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L.ラバーズの返答
淡い桃色にしたためた言葉は、その色に相応しいものだった。
曰く、彼女が好きだと言う。
彼女は実に恋多き女性で、数多の男と恋をしてきたのだけれど。
綴られた桃色の言葉ほど、彼女の心を熱くするものは無かった。
彼女はお返しに真っ白な紙に桃色の花を添えた。
桃色の言葉に相応しい、美しい花だった。
あくる朝。
届いたのは橙色にしたためた言葉であった。
曰く、彼女が恋しいと言う。
その色に相応しい哀愁に、彼女は酷く心を痛めた。
彼女は真っ白な紙に橙色の花を添えた。
橙色の言葉に相応しい、寂しげな花だった。
あくる朝。
届いたものは緋色の紙である。
曰く、彼女に焦がれていると言う。
その緋色に相応しい情熱的な言葉たちに、彼女は心を焦がした。
彼女は真っ白な紙に、似合いの花を添えて届けようとしたのだけれど。
どこを探しても、相応しい花は一輪だって見つかりはしなかったので。
L.ラバーズは結局、真っ赤に焦がれた心を添える事にしたのである。