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パフェはまだ食べてないのに、甘すぎるんですけども

おはようございます(?〜)

パフェはまだ食べていないのに、甘すぎる件について

そして、お化け屋敷から出た俺たちは、昼ごはんを食べることにした。

行くのは、「恋咲く塔のランチベル」というお店だ。


ここの名物は、「水面のミントショコラパフェ」。

湖みたいに透き通ったミントゼリーと、深くてとろけるチョコレートの層。

スプーンを入れると、ゼリーの表面に波紋が広がるらしい。

その幻想的な見た目に惹かれて、せなが「食べたい」と言ったから、今日のお昼はここに決めた。


 


店の扉を開けると、ふわりと甘いミントの香りが鼻をくすぐった。

白と水色を基調にした内装は、まるで絵本の中のティールーム。

天井から吊るされたガラスのランプが、陽の光を受けてきらきらと揺れている。

窓際の席には、カップルらしきふたりが、顔を寄せ合ってパフェをつついていた。


「いらっしゃいませ! ようこそ、恋咲く塔のランチベルへ。

ここでは、よくご家族やカップルのお客様にご利用いただいております」


「へ、へぇ……」


しゅいは気まずそうに、ちらりとせなを見ながら言う。

せなも、目を泳がせながら小さく頷いた。


「ちなみに……こんな噂があるんですよ」


店員さんが、にこにこと続ける。


「ここのミントのパフェ、男女二人で来て、どちらか一方が食べると恋が実るって。

最近も、ここでパフェを食べたおふたりが、付き合い始めたそうです。偶然かもしれませんけどね?」


「……え」


「……」


ふたりの間に、沈黙が落ちた。

空気が、急に甘く、熱を帯びる。


(どっちかが食べたら……付き合う……!?)

(え、ちょっと待って、それって……)


「あ、えと……せな……その……パフェ……どうする……?」


「えっ……えっと……その……」


せなは顔を真っ赤にして、手のひらで頬を隠しながら、もごもごと口を動かした。

その様子を見て、店員さんはにっこりと微笑む。


「あなた達、お似合いですね。いっそ、付き合ったらどうですか?」


「え、あの、せなとはそういう関係じゃ……!」


「そ、そうですよ……!」


ふたりは同時に否定したけれど、顔は真っ赤だった。


「ふふ。じゃあ、席をご案内しますね」


店員さんはそう言って、俺たちを窓際の席へと導いた。

窓の外には、観覧車がゆっくりと回っていて、陽の光がガラス越しに差し込んでいた。


「ご注文が決まりましたら、こちらのボタンでお呼びくださいね〜」


そう言って、店員さんは軽やかに去っていった。


 


席に着いたあとも、ふたりの間には沈黙が続いた。

テーブルの上には、メニューと例のパフェの写真。

ミントゼリーの上に、濃厚なチョコレートソースが重なり、

スプーンを入れると波紋が広がる――そんな説明が添えられていた。


「……」


「……」


「あ、あのさ……」


しゅいが、ぽつりと口を開いた。


「な、なに……?」


せなが、少しだけ顔を上げる。


「その……聞いてもいい?」


「……うん」


「……俺のこと、どう思ってる?」


「えっ……」


せなの目が、まんまるになる。

そして、慌てて言葉を重ねた。


「た、ただの……ミラクルサーチのメンバーだよ!? うん、べ、別に……好意とか……そ、そんなの……持ってないし! うん! 多分! しゅいのこと好きなんてあり得るわけない……はず……!」


「そ、そっか……。じ、じゃあさ。帰りに、どっかにパフェ食べに行こ。ここで食べない代わりにさ」


「あ……う、うん……」


(……やばい、なんか冷たく聞こえたかも……)

せなは、さっきの言葉を思い返して、胸がチクッと痛んだ。


「そ、その……嫌いなわけじゃないんだよ。あの……でも……その……本当の恋的には……その……好き……じゃない……はずなんだよ……」


「は、はず?」


「い、いや……その……! 80%セントは……その……好きじゃないはず……」


「じ、じゃあ、残りは?」


「あ、えっと……面白かったりして……えっと……あの……ち、ちょっとだけ……ほんの少しだけ……その……す……好き……」


最後は、声というより、息だった。

でも、しゅいにはちゃんと聞こえていた。


「っ……あ、ありがと……。その……お、俺も……あの……ちょっと……いや、ほんのちよっと……好きだった……。怒ると怖いけど……なんか……優しいとこ……好き……なんだよ……。で、でも、ちょっとだから!!! ……///////」


「あ、うん。えっと……その……あ、ありがと……」


ふたりは、顔を真っ赤にしながら、同時に両手で顔を隠した。


「……あの……ごめん……」


「え?」


「ちょっと……無理かも……」


「な、なにが……?」


「……せなの顔、見れない……」


その瞬間、しゅいは机に突っ伏した。


「ごめ……ちょっと照れすぎて……限界……」


「え、ちょ、しゅい……!? だ、大丈夫……?」


「……無理……顔が……熱い……」


「……そ、そっか……ちょっと寝ときな……」


「ありがと……」


しゅいは顔を伏せたまま、動かない。

せなも、隣でそっと頬を押さえながら、ぽつりと呟いた。


「……私も……顔見れない……」


「……じゃあ、見ないでいて……」


「うん……」


ふたりは、顔を伏せたまま、

テーブルの下で、そっと指先が触れた。

その一瞬だけ、心臓の音が、重なった気がした。


 


私は、しゅいのこと、100%好きだ。

でも、まだ“ちょっと好き”ってことにしておく。

この気持ちは、まだ完全には伝えられない。

でも、少し伝わった気がして――

私は、少し恋の道を進んだ気がした。

……まぁ、しゅいが私のこと、好きなんかなんて、まだ分からないんだけどね。

でも、今日の“ちょっと”は、たぶん、すごく大きい“ちょっと”だった。

 

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