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秘密の交換、恋の証明

無理

秘密の交換、恋の証明

でも、せなが俺のことを好きなわけがない。

さっきだって……「部屋、汚なそう」なんて言っちゃったし。

あんなこと言われて、いい気分になるわけないよな。

きっと、嫌われてる。そう思うと、胸の奥がじわっと冷たくなる。


(どうにかして……せなと付き合えないかな……)


そんなことばかり考えて、俺は廊下の真ん中で立ち止まっていた。

そのときだった。背中に、ふっと違和感。


「よっ!」


軽く叩かれた背中に、心臓が跳ね上がる。


「な、何!?」


「笑。あおばだよ」


振り返ると、いつもの調子でニヤけた顔のあおばが立っていた。

その笑顔が、なんか腹立つ。


「驚かせるなよ!」


「ごめんごめん。でも、どうしたの? いつも元気なのに、そこでフリーズしてたからさ」


「……お前には関係ねぇし……」


どうせこいつに「せなが好きだけど、どうしたら近づけるか分からない」なんて言ったら、

“壁ドンしろ”とか“いきなり告白しろ”とか、ろくでもない作戦を言ってくるに決まってる。


「教えろよ〜」


「お前に言っても……損するしな……」


「俺、リーダーだよ? 信頼してくれてもいいんじゃない?」


あおばは、まるで何も考えてないような顔で笑った。

でも……なあ……。


「お前、誰にも言わないって約束……できる?」


「うん」


「本当に?」


「うんうん」


まだ迷ってた。

こいつが本当に黙っててくれるか、正直信用できない。

だから、こういうときは――交換条件だ。


「……お前、好きな人いる?」


「……え? い、いきなり何?」


「いや、ただ聞きたかっただけ」


「……いるよ……////」


「教えてくれたら……教えてやる……」


「何を?」


俺は、顔が熱くなるのを感じながら、言葉を絞り出した。


「さっき……立ち止まってた理由は……す、好きな人が……どうすれば近づけるかな……って考えてたんだよ//////」


「お前、好きな人いたの?」


「うん……//」


あおばは、ニヤニヤしながら身を乗り出してきた。

その顔が近くて、なんかムカつく。けど、逃げられない。


「誰が好きなんだよー。なぁなぁー!」


「お前が教えたら教えるって言ってるだろ!」


俺が睨むと、あおばは「はいはい」と手をひらひらさせて、

少しだけ視線をそらした。

その頬が、ほんのり赤いのを俺は見逃さなかった。


「……み……みのが好きなんだよ……///」


声は小さくて、かすれてて、

まるで自分の口から出たことを後悔してるみたいだった。


「へ?」


思わず間抜けな声が出た。

あおばは、耳まで真っ赤にしながら、目を逸らす。


「だから! みのが好きって言ってんだろ……// は、早くお前の好きな人も教えろ!」


その言い方が、なんかずるい。

俺が言わなきゃいけない空気になってる。

でも、まさか、あおばがこんなにあっさり言うなんて思ってなかった。

絶対、はぐらかすと思ってたのに。


……約束は、守らなきゃな。


喉がカラカラで、心臓がうるさい。

言葉を出すのに、何回も息を吸い直した。


「お、俺は……その……」


視線を落とす。

あおばの顔なんて見れない。


「せなのことが……好き……///////」


最後の“好き”は、ほとんど息だった。

でも、あおばには聞こえてたらしい。


「……へぇ……」


あおばが、にやりと口角を上げた。

その顔が、なんかムカつく。けど、ちょっと安心した。


「せなに伝えてきてあげよっか?」


「は、は!? そしたら俺も、みのに伝えにいく!」


「やめろ!」


お互い、顔を真っ赤にしながら、声を張り上げた。

くだらないけど、俺たちらしいやりとりだった。


そして、俺たちは“ある約束”を交わした。


――もし、どちらかが相手に“好き”を伝えたら、もう一方も伝えること。

つまり、どちらかが動けば、もう一方も動く。

だから、どちらも動けない。

それが、俺たちの“平和条約”だった。


廊下の空気は、さっきより少しだけあたたかく感じた。

でも、胸の奥はまだ、ドクドクとうるさかった。


「……」


俺は黙って考えた。

あおばが、みののことを好き……か。

ちょっと意外だったけど、でも――なんとなく、分かる気がした。


みのは、いつもニコニコしてて、誰にでも優しい。

朝が弱くて、よく寝坊するくせに、誰かが落ち込んでるとすぐ気づいて、

「大丈夫?」って、そっと隣に座ってくれる。

あの、ふわっとした声で。


おっちょこちょいで、たまに変なこと言うけど、

それすらも“みのらしさ”って思えるくらい、憎めない。

笑うと、目がくしゃってなるのも、

ゲームで負けると本気で悔しがるのも、

全部、あおばが好きになるのも無理ないなって思った。


(……あいつ、ちゃんと見てたんだな)


そう思ったら、少しだけ胸があたたかくなった。

あおばのこと、いつも“お調子者”って思ってたけど、

ちゃんと人のこと、見てるんだな。 


そんなことを思いながら、自分の部屋に戻った。

ドアを閉めると、空気が変わる。

外のざわめきが一枚の壁で切り取られて、世界が急に遠くなる。

静かで、落ち着く。

誰にも見られない場所。

イライラしても、落ち込んでも、ここなら全部吐き出せる。


パソコンを立ち上げて、モンスター育成ゲームを起動する。

進化していくと、姿が変わって、どんどんカッコよくなる。

バトルロイヤルで戦わせるのも楽しい。

……はずだった。


(……なんか、飽きたな……)


画面の中のモンスターが進化しても、心はちっとも動かない。

部屋の中は静かで、時計の針の音だけがやけに響いていた。

窓の外を見れば、灰色の雲が空を覆っていて、陽の光はどこにもなかった。


そのとき、ふと耳に入ってきたのは、遠くから聞こえる子どもたちの声だった。

「いーち、にー、さーん!」

誰かがかくれんぼでもしているのか、笑い声が風に乗って届いてくる。

その声が、やけに遠く感じた。

まるで、自分とは別の世界の音みたいに。


(……いいな、あいつら)


そう思った瞬間、胸の奥がきゅっと縮こまった。

なんでだろう。

ゲームの中じゃ、あんなに強くなれるのに。

現実の俺は、せなの前じゃ、何もできない。


ため息をついて、椅子から立ち上がる。

カーテンの隙間から差し込む光は、どこか冷たくて、部屋の空気まで青白く染めていた。

 

ため息をついて、椅子から立ち上がる。

カーテンの隙間から差し込む光は、どこか冷たくて、部屋の空気まで青白く染めていた。


「……外、行くか」


久しぶりに玄関のドアを開けると、冷たい風が一気に吹き込んできた。

頬を刺すような空気に、思わず肩をすくめる。

アスファルトの上には、風に舞った枯れ葉がいくつも転がっていて、カサカサと音を立てていた。


「さっむ……」


吐いた息が白く曇って、すぐに風にさらわれていく。

街路樹の枝はすっかり葉を落とし、裸のまま空に手を伸ばしていた。

人通りの少ない道を歩くと、足音だけがやけに響く。

まるで、世界に自分しかいないみたいだった。

近くのスーパーに入ると、ドアが開いた瞬間、ふわりと暖かい空気が頬を撫でた。

店内には、焼きたてのパンと揚げ物の香りが混ざって漂っている。

レジ横のホットスナックコーナーからは、湯気が立ち上っていた。


唐揚げおにぎりをひとつ手に取り、レジを済ませる。

外に出ると、また冷たい風が頬を撫でた。

でも、さっきよりは少しだけ、寒さが心地よく感じた。


帰宅して、自分の部屋に戻る。

ドアを閉めると、また静寂が戻ってきた。

机に座って、まだほんのり温かいおにぎりの包装を開ける。

唐揚げの香ばしい匂いがふわっと広がった。


一口かじると、衣のサクッとした食感と、ジューシーな肉汁が口の中に広がる。

思わず、ほっと息が漏れた。


(……せなの部屋、行こ)


理由なんてなかった。

ただ、そういう気分だった。

窓の外では、風が木の枝を揺らしていた。

空はまだ灰色のままで、けれど、どこかその曇り空が、今の気持ちにちょうどよかった。

せなと一緒にいると、時間があっという間に過ぎる。

楽しいから。

……それだけのはずだった。


まさか――

あんな事件が起こるなんて、思うわけないじゃないか。

今回は、男の恋バナ!作ったよー!

お調子者でごめんなさい。

なんか、人気がないみたいなんですけど、悪い点ありましたか?

感想書いて教えて下さい。

頑張って治します〜。

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