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Dr.メランコリーの喝采
彼はいつも暗く沈んでいたので。
その声が彼のものであると、最初は誰も信じられなかった。
皆が目を丸くして、口を大きく開けていても、彼は止まらない。
止まれない。
暗く沈んだ顔をキラキラさせて。
醜くしゃがれた声を大にして。
歪んだ体を躍らせて。
彼は歓呼に狂っていた。
何があったのかと誰かが問う。
素晴らしい事があったのだと、彼は答えた。
素晴らしい事とは何かと、また別の誰かが問う。
素晴らしい事は素晴らしい事だと、彼は繰り返して答えた。
誰もがとにかく素晴らしい事があったのだなと、分かったような顔をして頷く頃。
彼は騒ぎ疲れてぱったりと倒れ込み、そのまま深く深く眠り込む。
Dr.メランコリーの生涯で、たった一度の輝かしい夜だった。