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1 最悪の誕生日パーティー

 それは、私の5歳を記念する誕生日パーティーで起こった。

 大人達の策略で、歳の近い伯爵位以上の令嬢が大勢招待されており、同席予定の男児は弟のルイス4歳とカリス公爵令息のディラン・カリス7歳だけだった。


 これは、どう見ても私の誕生日パーティーを利用したお見合いだ。会場を見渡した私は溜息をつき、用意された上座に座った。

 令嬢達がお祝いの挨拶に並び、それが終わるとルイスやカリス卿の周りに集合しだした。

 最初は楽しそうにしていた弟も、令嬢達の積極的すぎるアピールに戸惑い、ついには泣きだしてしまった。


「もういやぁ! お部屋に帰るー!」

 本気の拒否っぷりに侍従達も慌ててルイスに駆け寄る。そうして見事に退場となった。


 後に残されたカリス卿は笑顔を保ってはいたけれど、苦戦しているのは明らかだった。

 私は料理長の焼いたサクサクのクッキーを食べながら眺める。


 可愛いドレスやリボンで着飾った令嬢達は、親から“王太子殿下やカリス公爵令息とお近づきになって来い”と指示されている筈。

 いわば、誕生日パーティーと言う名の戦場に集まった戦士達だ。

 そんな、生き残るのに必死な肉食令嬢の中にほんわかした草食令息を放すなんて残酷ね。まあ、でもこれが現実なのよ。

 私も立場上親が決めた相手と結婚するものだと自覚はしている。だけど、一度でいいから物語で見るような恋をしてみたい。



 小一時間耐え切ったカリス卿は、なけなしの笑顔で私に退出の挨拶をした後、付き添いの者と会場を去って行った。子供なのに、あんなに疲れ切った後ろ姿ってある?


 彼の妹のリーディアはなぜか出席してなかったけれど、おそらくその子もほんわかした感じなのだろう。

 悪い事は言わないから、もう妹と婚約してしまった方がこの戦いに巻き込まれず平穏に過ごせると思うわ。



 私は保険を付けておくため、後日、王宮を訪れていたワンズ公爵子息に話しかけた。


「ねえ、あなたも側室を娶る予定なんでしょ?」

 王家と三大公爵家の中で、炎のワンズ公爵家の嫡男だけは一夫多妻を導入していた。

「多分、そうだけど‥‥なに?」

 ガーネットのような赤い瞳が私を映す。


「もし、私の意に沿わない婚約話が出たら、それが決まる前にあなたの妻にしてくれないかしら?‥‥側室扱いで構わないわ」

「それを言うんだったら、もう俺と婚約してしまえばいいんじゃない?」

「それは嫌よ。私も自分の血は残したいけれど、できれば私だけを愛してくれる人と結婚したいもの」

「‥‥あっそ。いいよ、じゃあ側室は開けとくから」

「ありがとう、アレン」


 これで大丈夫ね。アレンは幼馴染としては好きだもの。性格の良さは知っている。


お疲れさまです、成海さえです。

新連載始めました。今回はカミラ殿下に頑張ってもらおうと思っています。どうぞよろしくお願いします。


一話ずつ、夕方6時台の更新を予定しております。

読者様が楽しい時間を過ごせますように!

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