018
は?
……は?
「ちなみに、ロリコンです。小学生の女の子が大好きです」
「それはなんとなく察してたけど」
「あ、そうでしたか。でも私、お天道様に誓って犯罪は犯していないので、どうか通報だけはご勘弁を」
「別に警察に突き出すつもりはないから、大丈夫」
「ありがとうございます、いい人ですね」
お礼を言われるのも、いい人と言われるのも特段悪い気はしない。
犯罪と言えば、許可も取らずにロリをパシャパシャするのは犯罪ではないのだろうか?
………………。
「いやいや、ちょっと待って! リバーさん、だっけ? え、ちょっとさっきの衝撃的なセリフ、もう一度言ってくれない?」
「ああ、はい。その話でしたね、ついつい予防線を張ってしまいました」
てへぺろポーズ。
二次元のキャラクターの天然や清楚がやるから許されるポーズであって、現実の人間が安易にやっていいポージングではない。
もちろん、憩がやるなら話は別だ。
ちなみに憩と母さんは口をあんぐりと開けて棒立ちしている。
リバーさんによる超絶爆弾発言からまだ立ち直れていないようだ。
「リバーさんが、僕を女の子にしたんですか?」
実体験として女の子になった身ではあるが、言葉にしてみるとつくづく荒唐無稽な話をしているのだと理解させられる。
「はい、私があなたをTSさせました」
リバーさんの表情はいたって真面目で、嘘を吐いているようには見えない。
そして耳慣れない言葉の登場。
「てぃーえす?」
ナイスアシスト、憩。
「トランスセクシャル。日本語訳で性転換、性別が変わるという意味で使われていますね」
そんな言葉があったのか。
二十年という人生だったが、今までTSという言葉は目にも耳にもしたことがなかった。
いや、知っていたとしても、使う機会なんて絶対になかったはずだけども。
「何度も聞くようで悪いけれど、蛍の性別が変わったのは深刻な病気とかじゃなくて、あなたがやったことなのね?」
「その通りです、お母様」
どうやら母さんも本調子に戻ったようだ。
ここまで何度も断言されると、冗談を言っているのではないかという疑惑の思考もどんどんと薄れていく。
それなら、大抵次の質問は定まってくるものである。
「それでリバーさん。どうしてそんなことをしたんですか?」
理由もなく人を殺したりしないように、理由もなんの動機もなくこんな、一人の人生を狂わせるような真似をするはずがない。
なにかしらの理由があるはずだ。
リバーさんはよくぞ聞いてくれたと言っているような満面の笑みを浮かべた。
なまじ顔がいいからか、とても魅力的に見える。
憩が生まれる前の僕だったら一目惚れしていたに違いない。
「そうですね、一つだけ明確な理由をあげるとするなら──」
リバー・シューティング・ゲームはそのボサボサな髪をたなびかせ、かっこいい決めポーズを取り、そして決め顔で宣言した。
「ロリを増やしたかったから、ですかね」