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茶吉の日常

猫が暇

作者: 茶吉

初めてクロ美が我が家の玄関をガラっと開けて入ってきたときにはもう尻尾が股に割れていたから裕に100歳は超えていた。 その日以来クロ美が玄関に住んでいる。以前住んでいた家の奥さんが通りかかって「あらクロ美ちゃん、お久しぶり」と声をかけて行くところをみると、どうやら円満に退去してきた様だが、その理由を聞いてみると、「アタシよりも若い猫にご主人がうつつを抜かした」んだそうで、そんなような理由で、もうすでに4、5軒の家の軒先を転々としてきた経歴をもつクロ美。そんなことをこの狭い町内でやってきたのだからちょくちょく昔のご主人や昔のオトコに出くわしてしまうけど「過去は振り返らない」クロ美はいつも毅然としている。

娘の親友に、カリンちゃんというハーフの女の子がいる。カリンちゃんは、アニメに感化されて、農業高校に進学したのだが、初めは楽しかった牛の世話にも最近ではうんざりしてきて、不登校気味になっている。と娘から聞いて心配になった。ご近所同士、小さい頃からカリンちゃんを見てきたので我が子のように思っているし、なんとか楽しく高校に通ってくれないものかと思いあぐねていると、ふとクロ美と目が合った。そこで、「なんか出してくれよぉ〜」と頼んでみると、クロ美は自身のタル〜んと皮が余ったお腹のポケットをゴソゴソやって、「どこでもドアー!」を出してきた。これならど田舎にある農業高校へ電車を乗り継いで行く手間が省けるということか。でもこんな便利なドアをカリンちゃんにあげたとして、果たしてカリンちゃんは農業高校に通ってくれるだろうか。女子高生だからディズニーランドなど、高校よりも楽しい場所へ行ってしまいそうだ。「もうちょっとなんかないの?」と頼んでみると、「モウリンガル〜」を出してきた。装着すると牛の言葉が理解できる機械だ。これならいい。カリンちゃんにプレゼントした。

あれから数ヶ月が経つが、娘がカリンちゃんに聞いたところ、牛の発言はだいたいが「カリンちゃんの体はなんてほっそりしているんでしょう。ちゃんと食べてる?」とか「カリンちゃんの顔って、どうしてそんなに小顔なの?」とか「かりんちゃんの足!ほっそぃ!」などというもの。かりんちゃんは毎日牛とのおしゃべりを楽しみに元気に学校に通っているそうだ。

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[良い点] ばったりのてん。 [一言] カリンちゃんにあげたとしてのてん。
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