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才能ゼロの英雄  作者: 猫創太郎
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学園一番の有名人

初めてファンタジー物を書いたので、分からないことだらけですが、頑張ります。

「う、うそだろぉぉーーーー!」


冬夜の叫びが講堂内に響いた。


「だって俺、魔法科学都市出身だよ!」

「ええ、存じています。ですが、魔法科学都市出身だからと言って、必ず才能があるとは限りませんよ。そんな事ぐらい理解しているでしょ。」


受付の人の厳しい言葉が、俺の心に刺さる。


「ぐっ...。そ、それは...。」

「はぁ...では、才能学園普通科、1-Aの教室へ向かってください。」


呆れた口調で渡されたのは、クラスの位置と出席番号、席順が書かれた紙だった。

ここは科学と魔術が混在する魔法科学都市。そして今日は、その都市に存在する世界で最も有名な学園、才能学園の入学式。そこで俺、暁冬夜は才能ゼロと判定された。



「お兄ちゃん、今日は入学式でしょ!昨日あんなに張り切って「才能が、才能が俺を呼んでいるぅぅーーー。」って言ってたじゃない!早くお・き・て。」


妹の琴音が、全く似てない俺の真似をしながら部屋に入ってきた。そう、今日は才能学園の入学式。そして毎年、この入学式では手をかざすだけで、その人の内に秘める才能を教えてくれる「才能テスター」を使った才能検査なるものがある。その結果によって、それぞれの才能にあった学科へ進むのだ。わくわく。


「あぁ起きてるよ。なんたって今日は才能検査だからな!」


と言いつつ、まだベッドから出てない俺。そして、そんな俺をジト目で見る我が妹。やだ、ちょっと何その目。可愛い...。


「はぁ、起きてるなら早く着替えて降りてきて。朝食、出来てるから。」

「流石は俺の妹、きっと将来はいいお嫁さんになるな!」

「きもいっ!」


バンッ!

勢い良くドアを閉めた妹を見送った後すぐに着替え、寝癖を手で押さえながら階段を下りる。

朝ごはんは、いたってシンプル。トーストした食パンに目玉焼きをのせたものだ。

母親はいない。妹を産んだ時に死んだ。父親は魔法の才能を生かし魔術師になった。そのため、年に数回ほどしか帰ってこない。でも、確か今日は学園の警備がどうとか言ってたような...。まぁいいか。

いつもの様に妹の対面に座りテレビをつける。妹があまり目を合わせてくれないような気がするが、まだ怒ってるのかな...。ここで適当なことを言って、より機嫌を悪くするといけないので俺は無言でテレビを見る。


「今日はこの魔法科学都市で最も重要な日、才能学園入学式です。周りには常に警戒態勢の警察、魔術師など総勢300人が待機しています。」


ニュースの内容は、今日の入学式についてだった。たぶんこの時間帯はどの番組も、同じ内容だと思う。


「すごい厳重だね。」

「そりゃそうだろ。世界的に有名な才能学園の入学式だし。それに、これから未来を支えていく才能ある生徒を失うわけには、いかないからな。」

「そういえば、お父さんが「学園の警備の後会議があるけど、夕方ぐらいに終わりそうだから夕飯は一緒に食べようね!」だってさ。」

「げっ、父さん帰ってくんのかよ。」

「またお兄ちゃん、朝は一人でおきろーとか、妹に頼るなーとか、妹をもっと敬えーって言われるね!」

「そうだなぁ~。って!最後のは一度も言われたことないぞ!」

「あれれぇ~、そうだっけ。」


機嫌の直った妹との会話を楽しんでいると、登校する時間になった。

妹の、中学校の登校日は明日からなので、今日は休み。だから玄関で見送ってくれるようだ。


「学校昼までだから、お昼ご飯よろしくぅ!」

「はいはい、分かりました。気を付けて行ってきてね、お兄ちゃん。」


妹に可愛い見送りをしてもらい、俺は学校に向かう。


冬夜が学校に着くとすでに、たくさんの生徒が講堂に集まっていた。講堂と言ってもかなり広い。というか学園自体がかなり広い。魔法の訓練場、研究所、スポーツジムなどあらゆる才能に対応できるよう、色々な施設が建っているのだ。それにこの学園には寮がある。魔法科学都市に住んでいる人はあまり利用しないが、生徒は外国からもたくさん集まってくる。そういった生徒がこの寮を利用するのだ。


「ほぇ~、やっぱでかいな~。」

「外国から来た生徒が言うのは分かるが、冬夜は魔法科学都市出身だろうが。全く可愛いな~。」


やれやれといった表情で近づいてきたのは小学校からの知り合いである立花海斗だ。てか、最後なんて言ったぁ!


「可愛いとか言うな!気持ち悪い。」

「もぉ、照・れ・る・な・よ!」


その言葉を聞いた瞬間、背中を何かが這うような感覚がした。俺は逃げるように立花から離れる。我ながらナイス判断力。って、追いかけてくるし!

立花をなんとか撒いた俺は、才能検査を受けるための列に並んでいた。一回の検査で同時に10人検査する。その一回で約五分ほど、今年の生徒数は600人。現在8時なら順調に進めば1時頃には

終わるだろう。入学式とは言っているが、式らしい物は特になくただクラスが発表され、担任があいさつをして下校だ。

それにしても...。待ち時間が長い!前にはまだ300人ぐらいいるし。あ、あいつらゲーム機持ってるし!俺も持ってこれば良かったな...。ん?教師らしい人が来たぞ。


「やめろ!離せよ!」

「校則違反で没収だ。」

「返せよ!俺のゲーム機!!」


入学早々ドンマイだな。ゲーム機なんか持ってくるのが悪いんだよ!

俺がその様子を見て楽しそうにしていると、後ろから女の人の声がした。


「あなたって人の不幸を見て笑う、嫌な人なのね。」


イラっとした俺は少し怒気を含んだ声で言い返す。


「あなた初対面でいきなり失礼じゃないですか。それに、ことわざに「人の不幸は蜜の味」ってありますよね。つまり、ことわざになるくらい同じような気持ちの人が沢山いた、ということじゃないですかね。」

「でも、「人の振り見て我が振り直せ」ということわざもあるわ。あなたは先人の教えを、無視する気なの?」


この女。ちょっと可愛いからって調子に乗りやがって!いやまぁ、ちょっとじゃなくてかなり可愛いけどね。透き通った白い肌、腰まで伸びた真っ黒な髪、少し鋭いでも、どこか優しさを感じる目つき、可愛いと言うより美しい...。そんな少女だった。


「なによ、ジロジロ見て。あまり気分の良いものではないから、やめてもらえるかしら。」


ただ性格と胸のサイズは残念の一言だな。フッ...。


「あなた今、私の胸を見て笑いましたよね。その行為、女性に対して失礼だと思わないのかしら。」

「それは誠に申し訳ございませんでした。あ、もう順番なんで。じゃ!」


いつの間にか結構時間が経っていたようで、検査の順番が回ってきた。俺は性格と胸以外完璧な少女に別れを告げ、才能テスターに手をかざす。才能テスターが淡い光を放つ。しばらくすると案内役の教師に「検査が終了したので、クラスわけをします。受付へ移動してください。」と言われ受付カウンターへ案内された。さぁここで、俺にもの凄い魔法の才能があることが分かり一躍、学園一番の有名人だな!ぐふふ...。それに俺は、毎日寝る前の筋トレを欠かさず、中学の頃は中二心をくすぐられ、体術を習っていた。だから喧嘩は強いほうだと思うし、顔も良いほうだと思う。フフフ、見えた!俺の希望に満ちた学園ハーレムな未来が!


「暁冬夜さんでよろしいですか。」

「あ、はい。そうです。」


確認の後、受付の人が検査の結果が書かれた紙に目を落とす。


「あ...。で、では!今から報告しますね。」


ん?なんださっきの間。ああ、そっか!俺の才能値の高さに驚いたんだな!まぁ、仕方ないよなぁ。なんたって魔法の才能は、10人に3人と言われてるしな。その中でも魔術師になれるのは、二分の一と言われている。そして俺はその魔術師の息子、魔法の才能が高くて当然だよな!さらにさらに!俺は魔法科学都市出身。魔法科学都市は昔から才能のあるものを集める事で発展してきた都市だ。当然才能のある親から生まれた子も同様に才能があることが多い。実際この都市の人口の80%は、才能を持っているらしい。そんな完璧な環境で育った俺が魔法の才能がないわけがない!


「あなたの...」


ドキドキ


「才能は...」


ワクワク


「ございません。才能ゼロです。」


.............へ?


「...........へ?」

「才能ゼロです。」

「...........え?」

「才能ゼロです。」

「ちょっと...え、も、もう一回...。」

「さ・い・の・う・ゼ・ロです!」


え...そ、そんな...。ありえない...。


「う、うそだろぉぉーーーー!」


冬夜は今までの人生で、一度も出したことのないような大きな声で叫ぶ。講堂にいる誰もが冬夜に注目する。この時冬夜は[入学式で突然叫んだヤバイ奴]として夢であった、学園一番の有名人になれたのだった。









更新は不定期になるかもです。ごめんなさい。

一応予定では、10月8日に更新するつもりです。

ご意見ありましたら、お願いします。

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