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深い意味はないって、嘘だった

遊園地編突入!

深い意味はないって、嘘だった

「……遊園地って……」


せながぽつりと呟いたその言葉に、俺は一瞬、耳を疑った。


まさか、そんな言葉が返ってくるとは思ってなかった。

てっきり、動画編集か、サムネの修正か、そういう“仕事系”のお願いだと思ってた。

いや、むしろそれ以外あり得ないと思ってた。


なのに――遊園地?


それって……

いや、待てよ……それってつまり……

デート……ってこと……?


心臓が、ドクンと跳ねた。


「で、でも……今日、休みじゃないし……」


俺が戸惑いながら言うと、せなはにっこりと笑って、

まるで“全部計画済みだよ”って顔で言った。


「実はね! あおばに許可もらったの!」


「え、マジで……? じゃあ、お金は……?」


「みのにチケットもらった! なんか、友達に譲ってもらったんだって!」


せなが嬉しそうに話すその顔は、どこか誇らしげで、

俺の胸の奥がじんわりと熱くなる。


「で……その……チケットが2枚あったから……しゅいと行こっかなって……。べ、別に貰ったからで! 決して……深い意味は……!」


顔を真っ赤にしながら、早口で言い訳を並べるせな。

その姿が、あまりにも不器用で、あまりにも可愛くて――


「よっしゃー!」


俺は思わず、両手を上げて叫んでいた。

照れとか、意味とか、そんなの全部吹き飛ばすくらい、

“せなと遊園地に行ける”って事実が嬉しかった。


「じゃあ、準備するわ!」


「う、うん!」


せなは少しぎこちなく頷いて、自分の部屋へと戻っていった。


---


部屋に戻ったせなは、クローゼットの前でしばらく悩んだ。

外は寒い。だから、ふわふわのスカートにしよう。

下にはちゃんとズボンを履いて、寒さ対策もばっちり。

上には、スカートの色に合わせた淡いベージュのコートを羽織る。


そして――髪を、ポニーテールに結んだ。


いつもは下ろしている髪を、今日は少しだけ勇気を出して。

鏡に映る自分の姿に、思わず頬が熱くなる。


(……これって、やっぱり……デート、だよね……)


最初から、しゅいと行きたかった。

その気持ちを、あおばに話したら「しょうがないなぁ……。休みにしてあげる」って言ってくれて、

みのも「ちょうど2枚あるよ」ってチケットをくれた。


(マジで神……! みの様……! あおば……様……?)


---


準備を終えたせなは、少し緊張しながら、しゅいの部屋の前に立った。


「準備できたよー!」


「OK! こっちもできたよ!」


返事が返ってきて、そっとドアを開ける。

 

 せなの姿を見た瞬間、彼の目が一瞬だけ見開かれ、

そのあと、ふいっと目を逸らして、頬を赤く染めた。


ポニーテール。

ふわふわのスカート。

いつもより少しだけ背筋を伸ばした姿。


「に、似合ってるじゃん……」


しゅいが、少しだけ目を逸らしながら、ぽつりと呟いた。

その声はかすかに震えていて、でも、ちゃんと届いた。


「そ、そっちこそ……」


せなも、顔を真っ赤にして答える。

視線を合わせるのが恥ずかしくて、思わず足元を見つめた。


「……その、髪……」


しゅいが、ぽつりと続ける。


「……いつも下ろしてるのに、今日……結んでるから……なんか……」


「……うん」


せなが小さく頷くと、しゅいは少しだけ笑って、でもすぐに目を逸らした。


「……すごく、雰囲気違うなって。……か、可愛……」


「え?」


「……いや、なんでもないっ!」


しゅいは慌てて顔を背け、耳まで真っ赤に染めた。

せなも、しゅいの服に目をやる。


白と赤のコーディネート。

シンプルだけど、どこか洗練されていて、

普段のふわっとした雰囲気とは違う、ちょっと大人っぽい印象。


「……その服、なんか……」


「ん?」


「……いつもより、ちゃんとしてるっていうか……」


「え、やっぱ変かな……?」


「ち、違う! 変じゃない! むしろ……」


言いかけて、せなはふいに口をつぐんだ。

しゅいと目が合いそうになって、慌てて視線を逸らす。


「……その、似合ってると思う」


「……ありがと」


しゅいは、少し照れたように笑って、

せなも小さくうなずいた。


「あ、あとさ……そのスカートも……せなに似合ってて……そ、その……か、可愛……い……と思う……。べ、別に変な意味じゃ……!」


 しゅいは、顔を真っ赤にしながら言った。


「ふふ……。ありがと」


「べ、別に褒めてねぇし!」


「顔真っ赤なまた言われてもねー」


「う、うるせぇ!!」


 しゅいは更に顔を真っ赤にしながらそう言った。

 しかし、せなも顔を真っ赤にしながら微笑んでいた。

 そして……しばらくの沈黙。

 それが気まずくなって、せなは叫ぶ。

 

「は、早く行こ!」


「う、うん!」


せなが玄関の扉を開けると、冷たい冬の空気が頬を撫でた。

白い息がふわっと空に溶けていく。

でも、せなは寒さなんて気にしないように、元気に笑った。


その笑顔を見た瞬間、

しゅいの胸の奥が、じんわりと温かくなった。


「……遊園地、楽しみだな……」


しゅいは、せなに聞こえないように、そっと呟いた。

その声は、冬の朝の空気に溶けて、静かに消えていった。

 

遊園地デートだー。

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