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観覧車の中、照れ死に寸前

これ書いてたら、遊園地に行きたくなってきました。

観覧車の中、照れ死に寸前

そして、俺たちは会計を済ませ、店を出た。

夜の風が少し冷たくて、でも頬に残る熱はまだ引かない。

さっきの“バレたら即終了ゲーム”の余韻が、ふたりの顔をほんのり赤く染めたままだった。


でも、歩くたびに、笑い合うたびに、

その照れも少しずつ、やわらいでいく。


 


――空はすっかり暮れて、遊園地の明かりが灯り始めていた。

観覧車のネオンが、夜空に虹の輪を描いている。


「時間が経つのって早いねー」


「うん……楽しかったな……」


ふたりは、少し寂しそうに、でもどこか満ち足りた声で呟いた。


 


「じゃあ、思い出になるようにさ。最後、観覧車のろ!」


「お、しゅいもいい事言うじゃん!」


「俺がいつもいい事言わないみたいな言い方だな!」


「だって、実際そうだし……」


「そんな事ない……!」


「……ふふ、でも……きょ、今日のしゅいは……ちょっとだけ……かっこよかった、かも……」


「えっ……な、なにそれ……! い、今さら褒めるの、ずるくない?」


「べ、別に褒めてないし! “ちょっとだけ”って言ったじゃん!」


「いやいや、“かっこよかった”って言ったよね!? 今の録音したい!」


「やめてよっ、忘れて! 今のナシ!」


「永久保存版だわ……ってか、今の俺の顔、絶対ニヤけてる……やば……」


「しゅいのバカ……!」


せなは顔を真っ赤にして、ぷいっとそっぽを向いた。

しゅいも、にやけが止まらず、でも耳まで真っ赤だった。


ふたりは観覧車の前に並ぶ。

ピンク色のゴンドラが、ゆっくりと回ってくる。


「……あ、ピンク……」


「うわ、これ……カップル用じゃん……」


「え、やだ? やっぱやめる?」


「い、いや……やじゃないけど……その……」


「ふーん……じゃあ、乗ろっか」


「う、うん……」


ゴンドラの扉が開いて、ふたりはそっとピンク色のゴンドラに乗り込んだ。

扉が閉まり、静かに、観覧車が動き出す。


「わぁ……!」


せなが、窓の外を見て目を輝かせる。

街の灯りが宝石みたいに瞬いていて、

その光が、せなの横顔をやさしく照らしていた。


しゅいは、その姿を見て、思わず笑みをこぼす。


「なんかさ、小学生ぶりかも。こんな風に、遊んだの」


「あぁ……。確かにそうかもね! ずっと、忙しかったし……。

久しぶりに、こういうのもいいよね」


せなが、少し懐かしそうに目を細める。

その表情が、どこか切なくて、でもあたたかかった。


「ねぇ……しゅい……」


「ん? 何?」


「……あのさ、パフェ食べた後……なんかあって……

しゅいに“可愛い”って言われた気がしたんだけど……気のせいかな……?」


「た、多分気のせいだよ! ってか、俺もせなに“顔が好き”って言われた気がする……」


「えー? 嘘だー。だって、しゅいは性格もいいし……あ……」


「……あ、ありがと……」


「い、いや! その……ただ、少し優しくて、面白いだけだから! あと、ズルいだけだから!」


「だから、ズルいって何?」


「……しゅいは、しゅいのくせに……なんか、ずるいの!」


「え、俺のくせにって何!? 俺、何もしてないじゃん!」


「してるし! ……なんか、そういうとこ……!」


「ど、どういうとこ……?」


「……もう、知らないっ!」


せなはぷいっとそっぽを向いたが、耳まで真っ赤だった。

しゅいはそれを見て、なんだか嬉しくなった。


 しゅいの内心を少しだけ追加観覧車は、ゆっくりと空へ登っていく。

ゴンドラの中は、ふたりだけの静かな空間。

でも、しゅいの心臓は、さっきからずっと落ち着かない。

せなの隣にいるだけで、鼓動がうるさくて、自分でも笑えてくる。


「でも……もう終わりって考えると……私、寂しいな……」


「そうだな……。……あ、あのさ、楽しい時間をありがと……」


「え?」


「いや、せながチケットくれてなかったら、遊園地なんて来なかったし……

色々ありがと」


「あ、こっちこそ。楽しかったよ! お化け屋敷は怖かったけど……他は楽しかった!」


「よかった。そ、それじゃあさ……また……行こうよ……。

ふ、二人でどっか。空いてる時教えてもらえれば……あおばにお願いするから……!」


「あ、え……いいよ!」


 ふたりは笑いあった。


「……って、今の、“またデートしてもいい”って意味で合ってる?」


「えっ!? ち、ちが……いや、ちがわないけど……!」


「うわ、せな、今“いいよ”って言った〜」


「う、うるさい! しゅいが変な言い方するからでしょ……!」


「でも、俺、今の録音したかったな……“いいよ”って、めっちゃ可愛かった……」


「っ……な、なにそれ……! やめてよ、そういうの……!」


「ごめん、でも……ほんとに、嬉しかったから……」


「……っ、もう……バカ……」


その笑顔が、観覧車の光に照らされて、やけに綺麗だった。

 


そして、ゴンドラはゆっくりと頂上へ近づいていく。

夜風が少しだけ揺れて、ふたりの沈黙を包み込む。


(……そういえば、観覧車の頂上で告白すると、付き合えるって……誰かが言ってたっけ)

(ま、恥ずかしいし……できないけど……)


 


「……」


「……あ、あの、ちょっといい?」


「何?」


観覧車が、ちょうど頂上にたどり着いた。


 


「あの……前から、せなのことが……好――」


 


――続く。

 

遊園地、行きたいですよね!

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