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#42 島執事カインの召喚



アベルは忙しかった!オアシスコロンバの先まで行き前市長モアボを追跡したり、前ギルマスツェペン男爵を迷宮都市ゴンゾーの花街で打ち取ったり、その間は魔王島の偽王の仕事は勤めを果たしているのか自信がなかった。


そもそも魔王島の代官である偽王とウルク大陸の大公勢力の駆逐する冒険者の役割を1人の人間が兼務するべきものではないのではないのか?

1人の人間が分身の術で二か所同時に異なる問題に対策を考えて対応出来れば理想的だが!


侍女夜刀姫は高度の判断力ができる魔水晶石を備えて様々な職能の人の知識転写をしているが、彼女には俺の護衛役という制約がある。


もう1人執事が欲しい、総合的に状況判断できて受任した範囲の判断を下せる代理人として魔王島の商館にいて欲しい。

半島に帰らずに残る農民と魚民の人々との窓口のできる代理人が欲しい。

さらに言えば魔導脳”M”との連絡調整も頼みたい。


検討結果、アベルは島執事”カイン”をゴーレムで作ろうと決意した。


先日もシバ族のゼノン族長から、迷宮都市ヤーセンに引っ越し中なので山城は是非、アベルの飛行船基地にしてくれと言われている。


アベルの活動拠点は魔王島とウルク大陸に二か所必要になった。


魔導国とヤーセン市の間にアベルの城が入ればシバ族も緩衝帯と安心する。

アベルも魔王島と山城頂上に魔導通信機を設置して情報網を作りたい。


執事の素材は魔王島備蓄品を借り受けて製作して、後日同等品を採取して多めに返還すれば納得して貰えるだろう。

執事の実務経験はダン侯爵に魔法袋の残りを納入に行くので、その際に研修を要請してみよう!


アベルは夜刀姫を連れて飛行船で魔王島に直行で帰島した。



◇◆◇



 魔王島の魔王城前の高原に停船したアベルは、魔王城地下3階の鏡の間に降りて行った。

アベルが鏡の前に立つとすぐに白兎は出てきた。


「偽王よ、急いで帰島したのはなにか私に話したいことがあるのでしょうか?」


「いつもお願いばかりで心苦しいのですが、ゴーレムを製造できる部材を魔王島備蓄資材から一時受領したいのです」


「貸した資材はメリット付きで返してくれるのでしょうか?」


「当然、利息を付けてお返しいたします。この執事ゴーレム製造が終わればダンジョンギルア探索に入りお借りした2倍の資材をお返しします」


「その条件で提供します、執事ゴーレムの目的は多忙につき偽王の身代わりを魔王島に置きたいというところでしょうか?」


「そうです、魔王島の魔導脳”M”様との連絡担当の執事ゴーレムを製造したいのです。このゴーレムは島内の内政を担当するゴーレムになります」


「執事ゴーレム製造を許可します、地下4階の研究所の製造台の上に執事ゴーレム製造の必要資材を出して置きます。この資材提供の契約書にサインしてください」


アベルは技術工ゴーレムの持ってきた資材提供の契約書にサインして地下4階に降りた。



◇◆◇



 地下4階の研究所の製造台の上には既にチタンインゴット・白金インゴット・ミスリル銀インゴット・そして魔鉄鋼インゴットと魔晶石も鋼鉄製作業台の上に置かれてあった。魔水入り大型容器は台の横にあった。


アベルは傍に控えている夜刀姫に、

「これから夜刀姫の弟を召喚したいのだが、知識移転に協力してくれるかい?」


「アベル様、喜んで私の知識をお使いください、これから私は独りではなく弟が出来るのが嬉しいです」

隣の鋼鉄製作業台の上に衣服を脱がした夜刀姫を横たえて。


「有り難う、では知識転写で使わせてもらうよ、“スリープ”」


アベルは素早く鍛冶で胸部切開を施して、胸部内にある魔晶石を取り出してから、新しい魔晶石に知識転写をした。夜刀姫の魔晶石を背骨融合部に戻して配線接続確認してから空いた空間を魔水で満たした。その後、錬金術で胸部を閉じて融合した。


アベルは執事のイメージ図を前回の薄板白布に木炭で等身大の少年裸身像をデッサンした。


二度目なのでデッサン絵を短時間で完成した、痩身長背の銀髪で紅い瞳で笹耳小麦色の肌のダークエルフ少年を正確に描いた。

完成したデッサン画はイーゼルに立て掛けて、魔晶石等の各種素材を作業台上で確認して、魔水缶の中身も確認して全ての召喚の準備完了を確認した。


アベルは正面の等身大の少年裸身像を見つめて“ゴーレム召喚”と唱えた。

すると作業台周辺の素材群が光に包まれて激しく輝いた。

アベルはあまりの眩しさに眼を閉じたがやがて瞼を開けると作業台上にデッサン絵そっくりなダークエルフ少年が横たわっていた。


作業台上のインゴット群は消滅して、新しい魔晶石も消えていた。


そこから召喚したゴーレムの長期間作動のためのこれまでの経験則から起動の前に素早く鍛冶で胸部切開を施して、背骨部内に融合してある魔晶石と配線を確認した。

確認後、開いた体腔内の空間を魔水で満たしてさらに魔晶石を軽銀箱で覆い保護した。

施術終了後、胸部切開部を錬金術で融合して閉じた。



◇◆◇



 夜刀姫のこれまでの戦闘経験や生活の知識が弟の執事ゴーレムに移転されている。執事の経験はこれから経験して学習して貰うしかない。

アベルの執事に関するデッサンは、ダークエルフ夜刀姫の弟としての躯体イメージで描いている。


結構美男子になった。身長187㎝体重85㎏と長身で筋肉質体系だが贅肉は一切ない引き締まった体形だ。

夜刀姫と同様にまつ毛は黒色で瞼との接合は髪と同様な処理をしてある。

眉毛は黒色で唇は薄い赤色で酸化処理ペイントをした。


痩身長背の銀長髪で紅い瞳で笹耳小麦色の肌のダークエルフ男性の島執事が誕生した。

カインは執事として召喚して、目的は島事業の日常管理者として製作しているが、万一の場合は島民を守る戦闘能力も欲しい。


アベルは左右の作業台の上の夜刀姫と執事ゴーレムに触れて“起動せよ”と命じた。

すると左右の台上の二体の金属ゴーレムが瞼を開けた。

ゆっくりと二体の人造人間は作業台上で半身を起こした。


「夜刀姫協力有り難う、衣服と装備を着けて控えていなさい」

「はい、アベル様」


「お前の名前はカインと付けた」

「はい、私はカインです」


「カインは俺の執事として召喚した、主な仕事は俺の不在中の島の事業の継続と守護そして俺への定時連絡だよ」

「了解しました」


「カインの姉の夜刀姫だ、いろいろ教わるようにね」

「カインです、よろしくお願いします」

「はい、こちらこそよろしく」


「執事服は後日帝都に行くときに注文で作るから、それまではこの村人服を着ている様に」

「はい、了解しました」


衣装は帝都の服店の注文仕立てで作ろう、どうせ侯爵に腰バックを残りの納品に行くのだ、ついでに短期の執事見習いも侯爵にお願いしよう。

男性でも裸体はまずいのでとりあえず村人男性の上下服を着て貰おう。

帝都服店への注文書を今書いておこう。


島執事の採寸注文服は燕尾服、執事服、夜会服、軍服の4着とする。


白シャツ、ブラックタイ、カフス、靴下、革靴、長革靴、山高帽、軍帽、剣帯、白手袋、白ハンカチーフ、雨傘、黒革鞄、インパネス・ケープ、下着類、ガウン等の購入資金は俺が狩った獣の牙・毛皮・肉の売却代金で賄うつもり。


カインの黒腰バックに入れる護身用武器は、ミスリル金属で製作した片手剣のレイピアとマンゴーシュにしよう!

執事職だから島での戦闘は海賊撃退戦程度で多くないと想定している。


「これからカインは台から降りて、全身の動作の不具合点検をしなさい」


カインは台から降りて、全身を屈伸して小刻みに動かして不具合を調べていた。


「動作の不具合はありませんでした」

「了解した。第一命令権者はアベルで俺だ。第二命令権者以下はない」

「はい、了解しました」


魔法攻撃や落雷を感知して中に魔力を流せる露出型の攻撃波検知装置もカインに必要だった。

アベルは碧色魔石と銀小板を収納庫から取り出してライオン型指輪を造りカインの右手人差し指に嵌めさせた。



アイラ王女は島開発で役立つていますが、クマリ住民の間では王女の早期帰還を望む声が強くなって来ている。

アベルはアイラ王女にカインを自分の島執事として紹介して、商館に引き継ぎ要員として住み込ませた。


アイラ王女からゴーレムの輓馬とフレーム馬車の島内での貸与要請があったので、時空間収納庫から出して商館に置いた。

アベルはアイラ王女に離島挨拶して、夜刀姫とシバ族山城目指して飛行船で離陸した。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




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