表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/19

クッションの向こう、照れてるふたり

無理

クッションの向こう、照れてる二人

せなは真っ直ぐに自分の部屋へと向かった。

 ドアを閉めると、カーテン越しに差し込む昼の光が、部屋をやわらかく照らしていた。

 その光の中で、彼女はそっと写真を取り出す。


「……しゅい、可愛……」


 ぽつりと漏れた声に、自分で驚く。

 胸の奥が、じんわりと熱くなる。


 私が可愛いからって……本当なのかな……?

 しゅい、嘘って言ってたけど……嘘でも、嬉しい。


「しゅい……マジで赤面可愛い……。こんなとこ、めちゃ好き……//」


 一人きりのはずなのに、頬が熱くなっていく。

 写真には、片目を手で押さえたしゅいが写っていた。

 顔は真っ赤で、視線はどこか泳いでいる。


 正面には自分。左隣にはみの。さらにその隣には、あおば。

 よく見ると――あおばも、ほんのり赤い。


「……あおばもみのに、照れてたんだ……ふふっ」


 思わず笑みがこぼれる。

 でも、やっぱり気になるのは、しゅいの赤面の理由だった。


「一体なんで顔真っ赤にしてたんだろ……」


 枕に顔をうずめて、もぞもぞと悶える。

 写真を見たときは“熱かな”と思ったけど、あのときは確か、みんなでパーティしてた日。

 しゅいは元気だったし、ジュースしか飲んでなかった。

 じゃあ、熱じゃない。酔ってもない。


「もーう! 手がかり一つもわかんない……!」


 せなは机を軽く叩いた。

 そのとき、廊下の向こうから声が聞こえてきた。


「お前……〜〜」


「無意識〜〜」


 しゅいとなぎとの声だ。

 気になって、そっとドアに耳を当てる。


「付き合えば……〜〜」


「俺、カッコ〜〜」


 肝心なところが聞こえない。

 もどかしさに、ため息が漏れた。


「ハァ……」


 でも、聞いてるだけじゃ何も分からない。

 せなは意を決して、ドアノブに手をかけた。


「よし……!」


 ドアを開けて廊下に出る。

 けれど、もう、そこにしゅいの姿はなかった。


「……。この写真……しゅいに返した方が……いいよね……?」


 写真を胸に抱え、せなはしゅいの部屋の前へ。

 緊張で手が汗ばむ。


「……し、しゅい、いる?」


 ノックしても、返事はない。


「部屋にいないのかな……?」


 困っていると、廊下の向こうから足音が近づいてきた。


「あ、しゅ……」


 声をかけかけて、思わず物陰に隠れてしまう。

 自分でも、なぜそうしたのか分からなかった。


「え……私、何してんの……?」


 戸惑っていると、しゅいの独り言が聞こえてきた。


「なぎと……あいつ……! マジでさ……//」


 しゅいの声が、どこかくぐもっている。

 顔を手で覆いながら、ぶつぶつと文句を言っている。

 でも――その頬は、真っ赤だった。


 ……しゅい、照れてる。

 可愛い……。


 ――じゃなくて! 写真、返さなきゃ!


「し、しゅい〜」


「……!? せ、せな……」


 しゅいは驚いたように振り返り、すぐにそっぽを向いた。


「ど、どしたの?」


「あの……写真……返そうと思って……」


「……。そ、その写真……消しといて……//」


「……で、でも。消すの、勿体ない……し……。いや、勿体無いんでじゃ……」


 しゅいは無言で、せなの手から携帯を奪い取った。

 その手が、ほんの少し震えていた。


「つ、次は! 俺が“見ないで”って言ったら……絶対見ないで……//」


「……うん! 多分!」


「た、多分!?!?」


「うん!」


 せながにこっと笑うと、しゅいも思わず笑ってしまった。

 その笑顔につられて、せなも笑う。


 そして――今。

 ふたりは、せなの部屋で並んで座り、写真を見ながら話している。

 

 「……そういえば結局、しゅい。なんで顔赤かったの?」


 その問いに、しゅいは一瞬固まった。

 そして、視線をそらしながら、ぽつりと答える。


「え……。ひ、秘密だよ……//」


「ふーん……」


 せなは、写真を見つめたまま、少しだけ口元をゆるめる。

 でも、その頬はじわじわと赤くなっていた。


「……もしかして……ほんとに私のこと……だったり……して……?」


 その言葉に、しゅいの肩がびくっと跳ねた。


「なっ……! ち、ちがっ……いや、ちがわないけど……いや、ちがうっていうか……!」


「どっちなの……?」


「……っ、わかんない……!」


 しゅいは、クッションを抱えて顔を隠した。

 耳まで真っ赤。首の後ろまで熱い。


 せなは、そんなしゅいを見て、そっと笑った。


「……ちょっと可愛いって思っただけで……!

 で、でも! た、ただ服似合ってるなって思っただけで……!

 べ、別に……その……//// 深い意味は……ないから……!」


「ありがと」


「……べ、別に褒めてないし!」


「えー? 絶対褒めてたよね?」


「う、うるせぇ……!」


 しゅいは両手で顔を隠した。

 その仕草があまりにも可愛くて、せなは思わず言った。


「しゅい、可愛い……」


「は、は!? か、可愛くなんて……ないし……!」


「いや……照れてるの、めっちゃ可愛い……笑」


「……/////」


 しゅいは、クッションに顔を埋めたまま、ぶつぶつと何かを呟いた。

 でも、せなには聞こえなかった。


「ん? なんか言った?」


「な、なんでもないっ!」


 しゅいは、さらに顔を隠して、ソファの背にもたれた。

 その耳まで、真っ赤に染まっている。


 せなは、そんなしゅいを横目で見ながら、

 自分の頬に手を当てた。


 ……熱い。

 しゅいのせいで、顔がずっと熱い。


「……しゅいのくせに……ずるい……」


「え?」


「なんでもない!」


 ふたりは、顔を隠したまま、しばらく黙った。

 でも、沈黙は不思議と心地よくて、

 その間に、ふたりの距離はほんの少しだけ近づいていた。


 まだ、気持ちは言葉にできない。

 でも、確かに――恋は、進んでいる。

おはようございます。

今回は、しゅいとせなの所描いてみました。

次回、まだ何にするか決めてないんですけど、だいたいレストラン行ってなんか起こって...みたいな感じかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ