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90 武闘会 その3



この試合の後が私の試合だ。今現在は第二試合が行われている。今回は一日一人一試合という規定の中でおこなわらているので、私の試合が終わればそこからは今日は自由だ。


「どうだった?」


「そうですね。前年優勝者が圧勝したという感じでした。」


「そうか。やはり優勝者は違うのかな?」


「そうかもですね。」


「今の試合はどう?」


「異国の剣士の動きに翻弄されている学院生と言う感じですね。」


「なるほど。」


「ザバルティ様。そんなに気になるならビジョンをつけましょうか?」


ビジョンとはテレビみたいな物で今の試合が見れる物だ。


「いや。良いよ。少し気になっただけだから。」


「そうですか?」


実は話をするネタとして聞いているだけなのだ。私は叡智の悪魔ジャスティの事で頭が一杯なのである。ただ、心配させまいと気を配る方法が見つからず話をすることで誤魔化しているに過ぎない。


戦えば負ける事は無い。実力で言えば私の方が強いと断言できる。しかし、悪魔と冠する者は間違いなく正面からけしかけてくるとは思えないのだ。地球で知った内容だけだが狡猾にして醜悪な者が悪魔と呼ばれていたからだ。この世界の悪魔の事は分かっているわけでは無いのだが、カミコちゃんは悪魔については権限を持っていないらしい。つまり現在は知る事が出来ないのだ。だからと言って手が空く時間で知る事が出来ると確信しているわけでは無い。


「考え事ですか?」


「ああ、皆が居るのにすまない。」


「緊張されているんですか?」


「うん?いやそういう訳では無いが。」


「それにしては、深刻な顔をされていますけど?」


そんな深刻な顔をしてしまっているのか?シーリスに指摘されて気づいた。


「そうか?そんな顔をしてしまっていたか。すまないな。気を使わせてしまって。」


「いえ。謝罪は必要ありませんよ。」


「そうか?ではありがとうだな。」


「その方が良いですね。」


ストレートな物言いが心地よい。自然と笑顔になる自分を認識した。

心配そうにのぞき込む面々を見ていると自然と言葉が出て来た。


「さきほど、叡智の悪魔ジャスティと名乗る者と出会った。」


「えっ?」


「ついて来ていたのさ。」


「それでは?ここに?」


「そういう事だ。心配しなくていい。会話をしただけだ。だけど、手を出さないとは言っていない。私自身が負ける事は無いと断言できるが、私の周りに被害が出ないとは限らない。この世界の悪魔の所業が分からない事が不安だよ。」


黙って聞いていたシーリス以下のメンバーは事の重要度を理解してくれたようだ。


「この世界の悪魔についての情報が欲しいと思う。そういう事を任せれる者は居るかな?」


「そうですね。アイリーンとコーネスと私はエルフの世界にある物であれば、いくつかは手に入れる事が出来るでしょうが、人族の物は私達では難しいでしょう。それにこの世界は広く何処にそういう情報があるのかはわからないというのが本音です。」


「そうだね。シーリスのいう通りだ。」


「しかし、そう考えるなら世界に商店を持ち影響力のある存在でしたら、私には一人心当たりがありますよ。」


シーリスの言葉で、私も一人の存在が頭に浮かんできた。


「ああ、そうだね。そういえば居たね。世界に顔の利く存在が一人。」


「そうです。彼に依頼したらどうでしょうか?」


「「ラムザ・ハイマー」」


思わず同じタイミングで発した言葉は一致した。そう、彼にこの件を依頼しよう。決して今回の事で彼にも被害が行かないとは言い切れないのだから。


「わかった。彼とのコンタクトを頼む。夏には会えるだろうが、急いで話をしたい。」


「わかりました。先ずは商店の方に話を持って行きましょう。」


そう言うと近くに居た従者に声をかける彼女はミスティー。ダークハイエルフと言われる種族の者でいつもシーリスと共にいる事が多い。ミスティーはすぐさま行動に移し部屋を出る。


「今出来る事はこれぐらいでしょうか?」


「そうだな。後は悪魔が行動しない事に期待しながら、警戒しておくぐらいだろう。今までと変わりない。」


「わかりました。」


今出来る事はこれくらいだろうと思う。先ずは情報を集める事が先決だ。それを今になって思いつくなんて遅いと思う。少し胡坐をかいてたようだ。


「そんな落胆しないでください。私達も気づくのが遅かったのですから。」


「いいや。皆の責任ではないよ。ありがとう。」


シーリスの気遣いが嬉しかった。こんな暖かい仲間を失う事は決してしたくない。だからこそ最善の選択をしたい。間違える事がないように自分に言い聞かせる。


≪大丈夫です。私がサポート致します。≫


頼もしいカミコちゃんの声が聞こえた。本当に頼もしい。


「ザバルティ選手。用意してください。」


ドアがノックされ告げられた。私の順番が来たようだ。


「了解した。では、行ってくる。」


「かしこまりました。ここでお待ちしております。」


シーリスの返答を受けた私はリングへと向かった。










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