夕暮れ、君の頭に触れたくて
次回は、これの続きを書きます
夕暮れ、君の頭に触れたくて
「zzzz……。ん……?」
いつの間にか寝ていたらしい。
しゅいは、ぼんやりとした頭を抱えながらベッドから起き上がった。
カーテンの隙間から差し込む光は、もう夕方の色をしている。
「もうこんな時間か……」
伸びをしながら部屋を出ると、廊下の奥から誰かの声が聞こえた。
耳を澄ますと、それはみのの声だった。
「クッキー美味しー!」
どうやら、自分の部屋でおやつタイムらしい。
甘い香りがふわりと漂ってきて、しゅいのお腹がぐぅと鳴った。
「……なんかないかな」
リビングに向かい、冷蔵庫を開けてみる。
けれど、手軽に食べられそうなものは見当たらない。
仕方なく扉を閉め、ソファに腰を下ろした。
静かな部屋。
時計の針の音だけが、やけに大きく聞こえる。
(……誰か来ないかな)
そんな気持ちで、しゅいはスマホを取り出し、グループチャットを開いた。
「暇な人ー、リビング集合!」
すぐに、あおばから「了解」のスタンプ。
続いて、みおとからも「いくー!」の返信が届いた。
やがて、足音が近づいてくる。
一番乗りは、みおとだった。
「よっ!」
「おはよ……」
しゅいはまだ寝起きで、声に力が入らない。
頭の中がふわふわしていて、現実感が薄い。
「? なんか元気ない?」
「いや……さっきまで寝てたから……ボーっとするだけ……」
「そっか。よかったー」
みおとは安心したように笑った。
その直後、あおばがゲーム機を抱えて登場する。
「ゲーム持ってきたから、しよーぜ」
「OK」
「うん……」
あおばが持ってきたのは、4人で遊べる冒険ゲーム。
モンスターを倒したり、仲間にしたり、自由度の高い世界で遊べるやつだ。
キャラメイクが始まり、しゅいは適当に“おまかせ”を選んだ。
みおととあおばは、髪型や服装を真剣に選んでいる。
---
気づけば、3時間が経っていた。
窓の外はすっかり夜。
部屋の中も、ゲームの熱気でほんのりあたたかい。
「ちょ、あおば。ちょっとゲームやりすぎたかも……」
「あ、本当だ。もう夜ご飯の時間じゃん」
あおばがセーブをしてゲームを終了すると、みおとが立ち上がって叫んだ。
「夜ご飯ー!!」
「ちょ、うるさいって……!」
耳がキンと鳴る。
けれど、その声に反応して、部屋のドアが次々と開く音がした。
最初にリビングへ入ってきたのは、みのとせなだった。
「もうこんな時間か……」
せなが、少し疲れた声でつぶやく。
「時間過ぎるの早すぎます!」
みのが元気に返す。
せなは、手に持っていたノートPCをテーブルに置いた。
「せな、動画編集してくれてたの?」
しゅいが尋ねると、せなはこくりと頷いた。
「マジで疲れた……」
「頑張りましたね」
みのが、優しくせなの頭を撫でた。
その仕草は自然で、あたたかくて――
その瞬間だった。
「俺も撫でたい……」
ぽろりと、しゅいの口から言葉がこぼれた。
自分でも、言ったことに気づいていなかった。
けれど、空気が一瞬で止まった。
みんなの視線が、一斉にしゅいへ向く。
「……え?」
せなが、顔を赤くしながら固まっている。
みのは目をぱちくりさせて、口元を押さえて笑いをこらえていた。
あおばとみおとは、ニヤニヤしながらしゅいを見ている。
「? な、なに……?」
しゅいが戸惑っていると、あおばがそっと耳元で囁いた。
「お前、今……“俺も撫でたい”って言ってたぞ」
「…………え?」
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