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仲良しCats♪結成の日

「あーぁ、仕事どうすっかな。」

大学院を卒業する優は、とうとう社会に出るのが目前になり考えていた。

その時ふと、ある音楽が耳に入ってきた。

それはfive Pointed star ・pallet・tearsによる伝説のライブだった。

歌声、歓声、優は一瞬で魅せられ、すぐさま近所に住む年下の友人に声をかけた。

「面白そうだな!やってみたい‼︎」好奇心旺盛な瑠花

「あんた達には俺がいないとダメでしょ?」仕方なく付き合っているようで、海はいつも乗り気で実はソワソワしている事を見抜いてる優と瑠花は密かに微笑みあった。


その日から三人は必死に歌とダンスの練習にくらいつき高めあった。

「瑠花!ちょっとダンスが自由すぎる!」

「海、もう少し声量出して!」

「優〜!もっと体力つけてっ!」

「海はもっと伸びやかにっ!」

「優っ!ステップちょっと雑になってる!」

「瑠花は感情とタイミングもうちょっと意識してみて!」


そして迎えた始まりの舞台。

スポットライトの明るさ、観客からの視線、全てが想像とは違っていた。

その時彼らはそれぞれにアイドルについて感じるものがあった。

恐れ、高揚、緊張、それでも全てを乗り越えた先に見える景色を渇望して前へ踏み出した…


「みんにゃー!ようこそっ♪」三人で声を合わせて挨拶するも反応は今ひとつといったところだ。

会場のアウェイ感に押されながらも音楽が流れるのに合わせてなんとか声を振り絞って歌い始める。

最初から一番会場の雰囲気に負けていた海はもうすでに泣きそうな顔をしていて、瑠花も声がうわずり、その失敗に釣られるようにしてダンスもくずれている。

唯一落ち着きを保って普段通りのパフォーマンスをできたのは優のみだった。

そんな状況のままでは観客の気持ちを掴めるはずがない。

思い虚しく、新人アイドル一番の人気を誇るようになるCats♪の初ライブはさんざんな結果に散った。

それでも途中で帰ってしまった観客も多かった中で、最後まで残ってくれたファンに精一杯の感謝を込めて頭を下げると数人だけの拍手が重くなった心を軽く、申し訳なさをより重くさせた。


「本当にごめん。優、瑠花…」今まで自分から謝ったことが片手で足りるほどしかない海が深々と頭下げて謝るので、優と瑠花は慌ててそれを止めた。

「俺だって、持ち直せなかった…」元気な瑠花も声が沈んでいる。

「瑠花、海、一番の責任があるのは俺だ。」最年長として、アイドルの世界へ誘った者として、そして大切な友人として二人を守って行かなければという決意が優の中に確かに生まれた。

「優のくせにお兄ちゃんっぽくてずるい…!」海は優にしがみつきポカポカと殴っている。

「ママ…」瑠花はそう言いながら抱きついて来た。

「皆アイドルは甘くないと痛感したところで質問だ。もう一度ステージに立ちたいか?」

真剣な優の問いかけに、二人は力強く頷いた。

「今度こそ、最高以上のパフォーマンスをステージでして見せる!」負けず嫌いな海の瞳と「ファンのみんなにも歌とダンスの楽しさを届けたい‼︎」勇気を与える瑠花のキラキラとした瞳が輝き、優の瞳は包み込むように優しく細められる。


少しではなく、終わりなき努力と理想を持って再び歌とダンスのトレーニングを始めた。

基礎だって学び直した。

猫語口調や彼らのノリも最初こそ批判はあったものの、批判など気にしない明るさとひたむきに努力する姿勢が、徐々にだがより多くの人々に受け入れられるように変えていった。

可愛さを売りにした行動や三人の仲の良さが普段からさほど変わらないのも功を奏した。


そしていつしか興味から始めたアイドルという仕事が、彼らにとっても手放したくない自分の居場所となって、パフォーマンスもより良くなり、ファンが増えても一人一人を大切にしたいという気持ちがこもったものになった。


こうしてCats♪は新人で一番の人気を誇るアイドルグループになるのだが、この教訓を彼らが忘れる事は決してない。



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