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秘密の告白、半分だけ

無理。

秘密の告白、半分だけ

次の日の夕方。

 撮影を終えた余韻がまだ残る寮の部屋で、みのはソファに寝転びながら携帯をいじっていた。

 窓から差し込む光は少し赤みを帯び、部屋の中に柔らかな影を落としている。

 静かな時間を楽しんでいると――コンコン、とドアをノックする音が響いた。


「誰ですか?」


 みのが声をかけると、すぐに返事が返ってきた。


「あおばだよ〜」


「あ、入っていいですよ」


 ドアが開き、あおばが少し照れたような笑顔で顔を覗かせる。


「みの〜」


「なんですか?」


 みのが首を傾げると、あおばは一瞬ためらってから、急に真剣な顔になった。


「あ、あの……急に悪いんだけど……みのって……好きな人……いるの……?」


「え!? な、なんでそんな事聞いてくるんですか……!?」


 みのは携帯を落としそうになりながら、顔を真っ赤にして声を上げた。

 心臓が跳ねるように速くなるのを、自分でも感じていた。


「いや……なんとなくっていうか……」


「い、いないです!」


 みのは慌てて首を横に振る。

 (“いますよ! 実は、あおばさんが好きです!”なんて言ったら、本人に告白になっちゃうじゃないですか……!)

 心の中で叫びながら、必死に誤魔化した。


「そ、そっか……」


 あおばは少し肩を落とし、視線を泳がせる。


「じ、じゃあ逆に……あおばさんは好きな人いるんですか?」


「は、は!? もちろん、いないし! 本当はいるけど、隠してるとかじゃないから!」


「なるほど……。いるんですね……。誰ですか?」


「だから、いないって……!」


 あおばは顔を真っ赤にして、慌てて顔を背けた。

 耳まで赤く染まっているのが、みのにははっきり見えていた。


「あおばさん、好きな人誰ですか〜?」


「だから……!」


 みのはニヤニヤしながら、わざと追い詰めるように問いかける。


「えっとその……俺の好きな人は……なんてっか……優しくて……可愛くて……」


「あ、好きな人いるんですね」


「あ……!! ちょ、今の聞かなかったことにして……!」


 あおばは両手で顔を覆い、さらに赤くなる。


「あーもう。正直に認めるよ。……いるよ……好きな人……」


「……そうですか……。でも、優しい……。せなさんですか?」


「違うよ! 俺の好きな人はみ……。いや、なんでもない!」


「え? さっきなんて言ったんですか? もう一回お願いします!」


「無理!」


「お願い〜」


 みのがうるうるした目で見上げると、あおばの心臓は跳ねるように高鳴った。

 内心ドキドキしすぎて、今にも気絶しそうだった。


「そんな目しても教えないから!」


「え〜! 教えてくださいよ!」


 みのが少し怒りながら、あおばの肩を掴む。

 突然の接触に、あおばはびっくりして思わず「ヘッ!?」と間抜けな声を漏らした。


「き、急に肩掴むなよ!」


「別にいいじゃないですか! 友達だし!」


 みのが頬を膨らませて言う。


「よくないから!」


 あおばが真っ赤な顔で反論すると、みのはふっと悪戯っぽく笑った。


「やー!」


 みのが叫びながら、自分の手をあおばの首に当てる。


「ちょっ、冷た!」


「冷たい攻撃だぞ〜」


 次の瞬間、みのはあおばの頭に手を置いた。


「ちょ、おま……!」


 照れすぎて死にそうなあおばは、慌ててみのの手を払いのける。


「マジでお前……! 頭とか触んなよ……! なんなんだよ……お前ズルい……」


「あ、ごめんなさい〜。でも……また、やらせてくださいね」


「絶対拒否!」


 あおばは顔を真っ赤にしたまま、部屋を飛び出して走り去っていった。

 その背中は、どこか必死で、でも少し可愛らしかった。


「もう……。あおばさん、可愛すぎですよ……」


 みのは小さく笑い、ソファに寝転がった。

 夕暮れの光が頬を照らし、胸の奥がほんのり温かくなるのを感じていた。

 

無理。

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