁際で夜刀姫が竪琴リラを3曲ほど控えめに演奏してくれた。


パチパチパチパチ・・・演奏後はもちろん全員が盛大に拍手した。


夜刀姫はスムーズにメイドとしての動きをしていた。各地で出会う侍女たちの動きを学んでいるな。


食後は調理場ユニットに空き皿や容器などを運んだり、円形テーブル上を葺いたりして動いていた。



◇◆◇



「アベル、これは楽にゃ」

「見通しのきく林ならば地上で戦う必要が無いしね、上から見えた岩石熊は全部潰して後でまとめて素材回収をしよう」


アベルは1番前の長椅子右席に座り、右手で手すりを掴み左手の掌で胸の重力虫が入ったペンダントを握っている。


重力魔法グラビティ”軽減実行”で魔力を軽くペンダントに流し続けている。


厚さ20㎝の分厚い浮遊板(門扉)がアベル達9人と長椅子5脚を搭載したまま地上10mの高さの空中に浮び時速10㎞程度のゆっくりとした速度で竹林の方向に浮遊していく。


「すごいにゃアベル、これで上から毒矢でも射るにゃ」

「私は逃げる岩石熊を征矢で打ち抜くわ」


「私は岩弾を岩石熊に打ち込むわ」

「夜刀姫が鉛弾で攻撃してますので、命中確実な時は打ち込んで下さい」


夜刀姫は1番前の長椅子左席に座り、発見した岩石熊頭部に左手で鉛弾を打ち込んでいた。


クロエは5番目の長椅子右席に座り、発見した岩石熊に長弓で矢を射ち込んでいた。


「もう何匹ぐらい討伐したんですか?」

「私は60匹は倒しています」


「ミーはいろいろ席を変えたんだが10匹ぐらいにゃ」

「私は矢で4匹しか倒してないわ」


「私は岩弾を6匹は打ち込んだわ」

「併せて80匹で、報告数の3分の1ですね」


「雑食で肉食もして嗅覚が発達しているのなら、空き地にオークの死体でも置けば寄ってこないかな?」

「オークの肉は美味しいにゃ」


「大きな空き地を先程見かけたから、中央にオークの死体を1匹置いて空から見張ろう」

「オークの肉を争って大喧嘩か共食いが始まるにゃ」


アベルはそのまま浮遊板を操作して先程の竹林の中の大きな空き地上空まで到達した。


時空間収納庫と念じて黒渦に手を入れてオークの項目を指定した。


“数量オーク1、設置場所:指定point、GL角度:0度”

“実行”


すると空き地の中央にオークの死体1が横たわった状態で突然出現した。


依然としてアベルたちは竹林上空10mの浮遊板から変化を監視している。


地上の風は時折風向きが変化しているのでアベル達の匂いは拡散している。


10分ほど経過すると岩石熊の家族5匹が現れた。

空腹らしく真っすぐにオークの死体に歩いていった。

オークの死体に岩石熊の家族5匹が喰いつき食べ始めると血の匂いが濃く漂い始めた。


するとどこから湧いたのか岩石熊の群れが次々と現れてオークの死体の争奪戦を開始した。


目視できる範囲で30・50・80・100と群がり集まり喧嘩が始まった。


アベル達は浮遊板の高度を50mに上げて空き地中央上空に停止した。


「さあ、今なら下に投げれば狙わなくても熊に当たるよ」

「ジェンも”白燐雨”を真ん中に降らせていいにゃ」


ジェンは竹林上空で浮遊板に乗ってこの様子を見ていたが、ミーナの指示を聞いてすぐに呪術を唱えて白煙を引くリンを出現させて、空き地全域に向けて”しだれ柳”の様に広がる白燐雨を数回降らせた。


降る白燐粒は炎の粒子となり降り注ぎ100頭の岩石熊の頭や胴体上から毛皮を焼き皮膚に付着し焼き白煙を吹いた。


リンは皮膚火傷を起こし白煙を吹き出しながらさらに深層部まで浸透炭化して生身のまま火葬する。


空き地では100匹程の岩石熊達の頭上に白燐がしだれ柳の様に降りかかった直後、岩石熊達の悲鳴が13階層ホールに響きわたった。


“グァ~~~ッ ギヒ~~~~ィ“ ゴロゴロゴロ~~

”白燐雨”は微妙に角度を変化させて焦熱地獄の範囲をずらして、ほぼ大きな空地全体の岩石熊達は生きたまま焼かれた。


あまりの阿鼻叫喚なのでアベル達は出口洞窟の中に待機時間を利用してキャンプを設営しようという話になった。


それで浮遊板のまま出口の崖に向かっていたら出口近くにもう1つの洞窟が見えてきて、50頭ほどの岩石熊が取り巻いているのが見えた。


洞窟の中から3匹のミノタウルスが出てきたが上空の浮遊板を見つけると再び洞窟の中に逃げ込んでしまった。


「ジェンも白燐雨を洞窟まえの熊たちに1発お見舞いするにゃ」

「スー様も大炎弾(ナパーム)を洞窟中に1発お願するにゃ!」


「これでB13のケリはつくのよね」

「そういうことにゃ、あとは素材を集めるだけにゃ」


ジェンは洞窟上空で浮遊板に乗ってこの様子を見ていたが、ミーナの指示を聞いてすぐに呪術を唱えて白煙を引くリンを出現させて、洞窟前空き地全域に向けて”しだれ柳”の様に広がる白燐雨を降らせた。


スーは浮遊板に立ち手を差し伸ばし弾着地として洞窟内を指定して、短い詠唱に入った。

すぐにかすかにスーの唇が動いた。


・・・大炎弾(ナパーム)


最初は、上空に炎球が出現して徐々に回転して増大していった。

異様な燃焼音が聞こえる。


ゴォ~ゴォ~ゴォ~ゴォ~ゴォ~ゴォ~ゴォ~ゴォォォォォォォォォォ~


やがて、それはΦ10m程の青白く回転して白く炎の尾を引く長円形の炎弾だった。

細長く輝く光の尾を引き摺り、その炎弾は空を一直線に切り裂いて洞窟奥に飛び込んで行った。


爆発の瞬間は無音でスローモーションだった!


赤黒い炎が洞窟から激しく噴き出してきた!

洞窟前は炎と土煙が階層の天井に届くほど立ち上がり吹き込む風に流され広場の地面が振動で揺れた。


白燐雨で倒れていた岩石熊達は爆発の衝撃でバラバラに千切れ飛んだ。

やがてしばらくしてから音響が響いてきた!


重低音で・・・

ドドド~~~~~~~~~~~~~ンンンン

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


吹き上がる土砂が13階層全体に立ち込めた。

やがて土砂は力学の法則に従い従順に落ちていく・・・


洞窟内は数千度の高温状態になり壁面が溶解した。

酸欠状態で生物の住める環境ではない。

洞窟内は青白い光に覆われやがて轟音と閃光と土埃と落石が舞う。


洞窟内が燃えて溶岩状態が長時間続いた・・・ボタボタ

聞こえるのは洞窟内の土石の溶け落ちる音

光る閃光と爆発衝撃力の時間が終わり、ミノタウルスの姿も消えた。


230匹の岩石熊を退治して竹林と洞窟前から素材チタン鉱石を拾い集めた。


アベル達は8日目の夕方までに13階層の出口洞窟にテントを設営した。

8日目の夜はここで設営して9日午前中から14階層のスリープシープ100匹と砂サソリ220匹と対決することになる。


14階層のスリープシープを倒した10人は”結界”の空間スキルが付与される。

砂サソリ220匹はゴーレムの眼に使用される赤色ルビーを落とすそうだ。


アベルは今夜にも夜食が済み皆が寝たら夜刀姫を連れてB18に”迷宮の指輪”で移転して地底湖に潜り7個の彩魔晶石を獲得するつもりだ。


夜刀姫不在でキャンプの不審番はミーナに頼んだ。

そして騎士ゴーレム6体は今夜中に製作召喚をして見せて、残り1個の彩魔晶石には魔水から魔力を充填して重力魔法の動力にする。


抜け駆けみたいで気が咎めるが、以前から熟慮してきた計画だった。

騎士ゴーレム6体の壁威力は皆も戦いの中で実感してくれるはずだ。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



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