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95 武闘会 その8



昨日は酷い目にあった。会場中の男から厳しい目線が私を襲ってきていた。私は戦っていたはずなのに、相手から愛の告白をされた。彼女、エリザネスは隣国の第一王女という立場であり、次期女王になる予定の方らしい。今回は純粋に武闘会にて腕試しに来ただけらしいのだが、圧倒的な力を前に尊敬の念があふれ出した上に、本気で傷をつけまいと行動した私の気遣いを感じて惚れたらしい。チョロくない?

ただ、あれだけの戦闘が出来るという点で、そうそう負けたり危ない状況になるとは思えなかった位の力量を持つ女性であり王女なのだから、こんな事はそうそう起こる状況ではないかもしれない。


「ザバルティ様は何故そんなにモテるんですか?」


「さぁ?」


「おかしいですよ。前代未聞ですよ?!武闘会で求婚される男なんて。」


「それは同意する。」


ロバートに突っ込まれている私の今の状況もそうそうあるもんじゃないと思う。


≪【幸運の星】の力が発揮されていたようです。≫


あれは幸運なのか?それは認めがたい。


≪女性に傷をつけずに済んだでしょう?≫


それはそうだけど、それは認めるとしても、気持ちが認めないよね。普通なら。


「やっぱりザバルティ様は神なんじゃ?」


「いや、【神の使徒】であって神では無いよ?」


≪その通りです。≫


「いやいや、おかしいですもん。いくら【幸運の星】があるって言ったって。」


「確かに、それも同意。」


≪仕方がありません。マスターは選ばれた人でありますので。≫


カミコちゃんの言い切る感じが、嘘では無く事実である事を感じさせる。


「ロバートは落ち着け。ザバルティ様が何かをしたわけでは無いのだから、言い詰めてもどうしようもない。それより相手の身分が問題だ。我が国の第三王女に今回は第一王女であり、将来の女王になるお方とか。無下に断ろうものなら国際問題になってもおかしくない。」


「国際問題になるかは微妙な事だが、トーマスの言う通り確かに下手な断りは入れれないのは事実だな。」


「あらあら、ザバルティがモテるというのも問題になってしまうなんて。あなた、息子の為にもどうにかならないんですか?」


「うむ。エスネスよ、そう心配しなくても大丈夫だ。ザバルティ、お前の思う様に動きなさい。後は俺が何とかする。」


父上の心強い発言に安心感を覚えたが本当に大丈夫なのだろうか?


≪全てを娶れば良いのでは?≫


はぁ?あんなにも個性が強い人だ沢山出来たら、私は家に帰れないよ。帰れなくなるよ?


≪【神の使徒】何ですからなんとかなりますよ。≫


全てをそれで片付けようとするのはいかがなものか?と思うのは私だけかな?



◇◇◇◆◇◇◇



煌びやかな一室において女性二人が対峙している。片方はおっとりとした感じの女性。片方は凛とした感じの女性。共に美女と言われるであろう顔を持ち、スタイルも女性らしいシルエットを見せている。


「あれはどういう事ですか?」


「あれ?あれは仕方がなかったの。」


「仕方がないですって?」


「そうよ。だってしょうがないじゃない。私を圧倒できる人なんて早々居るもんじゃないわ。」


「確かに圧倒できる人は居ないでしょう。ですが、貴女は一国の王になる予定の身ですのよ?」


「ふふふ。私は決めていたの。私を圧倒できる人と結ばれると心に決めていたのよ。」


「でも、でも貴女の求める男性像では無かったでしょう?」


「そうね。想像してたのは壮麗な武骨な男を想像してたわ。」


「そ、そうでしょう?」


「まさか、あんなに可愛い男の子に私が圧倒されるとは思いもしなかったわ。」


「でしたら、あの発言は撤回してくれますわよね?」


おっとりした女性と凛とした女性はどうやら一人の男を巡っての話し合いのようだ。


「それはしないわ。あんなに強いのに優しい男なんて他にはいない。」


「歳だって10歳以上下ですよ?」


「歳なんて愛の前では関係無いわ。」


「愛?愛って言われました?」


「そう。愛よ。愛に勝る物は無いのよ。」


おっとりした女性は凛とした女性に諦めさせようとしている様だが上手くいっていない。


「たかだか、一試合の間で【愛】ですって?」


「あら、あり得ないとでも?そういう貴女だって、あの子を初めて見た時に惚れたと言ってなかったっけ?」


「それは、その・・・その通りです。」


段々と小さくなる声を出すおっとりした女性に凛とした女性はビッと指をさす。


「まったく予想外の出来事ではあるけど、もう決めた事です。それに一国の王女が発言した後に引けるわけないじゃない。それは貴女にもわかるでしょ?」


「私ですら公表してないんですよ?わかるからって認めれる訳ないじゃないですか!」


今にも食いつくのでは?と思わせる様子を見せ怒り出すおっとりとした女性。


「まぁまぁ。別に独占するつもりは無いわよ。あれなら、貴女も公表して立候補したら?」


「えぇ?そんな・・・でも、やってみようかしら?」


「そうよ。長年思い続けてきた相手なんでしょ?貴女なら許すわ。」


「ちょっと、許すのは私の方であって貴女では無いでしょ?油断も隙もないんだから。」


「ふふふ。バレたか。」


バレた事を詫びれた様子も無く凛とした女性は可愛く舌を出す。


「もう、本当にザバるんは渡しません!」


「ザバるん?良いな私もそう呼ぼう。」


「ちょっと。」


まだまだ続きそうな話し合い。

ここでもザバルティの知らない所で闘いは起こっていたのだった。





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