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Ld.ロードの創作
一心不乱に線を引く。
真っ白な紙は、彼に与えられた唯一の領地だった。
何枚もの紙の上に、彼は線を描く。
直線も、曲線も織り交ぜて。
交差点には一方通行を、三叉路には袋小路を付けたりして。
あまりにも彼が楽しそうだったので、誰も彼を止めなかった。
これは私自身であると大仰に言われてしまっては、誰も紙を取り上げる事は出来なかった。
彼の夫人だけは、はしばみ色の瞳を瞬かせて、困った人だと溜息を吐いたのだけれど。
結局、完成した紙を持って出た彼がその消息を絶ってしまうまで、誰も彼を止められなかったのである。