新たなる存在【Ⅲ】:ニーナ編
つい先程まで戦場となっていた場所を遠くなった位置から睨みつける。
呑気に気絶を決め込んでいるお荷物同様のとなった私の部下二名を亡者に運ばせながら移動を続けている。
「さ、流石の私も疲れを感じるわネ……」
度重なる能力の乱用、相当数を一時的になりふり構わずに行使しまくった結果――。
「息切れを起こす前にこの辺で休憩しましょうか」
戦闘での使用に踏まえて尚も現在進行で宜しく状態で、二人を担ぎ込む為に絶賛! 能力を発動中! なのである、休みなしのブラック企業上等のレベルだ。
「目を覚ますまでこれ以上の移動はなぁああし!」
そんな独り言を文字通り虚しく呟く、色々な思惑が飛び交っているが私自身のマザーに対する裏切り行為は嘘偽りなく“計画”していたことだ。
とは言え、簡単には信じて貰えないだろう。何しろ――。
「記憶喪失……本当、笑えないわネ」
監視役のお付きを潰し、耳のピアス型盗聴器を筆談で伝える。マザーの交渉は向こうで何かあったみたいだがもう、二度と行われない。
数々の違反、さながらニーナ・謀反者・アリシュレインと言った所だ。自らの色々を投げ捨てた物の――。
本人は私を覚えていない。
「信用も、記憶も、約束でさえも……彼は覚えていない……か」
でも、こうなることは予想済みだ。言葉ではいくらでもそれっぽいことを並べられる。だからこそ、私にしかできないやり方で、誓いにも匹敵する行為を誠意を彼には見せなければなるまい。
「私を見ていてくれるかな? 峰島は……」
「ん~、それはニーナ様次第だと思うよぉ~?」
「ヒッ!」
含みのある言い方で、闇夜が目を覚ます。と、いうより――
「い、今の! ど、どこまで聞いてた!?」
「最後の部分、愛のささや……」
ヘッドロック! このまま絞め落として再び気絶させるも良し! バタバタと両手をフリフリして降参の意を示す闇夜、仕方なく開放する。
我ながら甘い!
「キスしちぇばいいのに……」
間髪入れずに、石ころを投げつける。
「いだだ!」
「当然の結果よ」
冗談交じりの笑顔から、スッ……と、真顔になり闇夜は会話を続ける。
「なにはともあれ、これで僕らはお尋ね者だね」
「元より、覚悟の上よ」
「自己犠牲が過ぎるよ……ニーナ様」
「自分で蒔いた種から果実ができた、ならば収穫するでしょ」
それ以上の会話は、闇夜からなくなった。
しばらくの沈黙を突き破る様に、もう一人の謀反者が目を覚ます。
「うにゃああ! うへぇ~口の中じゃりじゃりするぅ~」
「あら、いい目覚ましになったじゃない? ごきげんよう、謀反者加賀美」
ゲェ!? と、口では言っていないが伝わって来る程に表情は物語っている。
「あ~あ、ゴロゴロおサボり計画もこれにて終了かぁ~」
んぎぎぃ! と、大きく伸びをした加賀美はどこかすっきりした表情で私と闇夜に笑いかける。
「さて、さぁて~! 地下居住区を目指しましょうかね~」
「えぇ、時間的には到着している筈よ」
――夕暮れを彩る最中に、光り輝く赤き煙が三発――
「信号弾!? しかも、あの位置となると」
「赤信号は緊急事態ってねー、やだやだー! いきなりおサボり禁止!?」
確かに信号弾など、一般人が扱える代物ではない。だからと言って彼女たちのメッセージである確証もない。
「い、いかなくていいの?」
「確信はできない、この意味が貴方なら分かるでしょ」
足をバタつかせて言葉にはならない抗議の意思を示す加賀美さんを尻目に冷静な判断を自身で構成する。
「だったら、直接連絡……は盗聴されるかぁ~」
「起動した時点で終わりね」
「なーーらば!」
閃いたご様子の加賀美は徐に信号弾を発射する。緑色の信号弾に対して、黄色の信号弾がすぐさま放たれる。
「進行不可能……」
「峰島瑠美、鈴羅楪、多々良緒、峰島葉瑠と数名の部隊があの位置にいた筈です」
「至急、応援に向かいます! 最悪の事態を想定して臨むわよ、加賀美!」
真剣な眼差しを向ける私とは裏腹に爽やかな笑顔を向けて走り出す加賀美――
「加賀美帆夏! ニーナ様と共に援護へ向かいます!」
走っている彼女を追いかける最中で、突然斜め四十五度の角度で敬礼を不格好なまま行う。
そして、すぐさま表情は仕事モードへ移行する。
「全く……どこまで行っても能天気な奴ネ」
いつの間にか姿を消した闇夜を他所に、二人は次なる戦場を目指して夕暮れを駆け巡る。
~新たなる存在【Ⅲ】:ニーナ編~ END To be continued
勢いで書きまくったツケが……
うぐぐ、少しずつ編集して行きます。
と、とりあえず少しだけ物語は動きます!




