表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
対人恐怖症な俺の異世界リハビリ生活  作者: 春眠桜
ラドルア帝国の暗影
20/123

良所内人(きどないと)の咆哮

「おい、シェル。お前一体なにしたんだ? 」


『あい? びりびりでぱたんなの! 』


「……」


どうも、きどないとです。


鎌おじさん、ヘルダーさんとソフィアさんの会見を終えた俺達は戦場に戻ってきました。


そこで見たものは……


草原一杯に横たわる人馬・その他の者の横たわる光景だった。一見全滅してる様にみえて焦ったよ。


「んで、これ。どーすりゃ治るんだ? 」


『あい! アコちゃん! あい! 』


アコといわれ左手を見る。規格外な事は重々承知なのだが、この量大丈夫なのか?


まぁいわれた通りやるしかないよな。


「少し待たれよ」


「はい? 」


おぉう。鎌おじさんが俺の行動を制止してきたぞ。


「どうかされました? 」


「うむ、この状況で麻痺を開放するといささか不味い事になる。その前にやらなくてはならぬ事があるのだ」


確かにこのまま麻痺を開放すると大混乱必至だもんね。


「おまかせします」


「うむ」


そう返事をしたヘルダーは、一拍置くと息を吸い込み一気に激を飛ばした。


「聞けい! 帝国軍全兵士よ、我はヘルダー元帥だ。この状況を開放するにあたり言の葉に耳を傾けよ」


「戦闘は終了だ! 王国軍も同様である。ソフィア殿下からも伝令がある故、心して聞かれよ」


ヘルダーの激につづき、ソフィアも激を飛ばす。


「ヴィクトール兵士諸君、聞いての通りだ。我々の長きにわたる戦乱に終止符を打つべく心同じく参集してくれた勇敢な兵士諸君」


「この戦乱を終わらせる(鍵)を手に入れた! 帝国軍ヘルダー元帥の言葉と同じく我らは停戦し、王国へと帰途に就こう」


「神々は、女神は我らを見放しはしなかった! 」


激が終わると、ソフィアは俺に向かって話しかけてきた。


「御使い殿、後は頼む」


「ないと、です」


「は? 」


「わたくし、きどないと、です」


「あ、あぁ。ナイト殿、よろしくたのむ」


「はい」


なんか困った顔してるソフィアさん面白いな。


さてと、やりますか。


俺は左手を高く掲げ目一杯に広げる。そして望を口にした。


──アコに命じる


横たわりし全てを開放せよ



同時に左手に女性の顔が浮かび、口を広げる。


すると周辺に倒れた全てから紫色の霧が浮かびだし、俺の真上に渦を巻き始めながら集まりだした。


そして滝のようにアコの口へと流れ込む。


ものの数分で霧は晴れ、ガシャガシャと鎧兜の音を立てながら兵士や軍馬が起き上がり、歓声を上げ始める。


「ラドルア帝国軍、全軍撤収! 」


「同じくヴィクトール王国軍、全軍撤収! 」


ヘルダー、ソフィア両名の号令に従い、両軍は撤退し始めた。


「御使い……ナイト殿、話がある」


「はい? 」


「私も……邪神討伐に連れて行ってもらえないだろうか? 」


「無理っすね」


「なぜだ! 」


そりゃ無理っすよ。だって相手邪神だもん。聞けばソフィアさんて王国のお姫様って話だし。危ないし、何かあればとばっちりうけそうだし。


「小娘よ……ナイト殿の気持ちを察しろ」


「どういう事だ死神! 」


「お主は王国の姫君だぞ。成り上がりの冒険者ではあるまいに。軽率な行動は慎めという事だ」


「ぐぬぬ……」


おぉ、リアルで「ぐぬぬ」なんてはじめて聞いたぞ!ちょっと感動。


「わかった、だが私本人ではなく代理を立てて同行させてはもらえないだろうか? 」


「えーと」


メンドクサイ事になりそうだな。鎌おじなんとか断ってくんないかなぁ? という思いでちらみしてみよ。


あれ、鎌おじ目を閉じて何か考えてるけど。断ってくれる流れっすよね?


「小娘の言にも一理ある。どうだナイト殿、代理の同行を許しては? 」


「は? 」


思わず「は? 」っていっちゃったよ。


「まがりなりにも我らは戦争をした。死者・負傷者も多数でておる」


「はぁ」


「それを何の成果も無しに帰国となれば、軍法会議で裁かれる事になる」


なるほど、そういうものか。


「つまりソフィア本人といかずとも代理人を同行させ、事の顛末及び事後の処理をさせねばならぬ。と言う事だ」


「つまり、断れないって事ですよね? 」


「うむ」


はぁ……。ちょっと軽く考えてたな俺。早々邪神ぶっ飛ばしてシェルと帝都見物したかっただけだったのになぁ。


「わかりました、しょうがないですよね。それでどなたが同行者としていらっしゃるのですか? 」


ソフィアさんに向かって訪ねると


「負傷者の収容及び死者の弔いをせねばならぬのだ。翌日連れてくるがよろしいか? 」


まじか、まさかの一泊確定。


といいますか、帝都までの道程はどのぐらいかかるのだろう?


「鎌おじさん、帝都までどれぐらいかかりますか? 」


「ふむ、軍行にて半月はかかろう」


嘘だろ


いくら何でもかかりすぎだって。


甘かった、認識が圧倒的に甘かった。俺的には今日中に帝都について邪神ぶっとばす予定だったのに。



「あーもう、メンドクサイ! 」


思わず叫んでしまった。だってストレス半端ないんだもの。



「「は? 」」


「お二人とも聞いてください」


「「うむ・はい」」


「鎌おじさん以外の屈強な同行者を各自2名づつ呼んでください」


「「は? 」」


「今すぐ! 」


「「わ、わかった」」


ヘルダー・ソフィア両名は慌てて軍馬にまたがり、各自の陣営にすっ飛んでいった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ