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城壁や堀は空からの脅威に無防備だったりする

あれから数日──


第2の因子対の真珠貝アコヤを手に入れた俺は、夢中で縄張り整備を進め完成させた。



円状に広がる草原と切り立った崖を取り囲むように、高さ10mの城壁を築き、城壁外には幅10mはあろう堀までこしらえた。


共に周囲1kmはある立派なものだ。切り立った崖にあるゴブリンズの穴も綺麗に埋めたよ!


そしてその城壁に守られた拠点にはきどちゃん渾身の庭園とそれを臨む家がある。


水源を整備して小さい滝をつくり池を設置して城壁外の堀へと流す。美しい! いいよこれ!



住居の作りはとてもシンプルな2階建で一階は庭園を眺められるリビング的な構造。そして2階は寝室となっている。


住居の問題はあっという間に解決した。本当に便利するぎるだろ対の真珠貝アコヤは!


アコヤのすごい所はこれだけじゃなかった。なんと食べ物も生成できるのです!


森にいるモンスターや動物を仕留め吸収させて、同等のエネルギー量を持つ食べ物を生成させる。


つまり


この異世界にあって日本で食べてきた食事を再現できるのだ。それも栽培・調理の過程を飛ばして!


すごく、すごく快適です。きどちゃん感動です。




そして今日ものんびり快適な朝を迎え、一階にあるテーブルに空のお皿を並べています。


「おーいしぇるー、朝食だぞーおきろー」


『あいー! 』


2階の寝室からトタトタ階段を下りる足音が聞こえる。


シェルは朝から元気だな。まぁ、原因は日本の食事を憶えてしまった事なのだが。


「シェル、今朝はなにが食べた──」


『はんばーぐ! 』


これだ


お子様に大人気の定番たるハンバーグを食べさせてからこの調子だ。


「ちゃんと付け合わせの野菜も食べなきゃだめだぞ」


『やだー! はんばーぐだけー! 』


「言う事聞かないともうハンバーグ抜きだぞ? 」


『うぅー、ぜんぶたべる! あい! 』


空の皿に料理を出しつつ、苦笑いをする俺。


こんな調子の穏やかな朝食タイムを満喫し、今日も一日がはじまる、と思ったのだが。ソイツはいきなりやってきた。



──グワァアアア



「ん? シェル今なんかいったか? 」


『モキュモキュ? 』


ハンバーグを頬張ってるシェルが何か喋れるはずないか。あれ?



──グギャァアアアア


!?



やっぱり聞こえる! 遠くの方から。おいおいまたトラブルか。やめてよ~。穏やかな生活を邪魔しないでよぉ~。



まぁ城壁あるし、堀もある。ゴブリン程度なら問題ないだろ──



──バサッバサッ



あ、あ、



──グギャァアアアアアアアアアアアア



空からかよ! しかもコイツ



ドラゴンじゃねーか!!!!!!!



喰われる。まずい、まずい、まずい。


シェルは!? ってコイツハンバーグに夢中じゃねーか! まずいって! モキュモキュじゃないって!



致し方ない


ここは穏便に対応してお帰りいただけないだろうか? 元トップ営業の底力を発揮するのは、今!



「あー、おはようございます。ドラゴンさんでよろしいでしょうか? わたくしきど・ないと、と申します。よろしければご用向きの程教えていただけないでしょうか? 」



ドラゴンは空中に留まりながら、少しだけ口を開くと目線を俺に向けテレパシーのように語り掛けてきた。


『神域の因果に触れし上質な魔力を感じそれを喰らいに来た。よもや矮小な人だとは思わなかったがな。我に取り込まれる事を誇るが良い』



は?



何を言って──



──グハッ



俺は吐血した口元を押さえて尋常ならざる痛みに耐えていた。ドラゴンに動きは無い、つまり──



『ほう? 其方はなかなか面白いモノを宿しているようだな。よもや呪いとは。これは面白い、このまま呪いによって果てるのを見る、か。それも一興、グハッハッハッハ。なに案ずるな、果てた後喰らう事に変わりはないのだからな』



くそが、痛みで声もでねぇ。だが冷静になれ。これはチャンスだ。


ドラゴンはどうやら手を出さず俺を見世物として扱ってる。


ステータスを


まずは


ステータスを見るんだ



─────────────────────────────────────


良所 内人 種族 人間


称号 貝を統べし者


LV 80


HP 1800/1800→1120/1750※呪効果により上限HP減少

MP  300/300

STR    800

VIT   900

INT   150

DEX   200

LUK    50


──ユニークスキル──


壊れかけた魂(呪)LV5


知的な生物に対し直接交流を計ろうとすると生命が削られる

削られた生命に対しLV相当の苦痛上昇効果

不解呪



渇望LV3

神々の贈り物。望みを叶える因子を与える

LVによって因子の数が変わる

対価 因子の交差により知的生命体の接触が増える


因子1 貝殻シェルター・周辺の魔素を取り込みHP・MPの回復を促す。召喚者のLVに応じ成長する。召喚者の魔力を注入すると開閉する。召喚者が外にでると防具として体に付着する。魔力を注入すると元に戻り、召喚者が中に入ると閉じる。

装備時各ステータス+800※魔力減少デバフ付与



因子2 対の真珠貝アコヤ・万物を吸収し、同等価の物を創造する。創造は召喚者の記憶イメージと直結する。吸収・創造の際にMPは消費しない。


因子3 未確定


─────────────────────────────────────




いつの間に呪いのLVが上がってやがる……畜生が……。HP上限が削れるとか、このままだと消滅一直線かよ。


話しかけるのも、話しかけられるのも不味いってのは理解した。


対処方法はただ一つしかなさそうだ。


駆除する


生きる為に


この強大な生物を


駆除しなければ



声がでない俺は心でシェルに問いかける。




──シェル、聞こえるか



──あい



──どうやらコイツは俺たちの「敵」らしい



──あい



──すまないが、俺に力を貸してくれ。それもとびっきりの力を



──はんばーぐ



──え



──はんばーぐ



あれ? 俺って今ものすごくピンチですよね?


人生の分岐点(異世界)っていってもおかしくないほどのピンチですよね?



はんばーぐって……俺の命はハンバーグに掛かっているのか!? うそでしょ……ええい、ままよ!



──アイツをぶっ飛ばせる力を貸してくれたら、チーズ、テリヤキ、トマトソース、これら伝説のハンバーグ3種の神器を食べさせてやる



──あいあいあいあいあいあいー! けーやくなの!



──あぁ、意識が痛みで飛びそうだ。後は頼める、か?



──はい、主命を果しましょう



あれ? 言葉使いが変わった!? あれ?



ふと感じた違和感だったが、俺は意識が途切れるのであった。



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