ついに召喚1
時は、夕方
ナラは緊張して杖をギュッと握りしめている。
その手は小刻みに震えている。
「な~に、お前さんが緊張することはないだろう?これから召喚される人間の方がもっとびっくりなんだからねぇ~。」
否、シャーラは弟子をしっかりと見守っていた。
シャーラがのんびりとした口調で言った。
誰もいないと思っていたので、一瞬肩をびくりと震わせたが、尊敬しているシャーラから助言をもらえて
少し緊張が解けた。
ナラは小さな声で「ありがとう。」とつぶやいた。
そんなナラとシャーラのやり取りを見て、ナラの緊張が和らいだ時をねらい王子は声をかけた。
「そろそろ、呼んでもらいたい。」
「はいっ」
ナラは背筋をぴんと伸ばし鈴のなるような声で返事をした。
ナラは、すっと立ち上がった。
「では、お主の頑張りをたんとみることにするかの~」
「はいっ、では行ってきますね。」
ちゃんと、笑顔になれていますか?
そう、目で訴えていたのでシャーラは安心させるためにも大きくうなずいてやった。
ナラは不安も感じながら、同時に高揚感もあった。
そんな時、頭にある言葉がよぎった。
“魔術師は、いかなる時も冷静でなければいけない。”
偉大なる師匠、シャーラがいつも言っていたことだった。
いつもシャーラに支えられていますね
そんなことを心の中で思いながら、少し笑みをこぼした。
別室に向かいながらも深呼吸をしてナラは大掛かりな召喚に向けて一人、準備を完璧にしていた。
次回はちゃんと、魔術を使いますんで―