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鏡の変化王 巨獣 ビーパルスロ


02:00




残り03:00






「……なあ」


俺は歩きながら、自分の掌を見た。


アーテマを倒して能力を得てから感覚が違う。




「アーテマから得た能力どんなんなん?」


リリリルルドが肩越しに振り返る。




「さあなー」


言いながら、俺はなんとなく足元の小石を拾って、軽く放った。




普通なら、すぐ落ちる。




――落ちた。




落ちたはずなのに、落ちる“瞬間”が異常に遅い。




一拍が異様に長い。





「……今」




ルルリサが息を呑む。




「小石、止まった」




「あれ???」




俺は困惑した





「いま……“落ちる速度”を、俺が選べたような」




リリリルルドがニヤつく。




「重力による速度変換か。ええやん。便利や」




「速度変換……」




「避けたり攻撃するのに“間”作れたら、それだけで勝ち筋が増えるで」




ルルリサが、俺の横に並ぶ。




「ギガドロ……その力、怖くない?大丈夫か?」




なんだかすごく俺を心配する様になった。ルルリサ


最初のぶっきらぼうからするとかなり変わった


メロくなった。今風に言えば




「大丈夫」


男らしく即答した。




「ギガドロ、今の自分の能力理解しとんか?」




「まぁ大体.....」




「恐らく、結晶呪、これは星のエネルギーみたいなもんで俺の体力や五感が異界向けに強化されてる」


「この宝剣は文明の叡智みたいで、この剣を持てば、体の核に英雄たちの戦闘センスが刻まれるみたいで、必要な時に必要な攻撃ができる」


「後はアーテマの重力、速度変換。触れた相手の速度を少し変えれるのかな?俺自身の重力と俺の周りの重力を変換すれば、身体強化とかして、体が超速で動くと思う」




リリリルルドはふんふんと聞く




「ちょっとやってみてや」




「あぁ」




そう言って俺は、宝剣を握り、精神を集中し、目の前の木に居合をする





ビュッッッ!!!!!ズド――――ン





一秒未満に木を綺麗にスライス出来た。息切れも全くない




自分でも驚いた




リリリルルドは満足そうに笑う




ルルリサは驚愕するように目をぱちぱちする




「ギガドロ.....こんな強くなってんたんだ」




「俺もびっくりした.....」




「じゃな、よく考えろ。お前は異界の中でも超強力で珍しい王を倒し能力を得てる、しかもその世にも珍しい宝剣、後はお前がギガドロであることを踏まえれば当然な事やな」




「....................」




んーーー難しいな




「しゃーない具体的に天才のあたしがまとめたる!」




「相手・周囲の“速度”を落とすんは落下、攻撃、音の伝播すら、お前の体感的に対象を遅く感じれる。そこでな自分の神経・知覚の処理速度を上げると世界がスローに見える。お前も経験あるやろ? そんで重力による身体操作、まあ時速400kmの動きなら、今のお前の体なら耐えれるよ。」




「瞬間移動みたいな話や」





「でもな、むしろまだ全然使いきれてないわ、もっと全部を連携して一つにしてお前自身に刻み込め、意識を集中して全部観察しろ」





「守りたいものがあるんやったら、今すぐに完成さすんじゃ」




それらを聞いたルルリサはとても驚いた顔をしていた。言い換えればその能力はそんなにも強力なのだろう






「連携...観察.....そうだよな」





俺は目を閉じと心を無想にする





しばらく、周りが静寂に満ちる





俺は少し自分が別な空間にいる様な、自己の境界が薄らいだ気がした





その時、ルルリサがぽつりと言った。彼女の声で現実に戻る





「……私の故郷、いつかギガドロに来て欲しい」





「うん、これが終わって全部済ませたら行くよ、どうやって行けるのかわからないけど、なんとかなるさ 」




俺が顔を向けると、彼女は嬉しそうな顔をした。




「私の世界はね、空がすごく青くて、夜は星がとても綺麗なんだ」


「草原だって果てなく広くて、風も気持ちいし、美味しい果物も沢山あるし、可愛い動物が沢山いる」


「いつかギガドロと一緒にあそこで昼寝してみたい。あと家族にも紹介したい」


言葉が詩みたいだった





「すごく気持ち良さそうだな」




「妬けるやないか」





「でもねもしかしたら大きな戦が起こるかもしれない」





「……なぜ?」




俺が聞くと、ルルリサは小さく頷く。




「そんな恵まれた世界だから狙われるの」




「だから私はあの世界に無い力を得て、あの世界を他の世界から守る為にここに来た」





リリリルルドが言う。




「今、色んな世界が交わっとるからな。」


「その超巨大な戦いの始まりって、この儀式を見るもんもおるんや」


「いうならば前座や。ほんまの戦はもっと無数の奴らが集まるで、果ての無い世界からな」


「ここで生き残った奴だけが、次の舞台で優位な立ち位置確保できるっちゅー感じでもあるな」




「まぁギガドロにはあんま関係ない話やけど、ここを生き延びるだけなら」


「ルルリサを助けたいんなら、話は全然違うけど」




俺とルルリサは見つめ合う




俺は母さんと妹に恩を返す。そして自分の為すべきことを全うする


その後は、もうこの女の子に全て捧げるつもりだ


宇宙の果てまで行こうが、それはもう流れに任せるつもりだ


いつの間にか価値観のスケールが変わってる





俺は頷く、ルルリサも頷く





お互い頭をくっつけ瞳を閉じる





リリリルルドは続ける




「それにこの世界だって、もう巻き込まれてる。気づいてないだけやで」





そういった後、リリリルルドが突然歩みを止めた。




「気ぃ引き締め――来んぞ」




声の温度が一気に落ちる。




上空から見覚えのある姿が降ってきた




鏡の女王だ。俺が最初に遭遇した異形の一体




いきなり俺の常識を目の前でぶっ壊した相手に、トラウマが喉元まで込み上げる。




俺は歯を食いしばって、宝剣を構えた。




鏡の女王は高度な言語みたいな、かん高い音波で俺達に叫ぶ。理解はできないが超不快だ


次の瞬間、女王の結晶の身体の中に何か獣が浮かんで体が折れ曲がる。


反射が歪み、面が重なり、女の輪郭が獣の骨格へと押し潰されていく。


ずっしりとしたクリスタルの足が六本、地面に突き刺さった。




――六つ足。




それは低く、重く、横に滑る。超巨大なコモドドラゴンみたいな見た目と歩き方で、巨体が地面を削りながら迫る。


胴体は幻獣のケルベロスみたいだ。どでかい腕が二本、首は三本、舌も長い。頭はホオジロザメの様であり、エイリアンの様な見た目でもある


全体的に筋骨隆々の肉体とクリスタルの装甲も合って、とてつもない重量だ


口からはそれぞれ――闇、光、無色透明の何かを吐く


全体的に重量感がありながらも、かなり機動力の高いフォルムになっている




リリリルルドが呟く




「……ビーパルスロ」


「昔こいつを倒した伝説の勇者の見た目が、“侍”の始まりに繋がったって話やで……」




リリリルルドは緑の艶のある髪が月光に輝き、姿に似つかない関西弁で伝奇を語る




鏡の女王じゃない。もう“王獣”だ。




ビーパルスロが一歩踏む。


森が揺れた。


次の瞬間、ジャンプして俺達に突撃してくる




俺はルルリサを抱え超速で飛び逃げた。初めてやってみたが先程の自分の能力の自覚で、できる確信があった




「きゃっ」




ルルリサが少し驚いたような顔で、小さくありがとうと言う




リリリルルドは余裕な感じで、一瞬透明になり気づけば俺より後ろの木の上で座っている





俺はルルリサを離し、宝剣を握り直し前に出る。




ルルリサも美しき緑膜を最大に広げ、浮かび上がる星屑の文様を月夜に透かし構える。彼女の眼は緑の閃光でギラついてる





リリリルルドは言う。




「ほな、任せるわ。監督役で。どの道そいつに勝てんなら、この先は無いからな。がんばっちゃって♡」




俺とルルリサは気にしない。リリリルルドのいう事はなんら間違ってはいないからだ





「来い……鏡の女王、俺はもう逃げない」




「私は絶対、故郷を救う。お前なんかに負けない」




そのエイリアンの様なホオジロザメの様な三つの顔が不気味に笑い、大量の毒ガスの様な吐息を吐いた。ゼェゼェ言ってる




ルルリサは羽からプリズムを出し、俺とルルリサを20体程、影分身の様に展開する。




そしてその全てのルルリサは空中に宇宙の物質で出来た超強度な鎖を無数に出現させ奴をがんじがらめにした。




一気に叩くつもりだ。




それを理解した俺は、先程の練習で行った居合の様に、奴に高速で接近し宝剣で突きを喰らわそうとする、他の全ての俺も同じように




俺は結晶呪で五感をフル活用し、結晶エネルギーと重力操作で身体能力も最大に引き出す。宝剣が奴の弱点を俺に教える。




どうやら、あの図太いフォルムの中心に小さな鏡のコアがある




重力操作により奴はほぼ止まって見える、実際はぶんぶん腕を振り乱してるが




鎖まみれの奴に、全ての俺が串刺しの超連撃を四方八方からぶち込む




「ほう.......」




リリリルルドが後ろの木の上で笑ってる声が聴こえる




「ギャギャギャギャギャオオオオオ!!!!!!!」




奴は苦しそうにする




いける!!!!そう思った.........




しかし、奴は体を硬質化し全身を一つのダイヤモンドの様に変えた、そうなってから宝剣の突きは入らない




この剣すら侵入不可というのは、恐らく異界でも最高峰?の高度の物質にさらに何かの魔法か制約をかけているのだろう




「こいつ無茶苦茶硬い」




俺はルルリサに言う。




「鎖の拘束も丸まられたらあまり意味ないわ、厄介ね」




その時だった、その鉱物がにゅーっと変化して腕が伸びる。そしてその辺に生えてる巨木を巨大なダイヤモンド内にに引きずり込む




「何を?.....」




俺は注意深く、内部を観察する




すると、奴は内部で巨木に、頭三つから出る得体の知れないブレス吹きかけ、巨木を超巨大な大剣に変えてる。




やばい。すごいやばい気がする




「ルルリサ!!!逃げろ!!!」




「え?」




言う間もなく奴はその超大剣を巨大なダイヤ内部から出し、ミキサーや竜巻の様に周囲二十メートル、無数の鎖も俺とルルリサの分身も含めて、一瞬で粉々にした。


そこだけの範囲は文字通り土しかなくなる




俺は寸手で、本体のルルリサを抱きかかえ上空に飛び逃げた。重力操作で上空に待機する




ルルリサは冷や汗を流し、唾を飲み込む




「こりゃ近づけないな?ルルリサどうする?」




「もしあいつの半径二十メート以内に入れば、見たとおりになっちゃうわね。遠隔攻撃といってもあいつの硬さじゃきかないし」




「そうだな」




詰んだかもしれない。戦った感じ、人が猛獣との力の差、そんな質量やエネルギーの違いを感じる




しかし絶対諦めはしない。


そう決めたのだ。隣にいる不安そうなルルリサの横で俺は挫ける選択肢なんて一つも選ぶつもりが無い




そうこうしてる間に、奴は背中に巨大な蝙蝠の様な何十にも重なる羽を生やしている




やばい、飛んでくる




「飛ぶつもりね」




ルルリサと俺は焦る




その時、遠くから声がする




「おーい、お前ら愛の力はどうしたんじゃ?あたしに早く見せろ」




リリリルルドが笑って言う




こんな時に超マイペースで呆れるやつだ




「うるさわね!!!!!」




ルルリサがさすがに怒る




愛か...........愛.........ん.........協力?




そうか!!!




魔力供給だ!!!!!




俺はルルリサの耳元で囁く




「なぁルルリサ聞いてくれ、俺はさ出会って間もないが君が本当に好きだ」




「なによ?こんな時に」




「こんな時だからさ、落ち着こう。君はとても綺麗だが見た目だけじゃない、こんな俺を無条件で救ってくれるし、いつだって周りの為に頑張ろうとするだろ?」




ルルリサは真剣に聞く




「君は言ったよね、故郷の草原は果てなく広いと?


思うんだ。もし君がそこに居て、その果ての無いすべてに紛れてしまっても、そこがどんなに広くても、俺は君と言う花をすぐに見つけられる。そのぐらい君は俺には特別に輝いてる」




ルルリサは超赤面した後、少し涙を流す




「ありがとうギガドロ。ずっと一緒なんだからね?」




「うん、二人で生き抜こう」




「えぇ、いきましょう」




その時、二人の波長はこの上なくシンクロした




二人で一つ。出会うべくして出会った二人




「僕の魔力を受け取って」




俺は全神経集中し、様々な異形から獲得したエネルギーやら、宝剣のエネルギーをまとめて精製し高密度な魔力を彼女の体内に送り込んだ




結晶呪で彼女の魔力核を確認し、覆うように新たな底知れぬ魔力核を作り出した。能力をコピーしたにも近い。そのままとはいかないが


彼女の魔力は、今後彼女の命が尽きるまで永続的に新たな魔力核の力に更新されたのだ




ルルリサは生まれ変わった




「すごくいい気分」





雰囲気で分かる。今のルルリサは最強だ





ルルリサは上空で羽をのびのびと広げ、浮遊する。とてつもない余裕感だ





それを見たビーパルスロは超大剣を持ち何十にも重なる蝙蝠の巨大な羽でバタバタと上空に飛空しだす




ルルリサは何か唱えだす。




上空に巨大な魔法陣が出来上がる。




そこから、俺の宝剣に似た物質が登場する。しかし違う、かなりでかい、ビーパルスロの大剣よりでかい




それは、ネプラキオンの結晶の輝きを持ち、プリズムの波動を纏う、そしてドリルの様に超速回転する




奴はもう目の前。




しかし、奴も危険を察知したのか。体を硬質化して地上に引き返そうとする。




でも、遅かった




ルルリサは人差し指を突き上げ、下にクイッと振り下ろす




その瞬間、隕石でも落ちるように。ビーパルスロめがけてスピンしながら高速落下する




奴は振り向くがもう遅い、その大剣は奴の結晶をいとも簡単に貫き、奴は串刺しになった




そして、その威力は恐らく奴の体中に波及してコアを潰したのだろう






ビーパルスロはホログラムとなって消えた.......





奴を倒せた。





「ありがとう、ギガドロ。」




「あの時あなたに出会えて本当に良かった。ラッキーカードなんかじゃないよ。言葉で言い表せられないけど.......」





「俺も同じだ」





俺達は月夜に照らされながら上空に手を握り合う





遠くからリリリルルドの嬉しそうな声が聞こえる




「それでこそ、ばかっぷるじゃ!!!まったく面白い」




俺はルルリサをもう一度見る。彼女の髪や鎧や羽が一瞬以前にもまして艶やかに光った様に見えた、恐らく、鏡の女王の能力を獲得したからだ...........




03:00




残り02:00


--------------------つづく----------------------------------

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