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好意の告白は夕日の光の中で

無理

好意の告白は夕日の光の中でせな王ゲームから三十分ほどが経ち、

 部屋には夕方の光が差し込み始めていた。

 窓から入る柔らかな橙色が、ソファーの影を長く伸ばしている。


 その静けさの中で、なぎとがソファーから立ち上がった。

 立ち上がる瞬間、彼の影が少し揺れる。


「つ、次は俺からの命令だったよな……?」


「うん、そだね」


 私が頷くと、なぎとは少しだけ視線を泳がせ、

 何か覚悟を決めるように息を吸った。


「じ、じゃあ……せな」


「?」


「俺に……好意を……少しだけでも持ってるか……正直に答えろ」


 言った瞬間、なぎとの耳がじわっと赤く染まった。

 声は強がっているのに、語尾だけ妙に震えている。


「は……は!? なんでそんな事聞くのよ!」


 私が怒ったように言うと、なぎとはニヤリと口角を上げた。

 でもその笑みは、照れを隠すための無理やりなもの。


「命令は絶対。そうだろ?」


「う……。……別になぎとなんかに好意なんかある訳……ない……!」


「……それ、本当か?」


 なぎとは一歩近づき、私の目を覗き込む。

 その瞳は、強がりの奥にある“怖さ”と“期待”が混ざって揺れていた。


「……いや……それは……」


「……俺だって……それ気にするから……正直に答えてもらわないと……困る……」


 最後の“困る”だけ、声が小さくて震えていた。

 その震えが、彼の本音を全部物語っていた。


「え? それって私の事好きって言ってるの?」


「い、言ってない! 勝手にそんなこと妄想するな!」


 なぎとは真っ赤になって叫ぶ。

 首元まで赤くて、怒ってるのに全然迫力がない。


「好きなくせに……」


「だから好きじゃないって言ってんだろ! お前はバカか!」


「……じゃあ……前の時キスして“好き”って言ったのはなんだったのよ……」


「……? 今、なんて言った? なんか、大切な事言わなかったか?」


「なんでもないよ〜」


 私が誤魔化すと、なぎとはさらに赤くなり、

 耳まで熱そうにして叫んだ。


「と、とにかく! お前が俺に……好意があるかって……聞いてるんだよ……!」


「え、っと……。その……それは……ちょっと……だけなら……」


 私が言うと、なぎとは一瞬固まり、

 次の瞬間、顔を逸らして口元を押さえた。


 ――めっちゃ嬉しそうに笑ってる。


「ねぇ、なぎと〜。めっちゃ嬉しそうだけどもしかして私が好意があるって言ったから〜?」


「ち、ちが……! そんな訳ねぇだろ!」


 叫びながらも、頬も首も真っ赤。

 肩まで赤くなりそうな勢い。


「ふーん……」


 私はゆっくり顔を近づける。


「な、なんだよ……離れろよ……」


 なぎとは視線を逸らし、耳を押さえるように肩をすくめた。


「いや……なぎと、すごく照れてるな〜って」


「は!? お前に照れるわけねぇだろ! 頭壊れてんのか!

 これは、えっと……さっき熱々のコーヒーを飲んだからだ!」


「え〜? 自分の気持ちに正直になったら?」


「なってるし! お前の事なんてなんとも思ってない!」


「そっか……」


 私は少し考え、なぎとのほっぺをツンツン。


「な、なんだよ……!」


 なぎとは焦って後ずさるが、私は追いかける。

 そのたびに、なぎとの耳がさらに赤くなる。


(なぎと、可愛い……)


 そう思った私は、思い切って――


「よし!」


 なぎとの頭をヨシヨシした。


「な……! おま……! 何して……! 離せ!」


 なぎとの髪はふわふわで、指先に優しい感触が残る。

 その柔らかさが、彼の強がりとは真逆で胸がくすぐったくなる。


「いいから早く終われよ……!

 ……絶対心臓もたないから!

 ……っ! 今のは忘れて、早く離せ!」


「なぎとって可愛いよね」


「お前はさっきから何真逆な事言ってんだ! いいからはやく離せ!」


 なぎとは私を軽く押した。


「わっ」


 私は後ろに倒れ、視界が揺れる。

 背後には硬い机。


 なぎとは驚いたように目を見開き、


「おい! 倒れるなんて聞いてない……!」


 と叫びながら駆け寄ってくる。


「なぎと……!」


 でも距離が遠い。

 このままだと――頭をぶつける。


 ――その瞬間だった。

 

無理

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