夕方の部屋で男子二人が修羅場る
無理。
せな王を続ける予定だったけれど、
全員の心臓が限界を迎えたので、自然とゲームはお開きになった。
夕方の光が部屋に差し込み、
オレンジ色の影が床に長く伸びている。
その静けさの中で――
「せな、こっち来い」
せな王が終わった瞬間、なぎとが私の手をぐいっと引いた。
その手は少し汗ばんでいて、力が微妙に強い。
「何用?」
「……一緒にゲームしね?」
なぎとは目を合わせず、耳まで赤くして言う。
「いいよ〜!」
私が嬉しくて腕を握り返すと、
なぎとはビクッと肩を震わせ、さらに真っ赤になって視線を逸らした。
その様子を見ていたしゅいが、
一瞬だけ何かを考えるように目を伏せ、
そして私たちの輪に入ってきた。
「ねぇ、せな」
「あ、しゅい。どした?」
「……一緒におかし……作らない?」
しゅいは指先をそわそわ動かしながら、
私の顔を見られずに言う。
頬はほんのり赤い。
「え……っと……めっちゃ誘ってくれるの嬉しいんだけど……
なぎとと今からゲームする約束しちゃって……」
「……ダメ」
「……え?」
「俺のせななんだから、なぎとに渡したくない」
しゅいはなぎとをキッと睨み、
私の腕を軽く引っ張った。
その手は震えていて、必死さが伝わる。
「ちょ、しゅいおま!
俺が先に予約してたんだから取るのはダメだろ!」
「うるさい。せなは俺のものだから、なぎとの物じゃない」
「ち、違う! せなは……。
……俺のもんだし!」
2人は同時に私の腕を引っ張る。
「ちょ、2人とも!?!?
やめてやめて! 腕が引きちぎれちゃうよ〜!」
「なぎとが強く引っ張るからだろ!
せなが苦しんでるじゃん! 今すぐゆるめて!」
「力が強いのはそっちだろ!
俺はめっちゃゆるめてる!」
――現在、私の取り合い中です。
「だからせなは……!」
「俺のだって……!」
「……あのね、2人とも」
私はにっこり笑って言った。
「私が本気で怒る前にやめてくれないかな?」
「え、っと……」
「それは……」
「うん、もう一回言うよ?
私が本気で怒る前にやめてくれないかな?
……あ、分かった〜。ボコられたいのか〜」
「……」
「……」
2人は同時に黙り込み、
そっと私の腕を離して床に座り込んだ。
「ごめん……」
先にしゅいがぽつりと謝る。
「別に……せなを苦しめるつもり、なかった……。
ただ、なぎとに……その……せなを奪われたくなかった……」
しゅいは遠くを見つめ、
耳まで真っ赤にしていた。
少し間を置いて、なぎとも小さく呟く。
「……ごめん。
ただ……せなともうちょっと一緒にいたかったって……思ったから……。
……2人ともごめん」
いつもツンツンしているなぎとが、
今はどこか弱々しく見えた。
「よし! じゃあ仲直りだね!」
私は勢いで2人に飛びついた。
「ちょ……せな!?」
「ちょ……離れろって……!」
2人とも慌てているのに、
腕は全然私を押し返してこない。
顔を見ると――
2人とも真っ赤で、でも嬉しそうに笑っていた。
その笑顔が可愛すぎて、
私はもっと強く抱きしめた。
すると2人とも肩をビクッと震わせ、
さらに顔を真っ赤にして固まった。
「顔真っ赤になってるよ♡」
「うるさい……」
「うるせぇ……」
声は揃わないのに、照れ方はそっくりだった。
(ってか、さっきのって……
なぎと、完全に嫉妬してたって事!?
好きなのは知ってたけど……
あんな分かりやすいの見せられたら……
こっちが恥ずかしくなるよ……)
(しゅいもあんな事言ってたし……
もう、一体なんなの!?
私の心臓持たないよ……)
無理。




