シャーラ&ナラと晴香の感動編
晴香が語ります。
「いやっ、あのわしは・・・ええい!もう、すまんかった。わしが悪かった。これでいいだろうナラ!!」
「へぇーシャーラ様でも素直に謝ることがあるんですねーでもまだ怖がっていますよ?」
シャーラはナラをジトっと軽くにらんだ。
「お前さんこそ、わしをからかっていいのかのぉ?わしがいなかったらお前さんは今、ここにはいないんだぞ!」
シャーラの言葉にこたえるものがあったのかナラは、はっとして身をすくめた。
微妙に涙目になっている。
「今は、その話を持ち出さないでください。晴香様にお聞かせする様なものでもありませんし、わたしが・・・」
ナラが、今まで堪えてたであろう嗚咽を漏らした。
「ナラ?ナラ!!なんで泣いてるの?私はもう大丈夫だからっ!泣かれたらどうすればいいのよ〜」
晴香は必至になナラを慰める。
ナラの表情が少し和らいだ。
段々と、泣き笑いに変わっていく。
「すみません。それは別のことで・・・晴香様にお恥ずかしい姿をお見せしました。今さっきのことはお忘れください。。。」
「そんなことできないよ!ナラ、本当に辛そうだったもん!」
晴香は拳を握ってナラに訴える。
元々、晴香は正義感が強い方だ。
異世界に来てからは驚くことばかりで、ちょっと(いやっ、かなり。)女な一面を見せていたが、本来はいじめられている子には手を差し伸べてあげるような"かっこいい系女子"なのだ。
「本当に気にしないでくださいっ!」
ナラが叫んだ。
そして、晴香の手を振り払った。
晴香は、呆然としていたがそれも一瞬のこと。
すぐに普段の柔らかい笑みを浮かべた。
「ナラ、無理しなくていいよ。私のために頑張らなくても。私たちほとんど同じ年なんだよ?それなのに、ナラばかりに気を遣わせて・・・向こうの世界ではね、私はみんなと変わらない存在なんだよ?特別でもなんともない。みんながナスだったら私もナスだし、私がナスでもみんなもナス。だから、みんな平等でもいいじゃん。ありのままの自分で居なよ。」
いつの間にかナラの手を握っていた。
しかし、ナラは振りほどかなかった。
そして笑った。
「人をナスでたとえる人を初めて見ました・・・やっぱり晴香様は素晴らしいです。私なんかにこんな心遣いを・・・」
「ダメだよ。私なんかとか自分を卑下するのはやめなよ。だってみんな“ナス”なんでしょ!」
そう言って、晴香は輝くような笑顔を見せた。
久しぶりに見る満面の笑みだった。
「はいっ!ありがとうございます!」
晴香の笑顔には周りも笑顔にさせるパワーがある。
知らぬ間に、ナラも笑顔になっていた。
そんな時、あきれた声を響かせる者がいた。
「おぬしら、仲良くなったのはいいと思うが、わしがいることに気づいておるのかのぉ?」
「「あっ・・・」」
シャーラは「はぁ・・・」と一つ大きなため息をついた。
余談ですが・・・
晴香が語って最後に「ありのままで居なよ。」
と言ったとき、晴香と作者の頭の中にはLet it go が流れていましたww