前編 いなかはひろい?
「あっづいっす…みず…」
ジワジワと砂からギラリと光った太陽が反射する。
「おまえがぜんぶのんだんだろ…!」
僕達は砂漠に…
「だれすか…ここに来ようって…畑見るならアメリカのが見たいとか言い出したやつは…!」
いるわけはなかった。
事は一週間前
「たけしぃ!お前さ明日から夏休みやろ!」
畑仕事から帰ってきた親父が一息ついて俺に言った。
俺はこの家の一人息子で…親父と母親がいて…
よし。素直に話そう。田舎の平凡な男だ。
「夏休みやけどなんやぁ!畑は普段から手伝っちょろう?」
「んやぁ!畑はよか!お前旅行け!父さんもお前ぐらいん歳に旅行って人生変わったんや!ついでに他所の畑さ見てこい!畑巡りはええぞぉ!ついでに写真頼むわ!」
は???い???
親父が豪快に笑って言い放っている事を俺は全然理解出来なかった。
「旅ィ!?」
この男の前に並の常識は通用しない事を俺は今痛感した。ダメだこいつ早くなんとかしないと…!
「がはははは!!!ついでにほれ!あの子連れてけ!お前の彼女!」
「ただの後輩だっつの!!!!」
実際アイツはただの後輩で恋愛感情なんて一切…
「呼ばれたっすかぁ?」
「おひょっ」
…変な声出た。
「ちょwwwww聞いたっすか!親父さん!おひょってwwwおひょっwwww」
こいつめ…古典的に床をバンバン叩いて笑い転げおってからに…
「ガハハハハハハハ!おひょっとか言い出したぞ!!」
クソ親父め…
「ってかまず旅とかいきなり言われても…」
「あ!アタシアメリカ行きたいっす!U.S.A.!つって!wフフッwwwwおひょっwwwwwww」
紹介が遅れた。こいつは後輩の白井美良
美しくて良いと書いてみらだ。
もう一度言う"美しくて""良い"とかいて美良だ。
どこが美しいねん。永久にいじってくるぞ。
「あーめーりかっあーめーりかっ!」
ぐわんぐわんあたまを揺さぶってこられるのもしんどいのでそろそろ止めさせよう。吐くから。
「わかったよ!アメリカだな!ハイハイアメリカ!帰った帰った!」
…現在に戻る
「おい…回想見たらアメリカとか言ったのお前じゃねぇか…」
「お…おったまげー…」
「oh!Are you stupid!?」
その日はアメリカの農家さんに助けられました。