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偶然じゃない、隣の距離

無理

偶然じゃない、隣の距離

またまた、あれから日が経って――今日は日曜日。

 いつもなら、撮影スケジュールがぎっしり詰まっている日だけど、

 今日は珍しく、急遽“完全オフ”をもらえた。


 朝のリビングには、どこかゆるんだ空気が流れていた。

 窓から差し込む光も、いつもより柔らかく感じる。


「やったね! みの! 休みだよー!」


「やったー!」


 せなとみのは、手を取り合ってぴょんぴょん跳ねる。

 他のメンバーも、ソファでハイタッチしたり、思い思いに喜びを爆発させていた。


 そんな中、みのがふいにせなの耳元に顔を寄せて、こっそり囁く。


「……しゅいさんとは、どうですか?」


「へ!? い、いや……全然縮まってないよ! 話しただけ、みたいな感じで……!」


 せなは慌てて手を振る。

 顔がじわじわと熱くなるのを感じながら、逆に問い返す。


「みのこそ、どうなの!?」


 すると、みのも少しだけ頬を染めて、目をそらした。


「私も……まだまだです……」


「だよね……」


 二人は、同時にため息をついた。

 好きな人と、もっと話したい。近づきたい。

 でも、どうすればいいのか分からない。

 そんなもどかしさが、胸の奥にじんわりと広がっていく。


 そのとき――


「よっ!」


 突然、肩をポンと叩かれた。


「え!? 誰!?!?」


「だ、誰ですか!?」


 驚いて振り向くと、そこに立っていたのは――

 しゅいと、あおばだった。


「どう? 驚いた?」


 あおばがニヤニヤしながら言う。


「お、驚いてないです!」


「お、驚いてない! ってか、何用!」


 せなが慌てて言い返すと、しゅいが少し照れたように口を開いた。


「い、いや……その……せっかくの休みだし……ご飯、一緒に食べない?」


「いいですね!」


「いいよー!」


 せなとみのが声を揃えると、しゅいとあおばはほっとしたように笑った。


「ねぇねぇ、せっかくだし、外で食べたくない?」


 せなが提案すると、みのがぱっと顔を輝かせる。


「いいですね! 賛成です!」


 けれど、男ふたりは同時に顔をしかめた。


「外行くのか……絶対寒いじゃん……」


「デリバリーじゃダメなの?」


 どうやら、ふたりとも寒さが苦手らしい。


「デリバリーじゃ、ダーメ! 早く行こ!」


 せなが笑顔で手を引くと、しぶしぶ立ち上がるしゅいとあおば。

 みのはスキップしながら玄関へ向かっていた。


---


 そして今――

 ふたりずつ並んで歩きながら、近くのレストランにやって来た。


 木の温もりを感じる落ち着いた店内。

 窓際の席からは、冬の陽射しが差し込んでいる。


「ここ、全部のメニュー美味しそうですね!」


 みのが目を輝かせながらメニューを見ていると、店員がやって来た。


「いらっしゃいませ。4名様でよろしいでしょうか?」


「はい!」


「では、お席の方、ご案内します」


 案内されたのは、窓際のテーブル席。

 せなは自然と、みのの隣に座ろうとした――そのとき。


「と、隣……す、座っても……いい……?」


 声をかけてきたのは、しゅいだった。

 少しうつむき加減で、頬がほんのり赤い。


「え、え? し、しゅい? あ、あおばと座らないの?」


 せなが戸惑いながら聞くと、しゅいは向かいの席を指差した。

 そこには、すでにみのとあおばが並んで座っていた。


 みのが、こっちを見て、手を合わせて「ごめん」のポーズをしている。

 どうやら、みのも“好きな人の隣”を狙っていたらしい。


「マジでごめん……」


 しゅいが、照れたように笑いながら言った。


「べ、別に私、誰でもよかったから! す、座りなよ!」


 せなはそう言いながら、心臓の音がうるさいのを必死に隠していた。

 隣に座ったしゅいの気配が、すぐそこにある。

 それだけで、顔が熱くなる。

 

次回は、これの続き描きます。

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