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化物の素性

気がつけばかなり投稿していなかった(遠い目)

薄い影のようにひっそりと投稿いたしますぅ~~。



 さて、雑魚に時間を浪費されてはたまった物ではない。

「いい加減起きなさい、多々良一」

 それに、すかさず答える形で多々良の体がムクリと起き上がる。

「あっちゃ~!!!!さっすがにバレタカー!!もちっとサボりたかったんだけどねー!!」

 くだらない一のセリフを完全に無視をして、私は要件だけを命令する。

「そろそろ偽物の体にも慣れたはずよ。目の前にいるオブジェを排除しなさい。お披露目の時間よ」

「アハッ☆ったく、仕方ないねぇ~!!」

 偽物ならば、口にしないであろうしゃべり方で一はにこやかに笑みを浮かべたまま生首頭との距離を一気に詰める。

 宿主が安定したことにより、コイツ自身の人格まで元に戻るとは思ってもいなかったが後に『問題を起こしてくれるなよ』と思う一面でもあった。

「じゃ、サクッと死んでよ。生首さん」

「なメるな!!しにゾこないガァ!!」

「あー、まぁね!死んだら立場的に私はまずいしなー。それでいいと思うよー?なーんつってね!!」

 余裕の受け答えをする特異点を私はただただ眺める。茶番には興味がないからだ。


「今回は私が特異点の援護に回るわ、後は対象を殺せば終了よ」

「おっまかせー!」


 ピースサインでにこやかに私の命令を承諾し、後は獲物だけに釘付けのご様子だ。こんな奴の為に私はパシリにさせられていた、そんな怒りも知らず。

 なんとも、危機感のない狂人だ。






 対象の距離までは約100メートル前後と言った辺りだろう。

 お偉いさんのニーナちゃんは私に命令ばかりのツンツン娘だ。本人自体は嫌でも動きたくないらしい。


「さて、そろそろ来るかな」


 生首ちゃんを中心として、汚ならしい腐敗した腕が複数おおい被さる様な形で私を包み込もうとしている。

「はー、だる」

 まぁ、私の後ろでドタバタと巨体を揺らしながら走るお強い味方も駆けつけているようだし腕はアイツに壁になって貰お!! などと私の中では思考が決まっていた。


 速度を落として、足を揃えて急停止。予想通りにドゥブが私を追い抜いてくれる。

「はい、後はよろしくさーん」

「ぐぁぐぅごぉ!!!!!!!!グガグガ!!」


 巨大な棍棒を軽々と振り抜き、無数の腕が複雑に骨ごとへし折れ赤い床へと消える様に飲み込まれていく。

 しかし、その一撃とは裏腹に手数が全てを凌駕する。いくら重い攻撃とは言え、一発で振り切れるほど容易いものではない。


 瞬く間に壁役になったドゥブの体をいくつもの腕がしがみつく様にして拘束されていく。

 身動ぎさえも拒み、もはや詰み。後は生首頭の得意技が、ガツンと決まってお陀仏だろう。

 赤い鞭がドゥブの両腕を分離させる。


 スパンッ!!


 なんとも呆気なくニーナのペットは、またしても倒されてしまう。こうなれば『奥の手』を使わざるを得ないはずだ。

なにせ、私は極力美味しい所だけが欲しいのだから。


「さぁ!さぁ!中身をぶちまけなよ!!ドゥブの着ぐるみなんて脱ぎ捨てちゃいな!」


 両腕、両足はもはやない。普通であれば、ここで私にタゲ集中が変更されるのだが……従順に主の傍に付き従い、守護をするのがドゥブとしての役割と聞いていた。

にもかかわらず、この個体は守護をするどころか死にに行ったのだ……。


『つまり、本来のドゥブとは異なる存在』


 よくよく見てみれば、頭部に弾痕が残っている。誰に撃たれたか知りはしないがコイツはドゥブの肉体に身を潜めていたのだろう……。そもそもコイツに治癒能力はないのだから。

「ようやく貴方も深い眠りから目覚めるのね」


 生首頭はこの瞬間を勿論、逃すはずがない。お得意の赤い鞭が私に目掛けて飛んできている。

 が、私に届く間もなく亡者達の壁によって防がれる。

「アハハー……流石に届かないよねー」


 赤いベールに包まれた地面から生えてくるかの如く凄まじい勢いで亡者が湧いてくる。それと同時に、ドゥブの肉体が引き裂かれ真っ白髪の毛をなびかせながら小さな男の子が姿を現す。


「ん~……ふぁあああ……よくねたー」

 呑気な男の子とは裏腹に、湧き出た亡者を狂ったように引き裂く生首頭はキリがなく、先の見えないゴールを求めている。

「あっ、どーも!! おねーちゃん」

「え!? あーうん」

「早速で悪いけどさ……」


 ニコリと笑顔を見せた後に、男の子の瞳が赤く染め上げられる。

「盛大にいこうか、ね!! おねーちゃん!!」


 瞬く間に赤い瞳は伝染するように周囲の亡者たちにも闘志を宿す、夕方のはずだが……夜の帳が降り立つ時に豹変するはずの亡者たちの動きが激変する。

 まさに、夜の時に訪れる奴らのステータスアップが今起こっている。


「バカだなぁ、君だって数で攻めて来たりしたんだよ? だったら僕たちにだって数の暴力ができるのは当然でしょ?」

 赤い鞭に無数の手、生首頭の攻撃はそれを上回る数の前では無に帰すこととなる。やがて亡者は無作為に生首頭を噛み千切る。


腕に、足に、頭部に……覆いかぶさる亡者はどんどん膨れ上がり、本体の姿すらモザイクとなってかき消える。


「愉快だね!!」

「ただの一方的な暴力じゃん!? これはさぁー……」


 両手を広げて呆れ返ってしまう男の子はどうやら私とは相性が悪いようだ。

「あぁ~、じゃあそろそろおねーちゃんの出番だよ~トドメを早く刺してきてね~~」

「多々良一!! あんたのおねーちゃんになったつもりはない!!」


 足早にその場を離れて一気に加速する。


 その間に周囲の亡者は再び赤い海へと沈んでいく。頭部だけの寄せ集めの肉体はズタボロに引き裂かれ、さながら胴体のみとなっていたドゥブの様だ。

 脳みそを垂れ流しながら、身動きせずに最後の最期に本体が姿を現す。


「ゥアァアアあああ!!! ワダじぃのガラダがぁあああああああ!!」


 上半身裸の女性をかたどった汚くも歪な本体が虚しくも両手を抱えながら無邪気に叫んでいる。


「月刀流抜刀技だったわよね……」


 懐かしい言葉のフレーズを思い出しながら。

「新月!!!!」


 断末魔を叫ぶこともなく……最期は静かに息を引き取り、周囲の異常現象は生首頭によって吸収され、あっけなく巨大な土塊となった。





「おぉ~、いいとこだけ本当に持っていったね」

 パチパチと大げさに煽るような表情で手を叩くチンパンジーに沸々と怒りを感じながらもなんとか堪える。

「は、ははは~!! そ、そりゃどーも! おチビちゃん」

「闇夜」

「え?なに?」

「だから! 闇夜だって言ったのさ! ぼくの名前だよ!!」

「はいはい、わかったから……私も忙しい身でね。これ以上は私ではいれない、どうやらもう一人が目覚めるみたいね」

「またね~、お・ね・ぇ・ちゃ・ん!!」


 コイツは……全く懲りないみたいだ。そんな思いを胸に刻みながら、私の出番はここで一旦幕閉じとなる。







 ようやく、俺達の行く手を塞いでいた壁が消失する。

 状況なんかを知るまでもなく、凄まじい速さで決着は着いたように感じる。

「お、親父!! 大丈夫か!!」

「心配すんな、おじさんはこう見えても頑丈だ!!」

フラフラと立ち上がって、親指をグッ!! と立てていた。

「加賀美さんも大丈夫ですか?」

「彼女の援護に助けられた、大丈夫よ」


 その後ろから多々良さんと共にニーナが近寄って来ていた。

「全く、騒ぎに駆けつければ必ず貴方たちがいるのネ」

「ご、ごめんなさい!! 峰島先輩のお父さんが怪我をしてしまって……」

「いや、まぁ……全員生きてるだけマシだろ」

「はは!! 生きてるつってもアタシらは見てただけだったもんなぁ!!」


 敵対するはずのニーナまでもがこの輪の中にいる。現状では敵意を示していないとは言え、油断ならない。


 それに……


「なぁ、一体俺はどれだけの人間に騙されているんだ?」

 そんな、疑問が自然と出てしまっていた。

「そんな質問、分かりきっていることでしょう?」

 黒髪が風で靡き、口にかかる鈴羅さんが冷たい眼差しで俺を見据える。


「……やっぱり、親父や母さんもなのか」

「いや、これにはな……」

「やめろ!!!! 口を割るなと言われているだろうがぁ!!」

 ただごとではない早さで父親が怒鳴り散らした。

「フフフ……流石に口を開かせませんでしたか、хорошо」

「なんなんだよ!! お前は!!どうして俺の周りの人間ばかりを巻き込むんだよ!!俺をどうするつもりだ!!あぁ!?」

 精一杯に怒りを剥き出しにして、ニーナに喰らいつく。

「まぁ、これだけは教えてアゲル。貴方も実はと言えば死なない立ち位置にいる人間の一人よ」


 意味が分からない。


「はぁ!? なんだってんだよ!!てか、話してくれよ!!なぁ!母さん!

鈴羅さんもさ!!約束したじゃないか!!」

「はぁ? それはどういうことだ?マザーの意志に反するならばここで殺す」

「おぉぉい!! 待てよ!!!」

 獲物を引き抜くニーナを制止させる。誰一人として、ニーナに抵抗の意思を示さない。一体これはどうなっているんだ……。


「ならば、これ以上余計な詮索はしないことネ」

「嫌だと言ったら?」

「Конечно(もちろん)、その時は喋った奴らの息の根を止めるか……もしくは」

 気がつけばニーナの後ろでピッタリとくっついている男の子がいることに気づく。こちらを煽るようにニタニタと笑っている。

「もしくはなんだよ!!!」

「Стирать(消す)」


 肝心な所をロシア語で誤魔化された。ただ、後者の言葉は自分に降りかかる物だと推測する。大方、殺されるのだろう。

「ちょうどいいわ、貴方たちもトーキョーに戻るのでしょう?」

「だったら、なんだって言うんだよ」


「ついて行く」


 間違いなく、自分の中で何かが崩れ落ちる音がした。


 重苦しい空気の中、訳の分からない構成のPTパーティとなった俺達は松山空港を目指して歩みを進めていく。

 死体がゴロゴロとしている道を進みながら、着実に安全に目的地が近づく。


 そんな中でも、突如として現れた小さな男の子からの煽りとも取れるニタニタと声を出さずに笑いながらこちらを見ている。

 誰を信じればいいのか、もう分からない。


一体、どうなると言うのだろうか。生かされている俺の意味も分からない。


謎だらけだ。




~化物の素性~ END To be continued

もう少し先の話になりますがトーキョーに戻った時のエピソードで「え!?ここ出るの?」ってのがありますのでお楽しみに~


頑張って書いていきますのでお付き合いクダサイませ!!

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