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賽は投げられた

創造神イアルダバオートがエレーファに降臨した同時刻、神々の住まう神界でも異変が起きていた。


──◆やっほー。みんなひっさっしぶりー! 元気にしてたぁ?


──◇なにが久しぶりだこの馬鹿が! どれだけ心配させたとおもうのだ!


──◆ままま、ルシフェルと俺の仲じゃん! それに予想通り『傲り』まくってるじゃん? あのアホ


──◇……まぁ良い。とにかくだ、ディアール。よくぞ帰ってきた、我が友よ。


──◆こちらこそありがとう。ルシフェル、貴方がいなければ終わりを迎えていた。


創造神にしてやられたと思われていた一連の事象は、すべてトート・ディアールの予定通りだったのだ。自らを消滅させた理由は呪いにある。つまりリセットをしたのだ。【喪失の呪い】と【相反魂】、この二つを解除するためにおこなった茶番である。そして真の狙いは、創造神を大洞窟へ降臨させる事であった。


今現在全ての神々にかかっていた呪いは消滅し、神力を完全に復活させた彼等は約束の時を迎えていた。


──◆あの空間は特殊なんでね、あのアホですら容易に脱出できない。でも時間の問題なんだけどね。


──◇ふぅ……それよりもだ。分裂させられる前にかけた呪いが解け、今こうして全てを取り戻した。シェリーアになにか言う事はないのか?


──◆あっ、そうだね。やっ、シェリーア。元気だったかい? 良い子にしてたかな?


『ディアール……ディアールなのね……? 私……私は……』


──◆ほらほら泣かないの。せっかくの美人さんが台無しだよ?


『ディアール、ディアール!!!! 』


──ちっ、いつまでいちゃこらしてんだよ。


──ほんとみてらんないよねー。


──悠久ノ時ヲ越エタ再会デアル。ソットシテオクノダ


──きっひっひ。いつまでたってもシェリーアはオムツの取れない嬢ちゃんだよ


──再会の抱擁は結構。だがなディアールよ、ぐずぐずしているとアノ創造神が余計な事をしはじめるぞ


──◆させないさ。それに当初予定していたもの以外に保険にしては十分過ぎる方がいらっしゃってるみたいなんだ。


──◇それはエレーファの不安要素になりはしないのか?


──◆とんでもない。彼……いや彼女……あれ? 姉弟かな? まぁゲストさんは不安要素になんてならないよ。ひょっとすると新しい俺らの家族になるかもしれないよ?


『ディアール……ただいまのチュウは? 』


ディアールとルシフェルの会話など全く関係ないとばかりに口付けをせがむシェリーア。これには理由がある。

元々責任感があり、甘えたがりな性格だったのだ。それがフィリーアとシェルに分かれた時に責任感がフィリーアへ、甘えたがりがシェルへと偏ってしまう。


それが元に戻れば、という話だ。


──◇……それは全てを終わらせてからにしようか。シェリーア、一足先にエレーファへ降臨するよ? それからルシフェルをはじめとする皆、彼等の選択を受け次第俺達に続いてね。



                   ◇


世界が再び動き出す。


公国の城にある一室──ソフィアがある変化をみせる二人に対し叫んでいた。


「動いて──ってシェルちゃん!? それと上皇陛下!? 」


指示を出していた彼女が驚く理由。それはちびっこだったシェルが女神そのものに変化し、更には顔半分がナイトになったディオールドの姿を見たからだ。


──◆どーもみなさんこんにちわ! 俺は因果神トート・ディアール! んでこの子は女神シェリーア。みんなよろしくねぇ~


『はじめまして、ではありませんね。私の半身シェルを大事にしてくださって誠にありがとうございます』


──なっ


皆絶句していた。理解が及ばなかった。


フェルは蹲りプルプル震えている。


ベリアは父の結晶を抱えてスヤスヤ寝ていた。


百歩譲ってシェルが女神そのものだったのは理解できる。だが、ディオールドに降臨したのであろうナイト似の神の言葉が理解できなかった。なにしろ軽すぎたのだ。


しかし、そんなものお構いなしにディアールは続ける。


──◆まぁまぁみなさん落ち着いて? リラックスは大切ですよ? それとこれからみなさんには大切な選択をしてもらうんだけど、詳しくはシェリーアに聞いてね! んじゃシェリーア頼んだよ!


そう言うと因果神ディアールは右手に杖を、左手に【四十二】と書かれた書物を現出させ、その場から消える。あっというまの出来事だった。



                    ◇



突然現れては消えるディアールに驚くばかりではいられない。そう思ったソフィアはその場を代表して女神シェリーアへと尋ね始めた。


「あ、あの。女神……様? でよろしいでしょうか? そ、それと選択とはいかなものなのでしょうか? 」


『あら、うふふ。他人行儀はさみしいですわ、ソフィアお姉様。いつものようにシェルちゃんってお呼びください』


「あ、いやいやいや。お姉様などと呼んではいけません! ソフィアでお願いします。それと女神様をシェルちゃんよばわりは……」


『シェルちゃんて呼んでくれないとお姉様が私とライラお姉さんにした【お仕置き】の内容をここで暴露いたしますよ? 』


「わかりました。シェルちゃんゴメンナサイ」


ヘルダーは思う。


女神にお仕置きとは一体なんの事だろうと。


そもそも人が、神に、お仕置きとは


あぁいかん。考えるのをやめよう。きっとそのほうが皆幸せになるだろうと。


『うふふ、わかりました。皆様には内緒にしましょうね。それと──改めて皆様に選んでいただきたい事があるのです』


声色を変え、真剣な表情で話すシェリーアに皆固唾を飲んで言葉を待った。


『ナイトを──良所 内人を救う。その手助けをしてはもらえませんか? 』


その言葉を聞いたソフィアは歓喜に震える。今姿が見えない愛しい人を救える、それも女神様がはっきりと口にした。矮小な人の身でありながら神の手伝いをし、愛しい人を救えると。


「当然です。皆異存はないな? 」


──おう!


『ありがとうございます。それでは目を閉じてください』


皆なんの迷いも無く目を閉じる。フェルもだ。


『フェルちゃん、ごめんなさい。貴方にはここでベリアちゃんを守ってて』


「クゥーン? (役にたてないの? )」


『ベリアちゃんが起きた時、誰もいなくなってはさみしがるでしょう? 』


「ヴォン! ヴォンヴォン! (そうね! わかったわ! )」


フェルの返事を聞いたシェリーアは優しく微笑み、両手を天へと向けた。


『エレーファを愛する神々よ、我女神シェリーアは命ずる。この者達を依代に世界へ降臨せよ! 』


シェリーアが神域と現世を交差させ、神々がソフィア達へと憑依する。


日輪を背負い赤き炎を纏うライラ。その姿は太陽神インティアーナ


全てを繋ぎとめる黄金の鎖が両の腕に巻き付けしヘルダー。それは縁鎖の神アーク


白金の鎧を纏い、六翼を背に負うソフィア。唯一無二の天上神ルシフェル


半身を砕けぬ岩で覆い、無限に湧きだす力を纏うオースロック。まさに大地の神ダグザ・トゥアハ


全てを潤す水と全てを枯らす風。相容れない力を纏うグリードとクレイグ。精霊神バルード・カーヴェのみ与えられる力なり。


漆黒の鎧は無敗の象徴。相対した者を屠り続ける無敵の力を纏うジークフリード。英雄神オーディニアスの勇姿そのものだった。


『これより我らエレーファの神々が行うはただ一つ。偽の創造神イアルダバオートを討つ! 』



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