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詩(短編)

結び目を

作者: 少々



 結び目を数える。

 遠い記憶で婆さまが数珠の粒を数えるように。

 一つ二つを摘んでいく。


 私の婆さまは目が見えず、歩く前に手を伸ばす。

 明後日の方を見て、私の名前を呼ぶ。

 返事一つに対して、一つ、向きをかえてを繰り返す。


 婆さまを思い出す。


 気付けば指も動かさずに。


 一つ、二つ、三つ、経も唱えることもせず。

 

 ひたすら婆さまを思い出す。


 そういえば編み目も数えていたわ、器用な指であったと思う。


 生温い風が吹く。

 最期に触れた婆さまのように。

 思い出深くに隠してあったのに、数えたくなる夜――


 結び目を数える。

 婆さまの数珠のかわりに。


 

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