新たなる存在【Ⅱ】:ニーナ編
あけましておめでとうございます!
かなり空きまくってましたが、更新できました!
今年も宜しくお願い致します!
その存在は動くことを放棄した姿で、その場に鎮座している。
言い現すとするならば、人体を非常に歪ませて形成させた枝垂柳そのものだ……。
枝葉の真似事をしているのは、紛れもなく人間の髪の毛だろう。
しかし、皮膚などはなく筋肉質な肉と血管の様な物で寄せ集めて固めた不完全な代物となっている。
「全くもって美しくないわネ、まぁ……亡者も美しいとは言えないけど……」
こうも得体の知れない状況では下手に動くこともできず、一瞬にして亡者は撥ね飛ばされ、土くれになっている。
ともすれば……。
「もう一回見せてもらうしかないわよね~」
”引き寄せる力“意思を持たずに本能のままに彷徨う者を付き従え、他を数で圧倒する力こそが私の手札だ。一つの力は些細であってもそれは範囲にいる全ての亡者に作用する。
「私の命令は範囲にいる全ての亡者に広がり、私の想いは本能をも凌駕する」
従えた5体の亡者を不動の人樹にもう一度、向かわせる。
人樹は微動だにせず、体表から汗の様な体液を分泌しながら蒸気を吹かす。体液は瞬く間に地面に広がり水溜まりの様に広がる。
と、同時に亡者は一直線にターゲットへ向かい三体は無残に髪の毛でミキサーの様に飛び散り、残り二体は体液がヒタヒタに染み付いた髪から出た飛沫で……。
肉体はただれて腐り落ちる様に溶けた。
「と、溶けた!?」
「ぐぎやああああああああぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
どうやら、牙を剥き出す相手は仲間だろうとお構いなしの様だ。
お面部隊の一人が被害者となり、頭から溶けて絶命した。
その様子を見てすぐさま追撃を停止する。
「なんとも嫌らしい忌々しい、あんなもんを振り回されたらいずれ仲間もタダでは済まない」
しかし、これでは亡者を犠牲に道ずれも厳しい状態となってしまった。可能性として一番無難な選択は加賀美と闇夜の意識が戻るのを待つと言う選択肢だが……。
その選択にはリスクを伴う、第一に夜を迎えた際に人樹が本領を発揮するリスクもあり情報が何もない存在である為、そこにいるということだけで危険極まりない。
次に、侵攻した連中に生き残りがいる可能性だ。
最後に体液を撒き散らすだけで届く範囲に仲間がいる為、何かの拍子に体液を撒き散らすリスクが常に存在するということ。
その為、下手に手を出せないのが事実として突き刺さる。
「私の制御も効かない上に、不動であるが故に無闇に手出しもできない。いや、手出しはできるがこちら側にとって首を締め上げる自殺行為に繋がる」
絶妙な距離間が保たれていることがことの事態を悪化させる。
「人樹自体に危害が加わる可能性が出る時にのみ防衛本能があるならば、形は違えど人からできているのだからこの仮定が正しければ……」
しかし、これも希望的思考に過ぎない私自身の『こうであって欲しい』と言う願望でしかない。
「少しは人間らしい所を見せなさい!」
スタン効果範囲は約1.5メートル、奴が髪の鞭を振るうラインも不明だが、溶かす体液飛沫の距離は恐らく5メートルは有効だろう。
闇夜と加賀美に飛沫を当てない様に側面から放り込んで亡者と共に二人を救出する。
ナイスなタイミングで足の治癒も完了、驚異的な再生力に感謝しつつ一気に間合いを詰める。
「Подарок(贈り物)受け取りなさい!」
奴が獲物を振り回すよりも先にスタングレネードは眩い閃光と爆音で包み込む。
刹那――――
人樹はあからさまに筋繊維の枝は垂れ下がり、ぐったりとうなだれている様に伺える。
所謂、一時的なスタン状態になっていると考えて良いだろう。
「今のうちに―――」
傍らではせわしなく足踏み状態で待機しているが、亡者達はウネウネと動いており早く見せ場を作らせろと咽び泣いている、数百体の軍勢は操り人形と言えど私の闘争心に感応している。
亡者を利用して二体は加賀美と闇夜の救出をさせ無事に回収、残り全ての亡者は人樹さんへ送り出し一気に消し込みかける。
焼ける様な音、裂ける音、黒い飛沫を上げながら数多の亡者がハイエナの様に群がり、人樹を囲い込んでいる。
「さようなら」
そんな短いセリフを吐き捨てて、私は仲間と共に戦場から離脱することができた。
「早く、峰島達のグループに追いつかないと!」
急ぎ足でスカイツリーから抜け出した。
~新たなる存在【Ⅱ】:ニーナ編~ END To be continued




