あたり前の時間
第4話
●バイト
「すみません」
朝、学校に向かう途中、智耶さんの車の助手席に乗っている私。
「いいえ。通り道だし」
「でも……あの……私、クラスメイトの女子生徒に智耶さんが私の彼氏と思われているんです」
苦笑いしながら智耶さんに状況を話す。
「へぇー。そうなんだ」
「はい、だから、お姉ちゃんに申し訳なくて…」
「気にしなくても良いよ。そのままにしとけば?」
「いやいや、それは流石に…」
「でも今更、下手に弁解するのもねぇ~…」
確かにそうだけど、私としては誤解を解きたいのが本音だ。
「気にしない、気にしない」
結局、何も出来ず、そのままにする事しかなく………
それから1ヶ月が過ぎ ――――
「はーるきっ!」
学校帰り、私は前を帰る晴輝に気付き駆け寄ると、背後から抱き付いた。
「うわっ! 何だよ! いきなり抱き付くなよ!」
「一緒に帰ろう!」
「ウザっ!」
「酷っ! あーー、そうかーー。お姉ちゃんが良いもんねぇ~。悪かったなっ! 私なんかでっ! お姉ちゃんに学校通って貰おうか? そうすれば青春楽しいよ!」
「バーカ」
私達は騒ぐ中、色々、話しをしながら帰る。
「ねえ、それより、いつから? お姉ちゃんの事」
「あー……」
「……ごめん……関係ないか……」
「別に良いし。気にすんな! 話してやるよ。兄貴が、夏奈さん連れて来た時……3人で出掛ける事が増えて……気付いたら好きになってた」
「えっ?」
「まだ、そう月日は経ってねーよ」
何処か淋しい表情をしては微笑む晴輝。
「……そうか……お姉ちゃん達、付き合ってどれ位なわけ?」
「付き合って……半年か1年位だろう?」
「晴輝も良く知らないんだね。やっぱり、それ位も経てば、あんな事や、こんな事してるんだろうなぁ~……あ、ごめん…」
「別に。分かってる事だし」
「やっぱり妄想とかしてみたり」
「えっ!?」
「やだっ! 図星っ!?」
「馬鹿っ! 違うしっ!」
私達は騒ぐ。
それから、しばらくして私はバイトが見付かり、バイトを始める事にした。