6、ときめくテンプレ
狩人を探す?
考えたらどうやって?
そうだ、ギルドに行けば教えてくれるかも!
という訳でギルドに向かう。
ギルドに行ったり来たり忙しいなぁなんて考えながら歩いていると何やらもめている場面に出くわした。
「なぁ俺たちと組もうぜ!」
「そうだよ、僕らが守ってあげるからさ!」
「女の治術士じゃ外は危険だよ。」
「ちょっ、止めてください。貴方たちと組む気はありませんから!」
「強がるなって、なぁ一緒にさぁ。」
うわぁ、まさにテンプレじゃないですかぁ。
やだぁー!
何だかんだで治術士だという女のプレイヤーもあの雰囲気を楽しんでいるっぽい。
小説ならここで誰かが助けに入るんだろうけど。
「やめろよ、いやがってるじゃないか!」
「やめたまえ、彼女が嫌がっているだろ!」
「止めないか!無理に誘うなんてどうかしてるぜ!」
「やめ・・・」
なんだ?巷で昔流行ったフラッシュモブか?
自称この物語の主人公たちがワラワラと集まってきた。
なんか見てて飽きないが時間がもったいないのでその場を離れた。
ギルドに到着しさっそく手の空いている職員に狩人を紹介してほしいと相談する。
職員は何人かをリストアップしてくれたので確認する。
その中にビーストのハンターが居たので彼を紹介してもらった。
《ビースト 狐》《ハンター》level20《名前 ファン》
職員に教えられた酒場に向かう。
酒場はいかにもファンタジー、冒険者たちの憩いの場所という感じで一癖も二癖もあるような輩が屯していた。
うわぁ、明らかに俺場違い。
でもこれはあるでしょ、あるでしょあのテンプレ。
俺はバーカウンターへと向かう。
『マスター、ミルクを1つ頼む。』
「坊主、ここは酒場だ。ミルクが飲みたきゃ家に帰ってママに飲ませてもらいな!」
「「「「ワッハハハハハハハハっ」」」」」
『ぷっ、ひゃははは。』
「おい坊主、何がおかしい!」
『【おい坊主、何がおかしい!】だって、もう笑かしは良いから!ミルクをだって言ってんだけど?何?ミルクないの?無いなら【すみません此所はしがない寂れたショボくてボロいくそ酒場でミルクなんて手に入らないのでありません。お恥ずかしい限りです。申し訳ありませんでした。今後はミルクなども取り揃えお客様のご希望に添えるように頑張っていきます。】だろ!なに偉そうに!客商売舐めてんの?なにか?ここはいちげんさんお断りの店か?そうならそうと店の前にでもでっかく張り紙でも貼っとけよ!そんな偉そうな態度で安もんの酒しか出せない店だからうだつの上がんないような奴しか来ねぇんだよ!それになんだ?お前らミルクの件のどこに笑う要素があるんだよ!どんだけ笑いのハードル低いんだよ!お前らが俺んとこ(リアル)に来たら笑いすぎて死んじまうぞ!笑いが解ってない奴は黙って糞不味い酒でも飲んで十日酔いぐらいしてスライムの角に頭ぶつけて頭皮めくれた状態で死ね!わかったマスター、ミルクを1つ頼む。』
はぁ言ってやった。
ショボい絡み方しやがって。
「・・・ミルクだ。」
『あんのかよミルク!だったら最初から出せよ。』
取り合えずミルクを飲んだ。