表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
椋露路朱寧の推理録  作者: 雪車
アンティークの瞳
8/35

その3

 そこには少女の身体から魂だけが抜け落ちてそのまま時間が停止したかのような、永遠に腐らない傷一つない完璧な屍体のような、そんな世にも美しいドールたちが観賞用に計算された配置で丁寧に並べられていた。それらが人形であることを知らない者ならばそっと目を開けて歩き出したとしても違和感は感じなかっただろう。


 舘谷鬼一郎は仰向けに床に倒れ、震える手で上半身を支えながら、目を飛び出さんばかりに見開いていた。ドールたちはその正面から、死にゆく者を静かに看取るように妖しく鬼一郎を見下ろしている。


 静寂の中、規則的に呼吸音だけを響かせながら鬼一郎は凍りついた表情で一点を凝視していた。彼の腹部から流れ出た液体が徐々に床を真っ赤に染めていく。


 ずば抜けて美しい一体が、動けないドールたちを代表するかのように冷たい笑い声を漏らした。鬼一郎の視線に怯む様子もなくそっと彼に歩み寄る。


 鬼一郎の絶叫とそれにかき消された少女の嘲笑が、惨劇を彩る劇中歌の如く館中に響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ