Episode.15 就寝
「ねぇ、猿谷さん。私、戌岡桃っていうの。さっきの聞いてたんだけど、私も葵って呼んでもいい?」
「あ!私も私も。卯月雪って言います。葵ちゃんって呼んでもいいかな?」
「もちろん!呼んでくれてありがとう、戌岡さん、卯月さん」
「うん。あと私は桃で大丈夫だよ。兄貴も戌岡だしね」
「私も〜。雪って呼んで?」
ドライヤーが終わった女子達が、キャイキャイと話し始めた。
蒼は台所で自分と紅一が食べる分のおにぎりを握っていた。
「あっ、アオ兄またおにぎり握ってくれてる。手伝うよ」
「あっ桃ちゃん。ありがとう。じゃあ紅一の分があと一個欲しいからお願い」
「は~い」
桃はラップを手に、おにぎりを握り始める。
「そういえばさっきのおにぎり、兄貴とアオ兄のどっちが作ったかわかりやすかったねー」
桃がおにぎりを握りながら言う。
確かにさっき女子達に出したおにぎりは、丸くて大きいものと、三角で小さいものに別れていた。
やっぱ兄貴は大雑把だな〜 そんなことを呟きながら、桃は丸くて大きいおにぎりを握り終えた。
それは紅一の作ったものとそっくりだった。
「お腹を空かせてるだろうし、早く食いたかろう」と、炊飯器から出した米を、ろくに冷ましもせずに、ほぼ火傷しながら作っていたものと。
「いや~、超スッキリした!」
その時、紅一が風呂から帰ってきた。
「おっ、兄貴。おにぎり美味しかったよ。ありがと」
「美味しかったよ。ありがとう!」
「すごく美味しかったです。ありがとうございます」
紅一は、お粗末様〜 とか言いながら髪を拭いていた。
蒼はそんな様子を見て微笑むと、風呂へ向かった。
風呂から上がると、リビングには紅一だけがいた。ソファーにぐで〜っと倒れ込んでいた。時刻は11時を回っている。
「おっ、上がったか」
紅一が座ったまま首だけをのけぞらせて話しかけてくる。
「おう。雪達は寝たの?」
「そうそう。さすがに疲れたみてぇだな。俺らもそろそろ寝るか?部屋に来客用布団運んどいたけど」
その時、2階から弾けるような笑い声が聞こえ、ドスンッドスンッと音がした。
「……あいつら寝てねぇな。取り敢えず部屋に行くか。泊まるのは久しぶりだな」
2人は階段を登る。
「マリカーでもやるか?」
「やるかよっ!疲れてねぇの!?」
「アオイは体力ねぇからな〜」
その後、結局布団の中でマリカーを始めた二人だったが、決着がつく前に両方とも寝落ちしてしまった。




