説教1分、好きは一生バレない予定(です)
無理
説教1分、好きは一生バレない予定
あれから、少し日にちが経った。
今日は、しゅいの掃除当番の日だ。
ミラクルサーチのメンバーは、全員でひとつ屋根の下に暮らしている。
掃除や洗濯などの家事は、週ごとに当番を交代しながらこなしているのだ。
「掃除めんどくせー……」
しゅいは、ため息混じりに呟いた。
9人分の部屋を掃除するのは、正直しんどい。
それに加えて、キッチンやリビングもある。
全部終わる頃には、1時間は軽く過ぎている。
「ゲームしたかったのに……」
ぶつぶつ文句を言いながら、掃除機をかけていると――
「あ、しゅい! おはよう!」
せなが廊下を通りかかり、声をかけてきた。
「あ、おはよう!」
しゅいも、ぱっと顔を上げて元気に返す。
「今日、しゅいが掃除当番?」
「うん……。掃除する場所多すぎない? みのの部屋とか、お菓子のカスがあちこち散らばってるし……」
「ふふっ。でも、私が掃除したとき、しゅいの部屋もだいぶ散らかってたけど?」
その言葉に、しゅいは思わず顔を赤らめた。
「ゲームしてるとお腹空くし……パソコンの横にスナック菓子の袋置いてあるのは当然だし……!」
「当然じゃないよ、笑」
「……せ、せなだって、どうせ部屋汚いんでしょ!」
そう言いながら、しゅいはせなの部屋へと向かう。
「あ、ちょっ……待って!」
せなが慌てて引き止めるが、しゅいはそのままドアを開けた。
「さぁ、せなの部屋はどれだけ汚いのかなー?」
しかし――
「……え?」
部屋の中は、意外にも整っていた。
床にゴミはなく、机の上もきちんと片付いている。
「えへへー。綺麗でしょー?」
せなが、どこか得意げに笑う。
「せなの部屋がこんなに綺麗だなんて、嘘だー!」
「は!? なんだとー!」
「ぎゃー! せなが怒ったー!」
「そりゃ怒るわ!」
そのあと、しゅいはせなに1分間の説教を受けることになった。
……だが、実はしゅいの言う通り、せなの部屋は普段そこまで綺麗ではない。
じゃあ、なぜ今日はこんなに整っていたのか。
――それは、しゅいが掃除当番だと知っていたから。
せなは、前日にこっそり部屋を片付けていたのだった。
このことは、しゅいには秘密。
もし誰かがバラしたら……その人には、1時間の説教が待っている。
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説教を終えたしゅいは、次の部屋へと向かう。
「……説教、1分でこんなに疲れるのか……」
ぶつぶつ文句を言いながらも、どこか顔が緩んでしまう。
(お母さんでもないのに、ガミガミガミガミ……うるさいよ、ほんと)
でも――
せなは、優しいところもある。
朝、起こしてくれるし、ゲームも一緒にやってくれる。
怒るとちょっと怖いけど、笑うと、なんか……すごく、か、かわいい。
そんなせなのことを、俺は――
……好きになってしまった。
無理




