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エルリーグロード  作者: たびびとかいと
10/13

1-10

宿で目が覚めると昼前の9時だった

遅い目覚めでぼんやりとした頭をすっきりとするために風呂を浴びる


風呂を出て着替えを済ますとお腹が空いてきたので宿屋の食堂で朝食を取ることにした


「あらお客さん 今日の朝セットはパンでご用意していますがいかがですか?」


活発な良い声で女性店員が聞いてきた


「それなら追加で何か一皿と飲み物が欲しいな」

「料理はシチューか肉料理で 飲み物はお茶かコーヒーが選べますよ」

「それじゃ肉料理とコーヒーを追加でお願いします」

「はいよ」


女性店員は注文を受けるとカウンターの端にある厨房に入り奥に向かって声をあげる


食事を待つ間にぼんやりと昨日のことを考える


ギルド会館で昨日した話し合いだけでは決め手に欠けるので何かを決める事は出来なかった

事件は進行しているはずなのでお互いに連絡がすぐ付くようにしてマーセラとロレーヌが調査を続行し他のメンバーは待機する事だけを決めた

その為に遠出をする事になるインスタンス・ダンジョンに行くわけにはいかないので食事をしたらゆっくり出来る場所でインスタンス・ダンジョン用の装備やスキルの調整でもする事にした



  ------



インスタンス・ダンジョン用の(ブック:本型魔道具)は外見は特別な物に見えないしインスタンス・ダンジョン内でないと魔道具としては動作しないので装備や召喚は出てくる事はない

だが本を開きしばらくするとホログラムが出て操作は出来るので装備の変更や今までの履歴などの確認をする事ならいつでもできる

操作中もよくある市販品のホログラム付きハードカバーブックにしか見えないので外で出してもそれだけで怪しまれる事がないのは助かる


お茶かコーヒーでも飲みながらオープンカフェで日向ぼっこでもしたいなと宿屋の女性店員に良い場所がないか紹介をしてもらうと近くの大きな公園に紅茶とお菓子がおいしいオープンカフェがあると教えてもらった

そこに向かう事を伝えてダンジョンギルド関係者が訪ねてきたらそこにいる事を伝えて欲しいとお願いすると腕輪の財布から1枚の金貨を出して机に置き女性店員にお願いする


この金貨は黄銅と地金の合金が使われた金色っぽいが金ではない500エリン硬貨だ

エリンとはこの街の所属する(エルデリン王国:エルに仕えし王国)の通貨で 1 5 10 25 50 100 と硬貨の種類があるが1,000エリンからは紙幣となって 2,000 5,000 10,000 25,000 100,000 と用意されている


ちなみに500エリンだとコーヒーを一杯とお菓子が一品ぐらい買う事が出来るくらいの価値でちょうど見た目も良く手ごろな価値の硬貨なのでチップなどによく使われる硬貨でもある


宿から出るとあちらこちらから喧騒が聞こえる

せっかくなので散歩がてらに徒歩で紹介してもらった街の中央より少し南側にある宿から10分ぐらいの距離の(サンドリア中央公園)に向かう

この街はエルデリン王国サンドリア炭鉱都市と呼ばれており人口約30万人ぐらいの中堅都市で街を外界のモンスターから守るダンジョンコアの防壁範囲は球状に直径が20kmぐらいある

地形は北と南に一本ずつ川があるので少し楕円形に外壁が築かれ南北に10kmぐらい東西に15kmぐらいの範囲を外壁が囲って街を守っている

外壁の外も防壁はあり肥沃な土壌と水源が豊富な為に農産業も盛んな街だ


サンドリア街並みは中央に行くほど高層な建物が多いが高くても5階建てぐらいまででギルド会館は4階建ての建物に30mぐらいの高さの物見やぐらが建っている

大きな建物は2つあり1つは北西側にあるエルデリン正教のエル教会でもう1つは北東側にあるダンジョンコアの所有者であるこの都市の領主(サンドリア家)の住むサンドリア城だ

教会も城も8~10階に相当する高さで街から建物の姿が良く見えるが非常に精巧で荘厳な構えをしているので見栄えが良い


サンドリア家は少し前に長く治めた領主が逝去され家督法により正妻の長子が代替わりしたはずだが正妻と側室の子らの間でいろいろと生臭い話がありその行く末は街で話題のゴシップの1つだった


ダンジョンや繁華街へ続く大通りは飛行している人が多いので少し表通りを外しながら歩いていると飛行魔道具で飛んでいるジムとアリーと目が合って軽いハンドサインを送りあう

ギルド会館方面へ向かって行ったので査定の結果でも通知されるのかもしれない



  ------



中央公園のオープンカフェの一席に陣取って紅茶とお菓子を堪能しつつブックを眺めてスキル構成などを弄っていると公園の時計から昼の12時の鐘が鳴る


今は一番右ページにある(ワード:力の言葉)と召喚の操作ページを開き前回のインスタンス用に取得したワードを整理して前回は外して後悔した(テレキネシス:念動)や(テレポート:縮地)のワードをいったん戻してどうするか唸っているところだった

ホログラムのレベル表示は74を示している

もう少しワードを増やしてもいいかなと思いながらよく使う威力の高いワードをいくつか有効化しレベル表示が34になったところで満足した


次は装備品ページをめくり腕輪から持ち物のカードを取り出して確認を始める

前回は(アンデット:闇(不死))の属性系統と戦ったので装備の属性系統が偏って居たのを平たく何でも対応できる汎用の属性系統ギアに変える

そして余ったカードストックを整理しながら確認していると前回手に入れて増えたブック硬貨が銀貨15枚で金貨10枚になっているのに気付いた


インスタンス内で得た硬貨はブック硬貨と呼んでいて金貨と銀貨の種類がある

この硬貨はインスタンス内でしか利用出来ないけれども召喚のクールダウン解除や蘇生などの一時的な効果からブック機能の開放や特別なワード開放などの恒久的な効果までラインナップがいろいろある


その中に(ガチャ:特殊召喚)と言うものがありブックのホログラムからガチャと選択すると金貨を消費して装備カードや召喚メダルがブックの中から飛び出してくるのでそれを手に入れることが出来るという謎の機能だ

ブックのどこで物質化してるかもさっぱりわからないが出たカードやメダルは汚破損はするし現実世界でも消える事はない

盗まれたりしてなくしたり破損がひどくなると銀貨がいるが再発行する機能もあったりする


ちなみに排出確率は記載も表示もされていないため「遊戯の神」のみぞ知る


ガチャは連続使用できて10回同時に使用すると2回分多く排出が追加となる

しかも必ず1枚以上はAランク以上の装備カードが出てくるのでまとめて引くとお得な仕様だ

さらに射幸心を煽る機能で銀貨を追加して10回ガチャを使用した時に高ランク出現確率をブーストできる仕様があり今回は銀貨2枚で5倍になる効果を使い「遊戯の神」に「神引き」を祈ってガチャを引いた


本の方から独特なドラムロール音が聞こえてくる「タダーダラララララララララララッジャン」

ブック全体が薄く黄色く光かって効果音が止まるとぱらぱらと12枚のカード出てきた

10連を20回引くと1回ぐらいは出てくる召喚メダルは無かった


精錬カード Cランク 4枚

精錬カード Bランク 4枚

精錬カード Aランク 1枚

風(衝撃)の装備カード Aランク

雷(電撃)の装備カード A+ランク

水(冷気)の装備カード A+ランク


「A+ランク装備が2枚も出るなんて今日はツイてる」


装備カードはランクと属性系統は決まってるが最初はブックのどこの部位にでもはめる事が出来て1回装備することで装備した部位に固定される

装備が固定化されると形状や名称と言った装備品の特徴が選ばれて実際に装備として使えるようになる

その見た目や追加能力になるかは窪みにはめるまで一切全くわからない

追加で出ていた精錬カードは固定した装備カードや召喚メダルの能力値をあげることが出来る成長用カードだがレベルが上がるとかなり枚数を重ねないとステータスランクは上がらないので外れの部類ではある


高ランクの装備カードは出たが今は装備品に不足がないので今回出たカードのままカードストックにすることにした

割りと良いガチャ結果に喜びながらカードホルダーを腕輪にしまうと調整は終了だ


昼も過ぎたので食事をとりに宿へ戻ろうと思いオープンカフェの会計を済ませて店内から外に出たその時だった


突然視界が白黒になり何かが通過していく気配を感じていると数秒経って視界が元に戻る

最初は店内の暗がりから外に出たので眩暈か錯覚と思っていたが公園やカフェに居た周りにいた人々も同じ様に驚いて騒ぎ始めたのを確認して先ほどの気配は勘違いではないと気付く


ふと12歳の暑い夏の日に体験した未曽有の恐怖の体験が走馬灯のように通り過ぎて一気に全身から脂汗が噴き出す

次に起こるのはダンジョン内からのスタンピードだった事思い出しそのまま腕輪からバイクを取り出すと飛び出すようにしてダンジョンギルド会館へと向かった



   ------



ギルド会館に着くなりギルド職員のロレーヌかマーセラの面会を受付で依頼すると慌ただしく走り回るギルド職員の合間を縫ってロレーヌが現れる


「フリオじゃない どうしたの真っ青な顔をして」

「今起きた事態に情報を提供しに来ました」

「・・・地下の秘匿室に行きましょう」


ロレーヌが私の気配を察してすぐに防諜されている部屋へと案内される

ロレーヌは部屋に入るとすぐに鍵をかけ室内に用意されている防諜の魔道具のスイッチを入れる


「これで話せるかしら?」

「ええ・・・ですがこの話を絶対に口外しないとお約束できるかでどこまで話せるかが変わります」

「それはどういうこと?」


ロレーヌが私の発言に対して質問をしてくる


「・・・約束が出来るかどうかだけの話です」


私はそう返事をする

ロレーヌはその言葉を受けて視線を外すと席にかけながら


「犯罪性がない事なら口外しないと誓えるわ」


と返事をしてきたので「長い話になります」」と私は答えるとロレーヌは頷いた


今起きている事態は12歳の頃に経験した「13地区の事件」で体験した最初の出来事である事

既にダンジョンコアの結界は金属の鏡の様になっていてかなり強い衝撃や魔力で攻撃しても傷1つつかないし開くことが無いので現在は既に外界との往来が不可能な事

今回の白黒オーラ発生はダンジョンコアの強制書き換えによる崩壊が始まった事が原因

不安定になったダンジョンは深層階から無限に湧くような形でAランク以上の高ランクモンスターを次々に発生させている

その結果は1時間もしないうちにダンジョン内からのスタンピードが発生して確実にわかる事

発生したモンスターは普段ダンジョンで見られるようなタイプではなくどんな系統のモンスターが出てくるかもわからない

ダンジョンから来るモンスターは異常に魔力吸収が強力すぎて例えば緊急回避して飲み込まれた腕輪などは2時間も持たずに消えて助かる見込みがなくなる事

ダンジョンコアの崩壊を食い止めるためにはその進行をさせている障害を取り払いダンジョンコアを追一旦回収する方法がある事

それを実行したことがある事

結果モンスターとダンジョンは消滅し結界も消えるがその時点で汚染されてた澱んだ魔力は消えない事


矢継ぎ早に伝えたせいでロレーヌはしばらくフリーズ状態だったが事実を何とか飲み込んだ


「ちなみにどうやってそれをやるの?」と聞いてきたがそれには沈黙で答える


その様子にロレーヌは唇を噛むと小さく頷き「必要な協力はある?」ともう一度聞いてきた

「有効はわからないが射程の長い強力な武器にとにかく威力の高い武器か爆弾と弾薬かな」と私は答える


しばらくロレーヌが考えていると「事態の収拾はあなたに任せていいのね?」と聞かれたので「絶対はないけど・・・出来るだけダンジョンから距離が取れる外壁の外へ住民の避難をお願いします」と答える


ロレーヌは魔道具のスイッチを切ると「わかったわ 武器の準備はすぐにする 1階のホールで待っていて」と言い放って部屋を飛び出て行く


秘匿室で一人きりになった私は普段着を脱いで肌着姿になると腕輪からブックを取り出す


ブックの左手側の表紙をめくり情報ページを開くとホログラム表示が浮かび上がる

そしてそれと同時にインスタンス・ダンジョンでしか実体化しないはずの装備が瞬時に装着される


【 反埼??☆繧逾槭神??信奉螂芽??溢縲?蜉帙源??縺ョ縲過蜴サ繧頑凾??崩壊繧九??證√?縲焦? 】


【 UUR → SR 】【 4 / 蝙 】【 帙蜉 ? 貅舌 】【 0 / 4ョ 】


物凄い文字化けで解析結果もフィールドは火山洞窟で属性は炎と言う所だけ表示され後は文字化けして情報の精度は不明

昔に崩壊ダンジョンに遭遇した時はモンスターのランクはA+++がAになって何とか突破できたものの今回は見た事もないしUURやらSRと言った表示で難易度がわからない


階層の表記も4階までなのか4x階までなのか文字化けなのかすらわからないが昨日の事件で関係者以外立ち入り禁止になったはずのダンジョン内には少なくても人が居る事がわかる

巻き込まれた人なのか犯人なのか文字化け数字なのかまではわからない


残された時間を意識しなおすと白黒の魔力を感じてから30分が経とうとしていた


(遊戯の神)いわく


ガチャで使った乱数は分母が20000でA+は10% A++は3,5% A+++は1.5%でその上は0,005%が出たらもう乱数振り直して別テーブルの予定でした

4035 1054 8578 15560 14653 3484 7143 14149 17819 6819 16676 18407


召喚コイン化判定は 200 までの乱数を使い 0 が出たらコイン化の予定でした

全部外れちゃったよ フリオは乱数運がないね!


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