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クッキーより早く焼けたやつがいます

12月終わりだ..!

クッキーより先に焼けたやつがいる

「コンコン」


「? 誰だろ」


 せなはゲームの手を止めて、ゆっくりと立ち上がった。

 ドアの向こうからは、かすかに気配がする。

 カーテン越しに差し込む夕方の光が、部屋の空気をやわらかく染めていた。


 カチャリ。

 ドアを開けると、そこに立っていたのは――あおばだった。


「あ、あおばじゃん」


「……ヤッホー」


 あおばは、どこか落ち着かない様子で、視線を泳がせていた。

 その表情に、せなはすぐに気づく。


「なんかあった?」


「……い、いや……?」


 その“いや”の語尾が、少しだけ揺れていた。

 せなは、あおばの喋り方から、何かを隠していることを察する。


「あおば……なんか隠してるでしょ?」


「え……。その……ごめん、言った方がいいか迷ってて……」


「私、相談なら聞くよ?」


「……み、みのに言わない?」


「? うん、言わないよ」


 少しの沈黙。

 あおばは、視線を泳がせながら、口を開いた。


「じ、実は……その……み、みののことが……」


 声がかすれて、最後の言葉がほとんど聞き取れない。

 でも、せなはすぐに察して、口元をゆるめた。


「好きってこと?」


「な、なんで分かった……!?」


 あおばは、思わず一歩引いて、目を見開いた。

 顔がじわじわと赤くなっていく。


「だって……いつもみののこと見てるし。

 みのがこっち向いたら、すぐ顔そらすしね。

 あれ、分かりやすすぎるって」


「……マジか……」


 あおばは、額に手を当ててうつむいた。

 耳まで熱くなってるのが、自分でも分かる。


「……じゃあ、俺の気持ち……バレてる……?」


「いや、それはないと思うよ。

 みの、そういうの気づくタイプじゃないし」


「……よかった……」


 あおばは、ほっと息をついた。

 でも、すぐにせながニヤッと笑って、追い打ちをかけてくる。


「にしても、あおばってさ、恋すると分かりやすいんだね〜。

 ちょっと見ててニヤけるくらい」


「……や、やめてくんない? 今それ言われたら……死ぬから……//」


 あおばは顔をそらして、耳まで真っ赤。

 でも、声だけはなんとか平静を保とうとしていた。


「ふふっ、ごめんごめん。

 でも、ちゃんと話してくれてありがと。……ちょっと嬉しかった」


「……なんでお前が嬉しいんだよ……」


「だって、あおばが誰かを本気で好きになるの、初めて見たからさ」


「……うるせぇ……」


 あおばはぼそっと言って、壁の方を向いた。

 でも、その背中からは、どこか安心したような空気がにじんでいた。

 

 あおばは、胸をなでおろして、ほっと息を吐いた。


「で? それで私に何用?」


 せなが、あおばの顔をじっと見ながら問いかける。

 その目が、なんとなく“察してる”感じで、あおばはちょっとだけ言いづらそうに口を開いた。


「あ、えっと……その……みののこと、一番知ってるの、せなかなーって思って……」


「あー、まぁね。付き合い長いし、いろいろ見てきたし」


 せなが軽くうなずく。

 あおばは、少し間を置いて、視線を落としたまま続けた。


「で……その……みののこと、好きだから……

 なんか……プレゼント作って、渡したいなって……思ってて……」


 言い終わると同時に、顔がじわじわと赤くなる。

 せなは一瞬だけ目を丸くして、それからふっと笑った。


「へぇ〜、あおばがねぇ……」


「……な、なんだよ。なんか文句……?」


「文句なんてないよ。

 でも……まさか、あのあおばが、そんな可愛いこと言うなんてね……」


「……うるせぇ……//」


 あおばは顔をそらして、耳まで真っ赤。

 でも、声のトーンはどこか素直で、否定しきれていない。


「ふふっ、ごめんごめん。

 で、プレゼントって何にするか決めてるの?」


「いや、まだ……。なんか、手作りとかがいいのかなって思ってはいるけど……難しそう……」


「まぁ、難しいのはいいとして。クッキーとかどう? 手作りクッキー。

 あおばが作って渡すの、絶対いいと思うけどな〜」


「クッキー……」


 あおばは、ちょっと困ったように眉をひそめた。


「でも……みの、自分でもクッキー作れるだろ?

 俺が作っても、別に……って思われそうじゃね?」


 その言葉に、せなは「はぁ〜」と大きめのため息をついた。


「分かってないねー、あおばは」


「……は?」


「確かに、みのは自分でも作れるよ。

 でもね、“誰かに作ってもらったクッキーは特別”って、本人が言ってたんだよ?」


「……マジで?」


「うん。前に私が作ったとき、

 “これ、せなが焼いたの? うわ、めっちゃ嬉しい……”って、

 めっちゃ嬉しそうな顔で言ってたもん」


「……っ。絶対可愛いじゃん……」


 あおばは、思わず口元を手で隠した。

 顔が熱い。耳まで赤くなってるのが、自分でも分かる。


「今、言ってほしくなかった……」


「えー、なんで?」


「お前の前で、顔赤くするのなんか恥ずいから」


「理由それだけなのかよー」


 せなが笑いながらツッコむ。


「作るのがんばれー」

 

 その言葉に、あおばは何も返せなかった。

 料理は……苦手だ。

 クッキーなんて、焼き加減も生地の固さも難しそうだし、失敗する未来しか見えない。


(小学生でも作れるって言うけど……俺がやったら、焦がすか、粉まみれになるか……)


 あおばが黙り込んでいると、せなが心配そうにのぞき込んできた。

「どした? なんか心配なことあった?」


 せなが、少し身を乗り出して、あおばの顔をのぞき込む。

 その声は、いつもより少しだけやわらかくて、

 “言っていいよ”って背中を押してくれるような響きだった。


「い、いや……クッキーなんて作れるかなって……」


 あおばは、視線を落としたまま、ぽつりとつぶやく。

 言ったあと、すぐに唇を噛んだ。

 自分でも情けないと思うくらい、声が小さかった。


 せなが一瞬きょとんとしたあと、ぱっと笑って、親指を立てた。


「……じゃあ私が手伝ってあげる!」


 その笑顔が、部屋の空気を一気に明るくする。

 カーテンの隙間から差し込む夕方の光が、せなの髪をやわらかく照らしていた。


「え……マジで?」


 あおばは、思わず顔を上げた。

 でも、せなの笑顔と目が合って、すぐにまた視線を逸らす。


「マジマジ。だってさ、あおばがひとりで台所に立ってるとこ、想像つかないし」


「……うるせぇな……」


 言い返しながらも、声が少しだけ裏返った。

 耳の先がじわじわと熱くなっていくのが分かる。

 なんとか平静を装ってるけど、頬の火照りは隠しきれない。


「ふふっ、ごめんごめん。

 でもさ、あおばが“誰かのために頑張ろう”って思ってるの、

 なんか……ちょっと、いいなって思っただけ」


「……お前、そういうことサラッと言うなよ……//」


 あおばは、思わず目を細めて睨むように言ったけど、

 その頬は真っ赤で、睨みもどこか力が抜けていた。


 心臓が、さっきからずっと落ち着かない。

 鼓動がうるさくて、せなの声が少し遠くに聞こえる。


「えー? なに照れてんの〜?」


「照れてねぇし……!」


 即答したけど、声が少し裏返った。

 その瞬間、せなが「ふふっ」と笑ったのが聞こえて、

 あおばは思わず顔を手で覆った。


(……やば……なんだこの空気……)


「はいはい。じゃあ、明日の夕方、うちのキッチン集合ね。

 クッキー作戦、いよいよスタートってことで!」


「……あー……マジでやるのか……」


 あおばは、ソファの背にもたれかかりながら、天井を見上げた。

 でも、視界の端にせなの笑顔がちらついて、落ち着かない。


「やるよっ。あおばの“本気”、ちゃんと形にしなきゃでしょ?」


「……っ、う……」


 その言葉に、あおばはまた顔をそらした。

 “本気”って言葉が、胸の奥にじんわり響く。

 照れと、焦りと、ちょっとの嬉しさが、ぐちゃぐちゃに混ざっていく。


「……お前、ほんと……ずるいな……」


「え? なにが?」


「……なんでもねぇよ……//」


 あおばは立ち上がって、玄関の方へと歩き出す。

 でも、ドアノブに手をかけたところで、ふと立ち止まった。


「……ありがとな。手伝ってくれて」


 その声は、少しだけ背中越しに震えていた。

 せなが「うん」と笑ってうなずく。


「……がんばろうね、あおば」


 その声に背中を押されるように、あおばは小さくうなずいた。

 そして、顔を真っ赤にしたまま、そそくさと部屋を出ていった。


 ドアが閉まる直前、せなの「ふふっ」という笑い声が、かすかに聞こえた。

 

おはようございます!

もう、12月31日。

12月のクリスマスイベント、楽しかったなー。

今になっては、もう昔の話(?)

でも、1月もお正月と言うイベント(イベントなの?〜)がありますので、楽しんで行きましょう!

今回は、あおみの早く描きたいので、進めるためにこういう感じで、プレゼント渡すーみたいにして見ました。

感想、リクエストなどお待ちしております。

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