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吹き抜けの下、恋がバレる

ごめん、無理かも!

吹き抜けの下、恋がバレる

「ふふふーん」


 軽やかな鼻歌を響かせながら、せながリビングに入ってきた。

 窓から差し込む朝の光が、彼女の髪をふわりと照らしている。


「今日は気分いいし……リビングでなんかしよーっと」


 その無邪気な声が、吹き抜けの上にいるふたりの背筋を凍らせた。


「ちょ……! せなにあの写真見られたら終わりなんだけど!」


 しゅいが青ざめる。

 心臓がバクバクと暴れ、手のひらがじっとりと汗ばむ。


「え……お、俺、取ってくる!」


 なぎとは慌てて階段を駆け下りた。

 木の階段がギシリと鳴る音が、やけに大きく響く。


 その間にも、せなはリビングのテーブルに目を留めた。


「ん? 何この写真?」


「せな! マジで見ないで!」


 しゅいが吹き抜けの上から叫ぶ。

 声が裏返っていた。


「……?」


 せなは首をかしげる。

 テーブルの上に落ちていたスマホを拾い、裏返す。


「でも……そんなこと言われたら……見たくなっちゃうよね?」


 いたずらっぽく笑いながら、せながスマホの画面をタップする。


「! マジでやめて!」


 しゅいの叫びも虚しく、画面が点灯する。


 その瞬間、なぎとがリビングに飛び込んできた。

 だが、もう遅かった。


「これって……」


 せなが画面を見つめたまま、ぽつりと呟く。


「だ、だから見るなって言ったのに……///」


 しゅいの声が震える。

 顔が熱い。耳まで真っ赤になっているのが、自分でも分かる。


「……しゅい、熱あったの?」


「え?」


 思わず、間の抜けた声が漏れた。


「だって……しゅい、顔真っ赤じゃん。

 このとき、すごい熱があったんじゃない?

 私、正面にいたのに……なんで気づいてあげられなかったんだろ……ごめんね……」


「あ、えっと……うん……?」


 せなは、どうやら本気で心配しているらしい。

 天然すぎる。いや、優しすぎる。

 でも、バレてなくてよかった……。


「……あっ!」


 なぎとが、何かを思いついたように声を上げた。

 そのまま、せなに近づいていく。


「な、なにする気だ……?」


 しゅいは吹き抜けの上から固唾をのんで見守る。


 なぎとは、せなの耳元に顔を寄せ、何かを囁いた。

 せなが一瞬、きょとんとした顔をして――

 次の瞬間、ぱあっと顔を真っ赤に染めた。


「……? なぎと、お前、何話したの?」


 しゅいが問い詰めると、なぎとはニヤリと笑って言った。


「しゅいが顔真っ赤の理由、教えてあげたんだよ」


「は……?」


 頭が真っ白になる。

 さっきの反省はどこ行った!?

 まさか、本当に言ったのか……?


「ちょ、せな、ち、違う!」


 しゅいが慌てて否定するが、せなは顔を真っ赤にしたまま、しゅいを見つめていた。


「さっき……なぎとの言ってたことって、本当?//」


「い、いや……その……な、なんて言われたの……?」


「私が……その……可愛くて……顔真っ赤にしてたって……」


「う、嘘だと思うなー(棒)」


「そ、そうだよね……。しゅいが私のこと可愛いなんて思うはずないよね! ごめんね!」


 せなは、顔を伏せたまま、写真をぎゅっと胸に抱えて、

 そのまま小走りでリビングを出ていった。


 しゅいは、呆然と立ち尽くす。


「……なぎと! お前マジで……!」


「つい……無意識で」


「お前……バレたらどうすんだよ……//」


「付き合えばいい!」


 その一言に、しゅいの思考が一瞬止まった。


「無理だよ……。だって……俺、カッコよくないし……」


「大丈夫だって。しゅいは……可愛いから!」


「そんなこと言われて自信つくかー!」


 叫びながらも、心の奥が少しだけ温かくなる。

 なぎとの言葉が、ほんの少しだけ、背中を押してくれた気がした。


 まだ、告白はできない。

 でも――いつか、自信がついたら。

 そのときは、ちゃんと伝えよう。


「で、でも! そんなこと言ったって、写真の件は許さないからな!」


「ヒィー、しゅいが怒ったー!」


 その後、なぎとはみのに“ご飯抜き”の刑を言い渡された。

 (しゅいが「こいつ、やばいことした」と密告した結果である。

 でも、さすがに可哀想だから、ウインナーだけはもらっていたらしい。)

 

おはよう。

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