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テーマ詩集:スイーツビュッフェ

おとなのプリンの食べかた

作者: 歌川 詩季

 名前書いてあったら、食べちゃだめ。

 冷蔵庫にはいってた だれかのプリンを食べちゃった

 だれのかわかんないし

 あたしに食べられたことも 気づいてないかもしんない

 気づいてたとしても

 食べたのがあたしだとまでは 知らないかもだし

 もしかして ぜんぶわかったうえで

 気にしてないかもしれないよね


 だけど あたしは

 冷蔵庫にはいってた だれかのプリンを食べちゃった

 じぶんのじゃない ほかのだれかのプリンをだよ?

 どうあれ その事実は変わらない


 だれかのプリンをこっそり食べちゃうなんて

 うしろめたくて ちゃんと味わえないひとや

 だれかのプリンだからこそ たまんなく美味しいって

 いぢわるに笑うひともいて

 だれかのプリンを食べちゃうくらいなら

 ヨーグルトを食べるってひとにしてみれば

 そもそも じぶんのじゃないプリンを食べちゃう時点で

 どうかしてるよねって そうおもうかもしれない


 でも みんなが いつも お行儀よく

 だれかのプリンを食べちゃうことなく

 じぶんのプリンだけ食べて

 生きていけるなんて あたしには信じられない


 わざと食べちゃうこともあれば

 がまんしきれずに食べちゃうこと

 わざとじゃなくてうっかり食べちゃうことや

 じぶんのプリンだとかんちがいして食べちゃうこと


 事情だって そのとき そのとき

 ひと それぞれのばずだよね


 冷蔵庫にはいってた

 だれかのプリンを食べちゃうなんて

 それじたいは よくないことだけど

 いれっぱなしなのを 本人もわすれてて

 プリンをそのままにしちゃうくらいなら

 だれか ほかのひとが食べちゃったほうがいいって

 そう言われたら

 あたしは そうだよねって 説き伏せられることだろう



 だから だいじなのは

 冷蔵庫にはいってた

 だれかのプリンを食べちゃうことなんて

 きっと だれでもやっちゃうことだし

 冷蔵庫にいれといた

 じぶんのプリンを だれかに食べられちゃうことなんて

 きっと よくあることで


 だれでもやっちゃうことだし

 よくあることだけど

 それをいいわけにして 平気で

 だれかのプリンを食べちゃうような

 そんな おとなにならないことと


 だれでもやっちゃうことだし

 よくあることだから

 それをなぐさめにして 笑いながら

 だれかにプリンを食べられてもゆるしてあげる

 そんな おとなになれること



 これが おとなのプリンの食べかた


 あと カラメルのにがいぶぶんも おいしくいただく


 それが おとなのプリンの食べかた

 凍らせとけば、保存がききます。

 そして、美味しい!

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、名前を書いておけ、という話になったりもするんでしょうけれど。よつばと、では風香の母が、風香がつけていた付箋をぴっと剥がして、よつばに与えていた。名前を書くなら消えないように、良く見える…
[一言] プリンをバケツサイズで食べてみたいですね〜。
[良い点]  広い心。  許容すること、大切ですよね。  やられてやり返すのではなく。  経験として積んでおくのですね。 [一言]  名前を書く習慣はないです…。  基本買った覚えのないものは勝手に…
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