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しゅいの心が折れる音がした

しゅいの心が折れる音が聞こえた

しゅいの呟きが空気に溶けた瞬間。


なぎとは、

まだせなの頬に手を添えたまま、

額が触れそうな距離で固まっていた。


息は荒く、

顔は真っ赤で、

目は揺れている。


せなは動けない。


(なぎと……

 なんでそんな……

 泣きそうな顔……)


なぎとは、

喉の奥で何かを押し殺すように

ぎゅっと唇を噛んだ。


そして――


「……せな」


その声は、

さっきよりずっと弱くて、

でも真っ直ぐだった。


「……お前が……

 誰の名前言いかけたとか……

 ほんとは……どうでもいい……」


(どうでもよくない顔してる……!)


なぎとは、

視線をそらすこともできず、

せなだけを見ていた。


「……でも……

 しゅいに……

 あんな顔されて……

 抱きしめられて……」


言葉が震える。


「……見てられなかった……」


その一言で、

せなの胸がぎゅっと痛くなる。


(なぎと……)


なぎとは、

ほんの一瞬だけ目を閉じた。


そして、

覚悟を決めたように息を吸い――


「……俺……」


喉が震える。


「……お前のこと……」


言いかけて、

言葉が止まる。


しゅいが息を呑む音が聞こえた。


みおとが「来るぞ……!」と小声で叫ぶ。


たゆとが手を握りしめる。


あおばはニヤニヤしながら見ている。


らおは心配そうに見守っている。


なぎとは、

せなの頬に添えた手を

ぎゅっと強くした。


「……好きとか……

 そんな……

 簡単に言えるほど……

 軽くねぇけど……」


(え……)


「……でも……

 お前が……

 誰かに取られんの……

 無理だ……」


その言葉は、

告白のようで、

でも告白じゃない。


だけど――

気持ちは全部伝わる。


せなは息を呑む。


(なぎと……

 そんな……

 そんな言い方……)


なぎとは、

せなの頬に触れたまま、

ほんの少しだけ顔を近づけた。


「……せな」


名前を呼ぶ声が震えている。


「……俺……

 お前のこと……

 ずっと……」


また言葉が止まる。


でも、

その沈黙が、

言葉より重かった。


---


「うわあああああああああああ!!!」

みおと


「なぎと……!

 それ……ほぼ告白……!」

たゆと


「いや、ほぼじゃなくて……

 もう告白だよね……?」

らお


「やっば……

 これ……やっば……」

あおば(ニヤニヤMAX)


---


しゅいは拳を握りしめたまま、

その場に立ち尽くしていた。


「……なんで……」


声が震えている。


「なんで……

 俺じゃなくて……

 なぎとなんだよ……」


その呟きは、

痛いほど静かだった。


せなは胸が締めつけられる。


しゅいの目は、

怒りでも嫉妬でもなく――

ただ、

悲しかった。


「……俺……

 せなのこと……」


しゅいは言いかけて、

唇を噛んだ。


「……っ……」


声が出ない。


その姿が、

せなの胸をさらに痛くする。


---


なぎとは、

しゅいの苦しそうな顔を見ても、

視線をそらさなかった。


でも、

せなを見る目は優しかった。


「……せな」


名前を呼ぶ声は、

さっきよりずっと静かで、

でも強かった。


「……俺……

 お前のこと……

 大事にしたい……」


その言葉は、

告白のようで、

でもまだ足りない。


だけど――

せなの心には、

十分すぎるほど響いた。


(なぎと……

 そんな……

 そんな言い方……)


なぎとは、

せなの手をそっと握った。


「……運命とか……

 そういうの……

 信じてねぇけど……」


一瞬だけ、

照れたように目をそらす。


「……お前のことは……

 信じたい……」


その言葉は、

まっすぐで、

嘘がひとつもなかった。

 

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