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騒乱編 第一章 ソロー大草原の会戦 壱

ここソロー大草原で何度目の戦いになるのだろうか


私は全部隊に陣形を整えさせつつ思う


大量の血を流し続けた戦いも今回で終止符を打とう、そう何度も誓い続けてきた。だが戦乱が収まる気配はない。


戦争というのはおかしなもので、切っ掛けはどうであろうが一度血を流せば際限なく拡大し収拾がつかなくなる。


我がヴィクトール王国の庇護下にあるエルフ族


そのエルフ族の数名が憎きラドルア帝国に拉致された。


初めは外交折衝で解決に臨んだが、事もあろうか特使を公開処刑しその屍を晒し辱めた。


拉致されたエルフ達はラドルア帝国・帝都に監禁され、その命運もいつ消えるかわからない状態である。



あれから100年


祖父の代からはじまったこの騒乱は今だ続いている。


密偵の情報によれば、未だエルフ達は存命との事。


ならば諦めるわけにはいかない。同胞の救出、そして我がヴィクトール王国の平穏を踏みにじったラドルア帝国に鉄槌をおろさねばならぬ──



「ソフィア殿下、全部隊陣形整いました! 」


「──わかった」


先程までの喧騒は嘘のように静まり返っている。私は全軍に向かって口を開いた。


「皆の者、聞けぃ! 100年に渡る戦乱も終わりを告げる時が来た。同胞を救出し、我らヴィクトール王国の誇りを示してきた先人達へ勝利を捧げよ! 」



──おぉおおおおお、我がヴィクトールに勝利を



「戦神オーディニアスよ御照覧あれ、ヴィクトール・グローリアース! 」



──ヴィクトール・グローリアース!



「全軍進撃、我に続けぇええええええええええええ」



──ウォオオオオオオオオオオオオオオオ



                 ◇



「伝令! ヘルダー元帥、ヴィクトール王国軍が動き出しました。その数およそ5万」


「あいわかった。手筈通り方円陣にて対応せよ」


「御意! 」


クックック、ヴィクトールの小娘が前回の会戦勝利で調子づきおって。


前回の戦いは帝国内の勢力争いからなる愚者共の出陣、はなから勝なぞ当てにしておらぬわ。


まぁ全て我の計画を進めているだけだがな。


「ジーク及びライラをここへ」


「御意」


──


───


────


「騎竜大隊長ジークフリート参陣しました」


「重装歩兵大隊ライラ御前に」



「両名参陣大義」


「聞いたかジーク、ライラ。ヴィクトールの小娘が先勝の余勢をかって突撃してきたようだぞ」


ほぼ無表情なジークフリートは静かに口を開く。


「哀れな事です。同年齢の娘子は学業に励み、友人や恋人をつくっている時分でしょうに。」


「ほう、敵将を哀れに思うか。その余裕さすが無敗の翼竜将と言ったところか」


「お戯れを」



「ライラは今回の戦をどう見るか? 」


「はい、侮りは禁物かと。ソフィア殿下自ら率いる本営もさることながら、「剣と盾」の出陣は確実かと思われます。」


「やはりツワモノ共が必ずお供に来ていると見るか」


「御意」


「ならば汝らに問う。両名と「剣と盾」が相対した時、後れを取るか? 」


「「屠る事適わずとも、後れを取ること無し」」


「十分だ。悪いが今回の戦、我が自ら敵本営を討つ」


「元帥自らの出陣ですか、欲を言えば某も戦列に加えて頂きたいのですが」


「はっはっは、ジークよ、わかっておろう。其方も今や大隊長の身で動きづらい事を。」


「残念です」


「よい。其方ら両名は敵将(聖剣)クレイグ及び(不落盾)オースロックを押さえよ。ただし、無理はするな。分が悪くなればけん制しつつ後退せよ。」


「「御意」」


「さぁ出陣だ。小娘に本当の戦というものを教えにな」


「「ハッ」」




──全ては皇帝陛下、そして皇女殿下の為に



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