1.基礎の基本の基礎
さて、これから小説を書こうと思っている人も、もう既にかなり書いているぜ、という人も、少し考えてみてください。
「文章の書き方」なるものを、最後に勉強したのはいつですか?
おそらく、小学校から大学までの何処かだと思います。
小学校なら、作文の書き方。高校なら、小論文の書き方。そして大学なら、論文の書き方やレポート、手紙用のテクニカルライティング……
早稲田で国文学をやっているなんていう人(尊敬します。本気で)以外は、大体そんなものではないでしょうか。
そして、高校で小論文を勉強する必要もなく、大学でも大して……という人は、勉強分野において最後に書いた長文が英語の和訳だったりします。別にそれがどうだ、という訳でもないですが、「自分が他人に向けて文章を書いたこと」というのがそれほど多くないということを覚えておくと、後々いいことがあります。
さて。
よりよい文章術を手に入れるために最も効果的な方法が、よい文章をたっぷり読むことであるのは確かだと思います。
面白い設定に、優れた話展開に、美しい文章。全てを兼ね備えた(かつ、個人の好みに合う)ストーリーというのは、小説を書く上ではとても参考になると思います。
しかし、その上でいざ書き始めるときには、小学校レベルの文章術が意外と重要だったりします。
例えば……段落の最初は1マス(1スペース)空けましょう。セリフのカギカッコは改行しましょう。地の文(会話文以外の文)は丁寧語にするかしないかどちらかに揃えましょう、点々の基本は1マスに3つの点がある記号を2マスつなげた「……」ですよ、といった手合いのスキルです。
そんなの当たり前だろ、うっせーな、という人が大半だとは思います。ところが、調子に乗ってくると忘れたりするらしいんです、これが。
最近は携帯なりパソコンなり便利な道具があるので、特に考えなくても丁寧な字を書くことが出来ます。また、小さい「ゃ、ゅ、ょ、っ」などを行頭に置くといった、原稿用紙では存在した初歩的なトラブルも回避することが出来ます。
その一方で、本格的な出版物とは違って、文章の校正などは自分で行わなければいけないので、かなり注意を払わなければいけません。特に、作品を携帯で見る人は、一行の幅も行と行の間のスペースも小さいので、改行を忘れるといったレイアウト(見た目の構成)を間違えると、見づらくて読む気もなくなってしまいます。
初歩の初歩を確認したら、次に気をつけなければいけないのは誤字脱字です。
私のような頭のいい振りをしているちょっとばかり目の肥えた読者にとって、漢字を間違っていたり、漢字で書くべきところが平仮名だったりすると、なんとな〜く嫌な感じがするのです。 ちょっと面倒だとは思いつつも、不安な漢字、日頃あまり使わない漢字を使うときには辞書を使いましょう。執筆にパソコンを使っている人は、ネット上で開かれている無料の辞書(g○oが有名ですね)を、別のウィンドウかタブで開けておくと便利です。また、何故か思った通りの漢字が出てこない、というときには、読み方を間違っている可能性があります。確認したり、パソコンなら手書き入力で調べたり出来ます。
ちなみに、この「何故か思った通りに変換されない」という現象、私があった中で最も多い原因は「訛り」でした。私は関西人なのですが、ちょっと訛った発音のままで入力してもパソコンは分かってくれません。
また、主人公が関西人とかいうのならともかく、関係ないところで方言を使うと他の地方の人は一瞬で興ざめするので、うっかり使わないように気をつけておきましょう。私自身は割と方言の排除にシビアな質で、変換はされますが「言わして」なども「言わせて」と書くようにしています。
ついでに付記しておくと、小説文法に対する基本的な用語も覚えておくといいと思います。
これは作品中の小道具に名前をつけるときにも同様なのですが、物事に名前がついていると、知らず知らずにその事を考えてしまうらしいのです。
つまり、小説の「一人称」という単語を知っていると、作品を書くときになんとなく一人称のことを考えて、工夫する余地が生まれるというわけです。
(一人称に関する説明はかなり長くなるので省略)
そういうの、私は高校で文芸部をやっていたときに先輩から教えてもらったりしたのですが、自分で勉強するにはどうしたらいいんでしょうね。おそらく、小説に関する批評の本とかを読むと色々言葉が出てくるのではないかと思います。
さて、それでは次回以降、さらに実際的な小技を紹介したいと思います。
では!




