アイラブユー返しは、恋の始まり
無理。
アイラブユー返しは、恋の始まり
2人はチョコレートを入れた袋を手に、店を出た。
外は夕方の光が街をオレンジ色に染めていて、冷たい風が頬を撫でる。
その中で、みのの頬だけは冬の空気に似合わないほど赤かった。
せなはその横顔を見て、くすっと微笑む。
「ねぇ、みの」
「な、なんですか?」
みのは袋をぎゅっと握りしめたまま、視線を泳がせる。
「いっそさ、バレンタインの時に告ってみたら?」
「え……え! 急になんて事言い出すんですか!?」
みのは跳ねるように声を上げ、顔を真っ赤にした。
耳まで赤くなっていて、せなは思わず笑ってしまう。
「だってさ、せっかく“アイラブユー返し”するわけじゃん?
告るチャンスじゃない?」
その言葉に、みのはぴたりと歩みを止めた。
視線は地面に落ち、声は小さく震えていた。
「でも……恥ずかしいし……無理です……」
「みのならいけるって! 絶対両思いだよ!」
「……怖いです……。告白失敗したら……残るのは恥ずかしさだけですし……」
「行けるって!!」
せなは両手でみのの肩をぽんぽん叩きながら励ます。
その勢いに押されるように、みのはぎゅっと拳を握った。
「よし! 私、あおばさんに告白します!」
「よしよし! その勢いだよー!」
せなは満面の笑みで親指を立てる。
みのは照れながらも、どこか誇らしげだった。
「だから、せなさんもしゅいさんに告白してくださいね!」
「え!? ちょっとそれは……無理かも……」
せなの顔が一瞬で真っ赤に染まる。
さっきまでの勢いはどこへやら、今度はせなが視線をそらした。
「なんでせなさんは告らないんですか?」
「だって……まだ頃合いじゃないっていうか……。
あおばとみのは、そろそろ頃合いかなと思って……」
「じゃあ……私はまだ頃合いとは思ってませんでした。自分の事。
だから、告白はまた今度にしますね」
「え……!? そ、そっか……」
せなは少しだけ肩を落とし、残念そうに笑った。
「……帰ろっか」
「はい!」
2人は並んで家へ向かった。
夕暮れの風は冷たいのに、胸の中はどこか温かかった。
――玄関を開けると、そこにはあおばが立っていた。
腕を組み、ニヤッと笑っている。
「よ!」
「何してるの……?」
せなが聞くと、あおばは元気よく胸を張った。
「今からメンバーで王様ゲームするから、せな達もやろうぜ!」
「え……。まぁ、いいけど……」
「まぁ、いいですよ」
2人は渋々ながらも了承した。
するとあおばは満足そうに笑い、リビングへ向かっていく。
せなとみのも後に続くと、
リビングにはすでにメンバー全員が椅子に座り、わくわくした顔で待っていた。
「よし! 全員揃ったことだし、王様ゲーム始めるぞー!」
「おー!」
みんなの声が重なり、部屋の空気が一気に賑やかになる。
無理。




