9 試練 その3
残念な感じで始まったBOSS戦。だけど、やっぱりそこはドラゴンだから、強い。
とりあえず、雷系の最上級魔術をぶっ放す。大きな雷がホワイトドラゴンに直撃するが痺れ効果を狙ったのだけどそれは発動せず。仕返しとばかりに口からのドラゴンブレスが放たれる。それを飛翔を利用して躱す。鋼の剣に一時的な雷のエンチャントをかけて魔法剣にして切りかかるも、小さな傷を与えるのみで、あまりダメージを与えられていないようだ。
「ふむ。なかなかやるではないか。我が呼ばれるのも納得じゃ。」
「過分な評価ありがとうございます。」
「フハハハ。なかなか余裕を見せるではないか。面白い!」
と言うやいなやホワイトドラゴンから与えられるプレッシャーが強くなった。威圧を使用したみたいだ。
自分の体が重りをかけられたように感じる。先手必勝。飛翔スキルを利用して一気に距離を詰めて、ホワイトドラゴンの首の同じ所に五連撃をみまう。少しはダメージを与えられたはず。
「ほぉ、これでも動きに変わりがないか。」
少し驚かれたみたいだが、すかさず尾での攻撃がきた。当たってしまうとふっ飛ばされてしまうだろうと判断し、ジャンプ一番で躱すも、それを予測していたのかその場所に向けてのドラゴンブレスがくる。
これを最上級氷系魔法でブレスの直撃を防ぐ。数千度を誇るドラゴンブレスに対抗する氷系魔法も地球の環境下では考えられないマイナス数千度を誇るし、私の場合は分子という前世の知識を利用してのイメージが加わり精密な魔法になるから相殺出来る。ドラゴンとはいえ、自慢のブレスがよもや防がれているとは思わないだろうから、油断すると思い。尽きるのを待つ。その間に火と水の最上級エンチャントを亜空間収納から出した槍にかける。更に剣に雷と土のエンチャントをかける。ブレスが止んだ瞬間にエンチャントのかかった槍を口に目掛けて投擲して、同じくエンチャントをかけた剣を使って飛び出す。
案の定、驚愕した表情を見せるホワイトドラゴンの口に槍は刺さり、剣で首を上から一刀両断を発動する。
「ぬぅ~。」
ホワイトドラゴンの首に仕掛けた剣は刺さるも切り落とすには足りてはいない。剣の性能がたりないのであろう。仕方なく現在最大の4並列魔法を準備する。火・水・風・土の四属性の最上級魔法を発動。
「やりおるわ。」
ホワイトドラゴンが漸くここで呟きと共に倒れてくれた。もちろんデッカイ魔石が出てきました。
「ようやく倒せた。でもやっぱり、ありえないでしょ。このダンジョンは一族の試練の場所であって、ホワイトドラゴンとか異常戦力でしょ?」
≪記録によると、ドラゴンが出たとの記録はございません。≫
だよね。有り得ないよね。人族のただの貴族家の試練にホワイトドラゴンとか。あれ?
ホワイトドラゴンが消えて魔石を回収した後に、リングの中央に下に降りる階段が現れた。それと同じく閉まっていた扉も開いたようだ。
「ザバルティ。終わったみたいだな。」
「ザバルティちゃんの相手は何だったんですか?」
「はい。とえっ?もしかして人によって違うんですか?」
「俺の時は、オオカミ系モンスターが相手だった。兄は確か、コンドル系モンスターだったようだ。」
なっ、なんですと。神童と誉れ高き父上達の相手が、そのレベルのモンスターなのに、私はホワイトドラゴンですよ。おかしくないですか?これ、言わない方が良いやつじゃないかな?倒したホワイトドラゴンの驚愕した顔より、今の私の驚愕した顔の方が酷いのではないか?って思う顔をしてるはず。
「まぁ、話は後だ。降りよう。」
「は、はい。」
動揺が隠せない。
「さぁ、行きましょう。おじい様が待ってますよ。」
キーファさんの言葉に更に動揺する。
「はぃ。っておじい様?あのおじい様?」
「そうだよ。兄と俺の父であり、先代マカロッサ家当主。お前の祖父であるロマネス・マカロッサだよ。」
頭が混乱してきた。ド〇〇ンクエストのメ〇パ〇かけられた??
「ほれ、行くぞ。」
と、ポワロ叔父さんに引っ張られて階段を下る。
すると、また、一本道みたいなエリアに出た。その先に階上にあった物と同じ扉がある。
勿論、マカロッサ家の家紋がついている物。
お爺ちゃんはここに居るのか?って冷静になれる訳ないよね。扉に突入してドラゴン倒してここに来るのに一時間かかってないんだからさ。いくら前世の記憶がある転生者でも人間ですから。って人族の範疇を越えても混乱したら、高速思考使うの忘れてるよ?
そんな事考えていたら、扉開いて中に入れられてた。