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苦手な方はご注意ください。

ジャングルの中の迷子たち

作者: いわせみつか

 なんだか舞台劇の脚本みたいになってしまいました。そう思って読むと面白いかもしれません。

 (このあたりが私の筆力の限界のようです…)

 こういうのを戯曲って言うんですか?よくわかりません。

 昭和十九年。南方のある島で、日本軍と米軍が戦っていた。

 現在は膠着状態であった。しかし、日本軍がわに、米軍が近いうちに増強部隊を送ってくるという情報が入って来た。

 日本軍の守備隊の司令部は、敵の上陸にそなえて島の北側に陣地を造ることにして、○○中隊を行かせた。

 しかし、約半月後、○○中隊とまったく連絡が取れなくなってしまった。消息不明では作戦が立てられない。そこで、司令部は三十人の斥候隊を編成して○○中隊を捜索させることにした。

 斥候隊は、○○中隊がジャングルの中を伐開(ばっかい)して造った小道をたどって捜索することにした。

 

 斥候隊が二日間歩いていくと、やがてジャングルの中に開けた土地があった。

 どうやら、○○中隊が切りひらいた土地らしい。あっちこっちに、木の切り株があるのだ。

 ある大きな切り株に、伍長の階級章をつけた、初老の兵隊がすわっていた。他には誰もいない。

 斥候隊の指揮官が近づいていくと伍長は、「今何時でありますか」と言った。

 「一三二〇(ひとさんにぃまる)だ。○○中隊はどうした。貴様はなぜここにいる」と指揮官は言った。

 「タバコを・・・」と老兵は右手を伸ばしてタバコをもとめた。

 指揮官は、タバコを一本与えて、マッチで火を付けてやった。

 「少尉どのが火を付けてくださるとは恐縮です」

 伍長はタバコを長々と吸いふーっと長々と煙を吐いた。

 「○○中隊はどこに行った。貴様だけなぜここにいる」

 「わたしは腰を痛めまして歩けなくなりました。それで置き去りにされたんです。帝国陸軍の伝統です。

○○中隊のゆくえは分かりません」

 「わからんとはどういうことだ」

 「はい、中隊長は参謀たちと、コックリさんをやって行き先を決めて移動しているのです。ですからどこに行ったのか、かいもく見当が付きません」

 「コ、コックリさんだと?!」

 指揮官は信じられなかった。

 「なぜそんなばかなことをしているのだ?」

 「それは…いきづまったからです」

 「いきづまった?」

「はいそうです。もともと食糧はすくなく支給され、弾薬も乏しい。このさきどうなるかと不安になったのです。

 しかも、司令部の渡した地図は、陸軍大学校出の参謀が司令部から目的地の最短距離を直線で定規で引いたものです。およそ現実的ではない。指揮官どのもここに来るまでに苦労なさったと思います」

 「うむ。たしかに川を渡ったり、泥ねい地ばかりだったな。歩きにくかった…」

 伍長は北側を指さした。細い腕だった。

 「ここから北上すれば、さらにもっとひどい地帯に行くことになります。

おまけに近ごろは、原住民どもがゲリラ化してしょっちゅう不意打ちをかけてくるのです」

 「ゲリラ…」

 「そうです。原住民どもが、米軍から武器や弾薬をもらい、われわれを攻撃しているのです」

 指揮官は少々絶望しはじめた。

 「指揮官どの、この島はもともと奴らのものなんですよ。そこに黄色い人間と、白い人間が勝手にやってきて大喧嘩をはじめる、こんな迷惑なことは無い。

 しかし白い人間はまだましですよ、食い物や燃料は自前で持ってきている。しかし黄色い人間はどうか、集落を襲い、食い物を奪い女を犯すときには殺す。これでは黄色い人間はどうしたって恨みを買う。この島そのものが原住民の財産なんですよ」

 指揮官はこく、とうなずいた。

 「確かに俺も関心せんよ。しかし、われわれ皇軍の目的は……」

 ひふっ、と擦過音がした。

 ジャングルの北側から、パンパンとなにかが弾ける音がした。

 「みんな伏せろ!」と指揮官は叫んだ。「戦闘準備!」

 兵隊たちは、伏せたままで北側を向いて小銃の安全装置を外した。

 軽機関銃をすえ付けた。

 指揮官は片膝をついた姿勢で軍刀を抜いた。

 だが初老の伍長は、切り株に座ったままだった。

 「何をやったって無駄です」彼は言った「ここは原住民のゲリラたちにとっては庭先のようなものです。対応は困難です。--うちの中隊長もゲリラとの戦いに疲れはてて、責任を投げだしたんです。

 自分たちで判断しても、コックリさんで判断しても同じだ、『どうせ俺たちはこの島で迷子(まいご)なんだ』って。それでコックリさんに従ってどこかに行っちゃったんですよ」

 ゲリラからの銃声が激しくなってきた。指揮官は軍刀を前にふった。

 軽機関銃手が弾丸を連射する。

 小銃兵たちが銃のボルトをせわしく動かして一発一発弾を打つ。

 けたけたと、笑いながら老兵の伍長が言う。

 「ハハハ何を夢中になっているんですか。俺たちは『狩られている』んですよ。原住民は狩りが大好きなんだ。ここに来るまでにずっと誰かから見られていたような気になりませんでしたか。いま奴らは狩りを楽しんでいる。人生を楽しんでいる。

 白い人たちはいい人たち。美味いものを喰わしてくれる。うまいうまいタバコを吸わせてくれる。そして武器や弾薬をたくさんくれて黄色い人たちを狩れという。こんないいことはない。

 ここでいくらがんばって何になりますか。俺たちはただの狩りの獲物にすぎない。そしてみんな迷子だ。

 アハハハハハハ。人間なんてこんなものだ。誰かから狩られている。誰かから遊ばれている。

 そして人間はみんな迷子なんだ」

 初老の男の顔が銃弾で吹き飛んだ!

 

 


 

 書いていて筆の遅さにいらだちました。タッチタイピングの練習をすることにします。


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