孤独・・・
ちょっと全体的に暗い回です。
晴香の顔色が変わったのを見て、ナラは殿下に声をかけた。
「殿下、異世界からいらっしゃったばかりで晴香様もお疲れの様子なのでお部屋へ案内してもよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わない。二宮晴香また顔を見せに来てくれ。」
「はい・・・」
晴香は、かろうじて返事をした。
しかし、そんなこともわかっていないようにボーっとしている。
「では、失礼いたします。」
ナラに連れられて、個室に入った。
晴香は、ナラに連れられてこなかったら、歩くのもやっとだっただろう。ましてや、部屋になんかたどり着けなかった。
晴香はそれくらい、衝撃を受けていた。
「あの、晴香様。大丈夫でしょうか・・・・・あっ!もしかして、今召喚の影響が出てしまったりとかはっ!」
焦ったような声を出すナラ。
「・・・」
しかし、返事はない。
「すみません。少し取り乱しました。でも、どうして・・・」
二人の間に沈黙が漂う。
「ちょっと、一人にさせて。」
晴香が、何とか絞り出した言葉はナラを多少なりとも傷つけた。
せっかく距離が縮まったのに拒絶されたと思ったからだ。
「えっ・・・あっ・・・はい。」
ナラの声のトーンが変わった。
こういうところがシャーラに未熟と言われるところだが仕方がないと思う。
「何か、御用があれば、お呼びください。では、失礼します。」
言い方も形式ばった感じになってしまった。
さすがに、ナラの落ち込みようには晴香も気づいた。
でも、声をかけることはできなかった。
ナラが部屋を出て行った。
ひと時の静寂。
「ばっかだなー私。ナラは悪くないのに・・・・ごめんね・・・」
晴香のつぶやきは、誰にも届くことはなかった。
皆さんは、八つ当たりしてしまったことはありますか?
ある方々は、晴香の痛みがよくわかると思います。