Episode.18 終息
自衛隊によるゾンビの掃討が始まってから、昼は近所でも銃声が聞こえるようになった。
そのため、5人は夜以外は2階で過ごすことになった。流れ弾を警戒してのことだ。
さらに数日後、銃声は止んだ。
ラジオによりゾンビの掃討が終わったことの報告があり、避難所の順次救助が始まった。
それをラジオで聞いた5人は、互いに抱き合い、静かな涙と共に喜びあった。
翌日、5人は自衛隊に保護された。
しばらく基地で過ごした後、社会は再び動き出した。
ゾンビの正体は、新種の菌だった。
その菌は人の体内に侵入すると、潜伏する。
そして宿主が死ぬと急激に増殖し、宿主を操り他の人間に噛み付かせることを媒介に宿主を増やしていくそうだ。
噛みつかれた人間も、死ぬまでゾンビになることはないので、監視がついての行動が許され、死亡時の処理は政府で行われた。
やがて春が訪れた。
ゾンビが現れる前とは比べ物にならないが、少しづつ止まっていた地球が動き出したような感じがした。
避難所から家に帰される日、葵は蒼を呼び止めた。
「蒼さん!」
蒼が立ち止まる。
「その……ありがとうございました。助けていただいて」
「うん。こちらこそおいしい料理、たくさん作ってくれてありがとう。葵のおかげでご飯が楽しみだったよ」
葵は胸の前で手を合わせて俯いている。
「私、蒼さんと同じ高校目指そうと思うんです」
「もし……合格できたら、一つお願いをしてもいいですか?」
蒼はいきなりのことに動揺したが、何かを察して真剣な、しかし柔らかい顔になる。
「分かった。頑張ってね!」
その後葵は家に走っていき、蒼もまた家路についた。
葵の走る道には数ヶ月前からあるのだろう事故車がまだあった。
そして道には桜が咲いていて、葵の先をヒラヒラと舞っていた。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
強引な終わらせ方になってしまったことに悔いはありますが、書きたいものが書けたと思います。
これからも精進して、面白いものが書けるよう頑張っていきますので、次回作もよろしくお願いします!




